民間医療保険は富裕層の方が安くなる?混合診療の解禁で起こること

ども、もぶ太です。今日は、まだまだ勉強中なんですけど、混合診療について思うことを書きます。

混合診療の議論は以前から何度もされてきましたが、ついにその一部を認める『患者申出療養』が2016年を目処に制度化されますよね。

これを皮切りに混合診療の拡大が進み、全面解禁!なんて日も遠くない気がしますが、そうすると僕らの身近にどういう変化が起こるのでしょうか。

目次

患者申出療養とは?混合診療の基礎知識をおさらい

ご存知のように、健康保険が使える保険診療と、保険が効かない自由診療を組み合わせて診療することは、医療の安全性が確保できないことや、お金のあるなしで医療格差が起きることなどから、原則禁止されています。希望すれば受けることもできますが、その場合、健康保険の割引部分が無効になり、全額を自己負担しなければいけません。

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しかし、今回の患者申出療養制度では、患者が望みさえすれば、保険適用外の医療でも混合診療が認められる可能性があります。具体的には、その医薬品や医療機器の使用に前例がある場合は2週間で使用の可否が承認され、前例がない場合でも6週間以内に判断が下されるというものです。

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混合診療は現在、先進医療などの『評価療養』、差額ベッドなどの『選定療養』と呼ばれる区分についてのみ例外が認められている状態ですから、審査があるとはいえ、事実上の混合診療解禁となるわけです。

解禁で拡がる保険料負担の逆進性

混合診療の解禁について、慎重派と反対派の議論は約15年に渡って繰り返されてきました。今回の患者申出療養制度では、慎重派が一歩譲った形になりましたが、今後、混合診療の対象が拡がっていくとなると、また話は別です。

慎重派の懸念事項に対し、推進派が解決すべきことは次のようなことです。

  • 医療が「ゼニ次第」の世界になってしまう
  • 安全性や有効性が確保できるとはいえない
  • 民間医療保険の値上がりなどで国民1人あたりの医療費が増える
  • 医療格差で生じた穴は社会で保護するしかなく、結局は公的支出が増える
  • 新たな薬や医療機器が自由診療を見越して作られてしまう(そちらの方が儲かる)

保険ブログとして気になるのは民間医療保険への影響ですよ。

混合診療をプッシュしているのは他でもない保険会社ですから、規制緩和が進むにつれ、保険会社はここぞとばかりに新たな商品を投入するでしょう。先進医療特約の幅が拡大される可能性もありますし、「混合診療特約」なんて特約が登場するかもしれません。

また、混合診療が解禁されるほどに、現在販売さられている医療保険は力不足になるため、新規加入や乗り換えなどで少々高値の商品でも売れ続ける時代が来ると思います。ニーズにマッチしていればそれで構わないと思うのですが、一方で気になるのが保険料の逆進性です。

医療保険のニーズが底上げされることで、保険会社は顧客の確保がしやすくなり、福利厚生が恵まれている大企業などに営業をかけやすくなるでしょう。団体保険によるスケールメリットで割引率が増す一方で、そうでない人たちは通常の価格で加入せざるを得ません。悲しいことに、もぶ太もその一人です。

現にアメリカは、大きな企業ほどそれぞれが契約した民間医療保険があり、それを福利厚生としてアピールしています。国民一人あたりの医療費を押し上げるであろう民間保険の負担率が、高所得者の方が軽く、経済的に苦しい僕らの方が苦しむ時代が今以上にやってくるのは間違いありません。

おわりに

医療は一般的なサービス業とは同列に扱えない部分があるだけに、保険料負担の逆進性や、医療費負担の逆進性が拡がるのはいかがなものでしょうか。

「混合診療解禁=国民皆保険制度の崩壊」などと直に結びつけるつもりはありませんが……お金がない僕はちょっと心配してます。

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この記事を書いた人

ソクラテス編集部です。

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