先日、子供が生まれ、将来の教育資金をどうしようか悩んでいます。
学資保険でも、元本割れするようなものだったら考えものですが、最近では利率の高いものも販売しているようですし、コツコツ貯金する自信もあまりありません。
自分なりに少し調べてみたのですが、学資保険で利率の良いものか、終身保険で学資のかわりにするかと考えています。
「学資保険や終身保険で教育資金の積み立てをするか?」「いやそもそも必要ない、もっと別の貯蓄手段がある」など、もし加入する場合は、かけ金なども含め、ご意見をお聞かせいただけたら幸いです。
参考までに子供は1人目なのですが、できれば2人欲しいと考えており、子育てがひと段落したら妻も働き共働きとなる予定です。
年収は現在、手取りで、約500万です。
また、住宅ローンをかかえており、その返済が月9万ほどとなっております。
それ以外のローンはありません。
(36歳 男性)
CFPR、1級ファイナンシャル・プランニング技能士 一色FPオフィス 代表 一色徹太
相談者のように、「コツコツ貯金する自信がない」方にとっては、学資保険は、教育資金準備の有力な手段になると思われます。他にも、積立定期預金や、児童手当を貯める(現制度の変更なし・所得制限なしの家庭の第1子・第2子の場合、15年間貯めると1人当たり198万円貯まる)方法もありますが、口座振替などで「自動的に」貯まる学資保険は、依然根強い人気を保っています。
学資保険には、主に以下のメリットがあります。
(1)について、満期学資金・祝金等の受取総額を支払保険料総額で除した、いわゆる「返戻率」(「元本率」「戻り率」と言うことも)で見た場合、多くの商品が100%~115%程度となっています。年利回りに換算しても、定期預金よりは高くなっています。
(2)について、想定進路に合わせた満期設定、祝金の受取時期選択が可能です。
(3)について、契約者(親)に万が一の事態(死亡・高度障害)があった場合には、以降の保険料払込は免除され、保障内容はそのまま継続されます。
どの保険にも共通しますが、学資保険もメリットだけではありません。主に以下の点に注意する必要があります。
(1)について、保険会社のPRする「返戻率」は、祝金の受取有無や受取時期によって大きく変わってきます。返戻率に踊らされず、昨今の入試制度の多様化も踏まえ入学金の必要時期を確認し、学資保険のホームページで加入パターンを試算して「ご自分の場合の」返戻率を確認しましょう。また、特約を付加すると元本割れになることもあります。
(2)について、保険期間中の保険料支払いが家計にとって過度な負担にならないかチェックし、解約をしない前提で加入することが重要です。
(3)について、生命保険の多くはそうですが、学資保険も将来のインフレには弱いです。
また、保険期間が長期に渡りますので、ソルベンシー・マージン比率等で保険会社の健全性をチェックし、万一の保険会社破たん時のリスクを確認しておくことも必要です。
昨今、保険料短期払いの低解約返戻金型終身保険を学資保険の代替とするケースが見られます。学資保険と比べて保険料が安くなる場合があったり、将来進路変更した場合は解約タイミングをずらして解約返戻金を教育費以外の用途に転用できるなど、魅力的な面もありますが、以下の点には注意が必要です。
(1)について、返戻率を上げようと、保険料を短期払いにして払込期間を短くすると、当然ながら保険料は上昇しますので、家計の過度の負担にならないか、キャッシュフローを考慮する必要があります。
(2)について、学資保険と異なり、低解約返戻金型終身保険には満期の概念がありません。そのため当然ながら、解約タイミングやその時の返戻率はご自身で決定・確認する必要があります。なお、保険料払込期間中に解約すると、一般的に元本割れします。
学資保険の加入に際しては、文部科学省の「子どもの学習費調査」なども参考にしながら、公立・私立の大まかな進路想定をたて、教育費の目安を確認し、目標貯蓄金額・期間を決定して学資保険を選びましょう。相談者の方の場合、手取りのご年収や住宅ローンの月9万円の返済負担を考慮すると、保険料は月1万円~1万5千円程度が妥当と思われます。
なお2人目のお子さまご希望とのことですが、「兄弟割引」を適用している商品もあります。
学資保険はよく「ドアノックツール」(他の商品の契約につなげるためのきっかけ作りとなる商品。満期学資金を元手にした新契約を勧めるケースも)と呼ばれます。保険会社から見ると商品自体には旨みが少なく、学資保険を売っても営業成績の計上は一般に極めて低く、ノーカウントの会社もあります。そのため、営業職員経由で加入を申し込む場合は、商品内容について予めホームページなどで調べた上で、不明点は詳しく聞く姿勢が必要です。聞かないと自発的には教えてくれないケースも多いからです。ホームページのQ&A(よくある質問)は確認しておきましょう。また、保険ショップなどで加入を申し込む場合、「取扱生保一覧」に会社名はあっても、「実はその会社の学資保険は取り扱っていない」と言うケースもあるので注意が必要です。
学資保険にはさまざまな商品がありますので、上記を踏まえ内容をよく検討され、ご自身の教育プランに最も合った商品を選択していただければ幸いです。
1989年早大(法)卒。日本生命保険相互会社入社。7年間の国内株式アナリスト・国内債券ファンドマネージャー、15年間の法人営業(企業保険、DC・DB等企業年金、損害保険、投資信託等販売)の経験を生かし、独立系FPに。現在、一色FPオフィス代表として、ライフプラン相談や執筆、セミナー、講演を行っている。先物、オプションなどデリバティブにも精通。他にも証券アナリスト(CMA)、宅地建物取引主任者、管理業務主任者、DCプランナー1級、住宅ローンアドバイザー等多数の資格を保有。
我が家では、子ども3人の教育資金のほとんどを、学資保険をはじめとする保険で準備しています。
自身で確保する自信のない方は「学資保険」や「終身保険」などの積立商品でコツコツ貯めていく。
契約者(親等)が万一時の保障も付いており、教育資金の積み立て方法として、十分に選択肢の一つ。
ある程度の目的を達成できているという理由から、学資保険の利用は検討に値する。
今は予定利率が非常に低いので、将来、金利が上がっても学資保険は低い金利で運用されることに。
今の学資保険は利率が低いので、教育資金づくりには「貯蓄は貯蓄、保障は保障」として分けて考えることをお奨め。
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