2017年4月予定利率引き下げにともなう学資保険の変動状況まとめ

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マイナス金利政策を背景とする標準利率の引き下げで、
学資保険は軒並み返戻率が低下

2017年4月から5月にかけて、ほとんどの保険会社の多くの商品で保険料の値上げがありました。理由は金融庁による標準利率の引き下げがあったためです。

保険会社は、加入者から集めた保険料を運用することで増やし、支払う保険金を準備しています。このとき、「これくらい増やす」という見込みの利率を「予定利率」として定めています。予定利率は保険会社各社が独自に定めますが、この指標となっているのが標準利率であり、国債の利回りなどをもとに決められています。今回はマイナス金利政策の影響などを背景に、標準利率がそれまでの1.0%から0.25%になるという大幅な引き下げとなり、結果、各社の予定利率も軒並み下がることになりました。

つまり、保険会社が集めた保険料を今までに比べてあまり増やせなくなったということです。すると将来支払う保険金を準備するためには、もともとの保険料を上げるしかありませんので、値上げが行われるわけです。

保険料の値上げによる各社の学資保険への影響は?

予定利率の保険料への影響は、貯蓄性のある保険商品ほど顕著にあらわれるため、学資保険も大きな影響を被ります。ほとんどの商品で保険料が上がり、結果として返戻率が下がることになってしまいました。

以下が、主だった学資保険の変化を調べてみた結果です。すべて《契約者:男性30歳・被保険者:0歳》の場合で、現在の商品・プランでの試算と、利率改定前の試算とを比べています。

保険会社・商品 満期 払込期間 受取方 返戻率
明治安田生命
つみたて学資
I型
改定前
21歳 15年 基準保険金額50万円の場合
【教育資金】18歳~20歳:50万円(100%)
【満期】21歳:50万円
112.60%
改定後
21歳 15年 基準保険金額200万円の場合
【満期】18歳から21歳まで100%を計4回
102.70%
フコク生命
みらいのつばさ
ジャンプ型
改定前
22歳 17年 満期保険金200万円の場合
【祝金】18歳:200万円(100%)
【満期保険金】200万円
110.10%
改定後
22歳 17年 満期保険金200万円の場合
【祝金】18歳、22歳の2回100%
【満期保険金】200万円
101.90%
フコク生命
みらいのつばさ
ステップ型
改定前
22歳 17年 満期保険金200万円の場合
【祝金】3歳・6歳:10万円(5%)、12歳・15歳:20万円(10%)、18歳:140万円(70%)、20歳:20万円(10%)
【満期保険金】200万円
108.40%
改定後
22歳 17年 満期保険金210万円の場合
【祝金】3歳、6歳で5%。12歳、15歳、20歳で10%、18歳で70%、22歳で100%
【満期保険金】210万円
101.20%
JA共済
こども共済
学資金型 大学プラン
改定前
22歳 17歳 満期共済金300万円の場合
【学資金】17歳・18歳・19歳・20歳:60万円(20%)
【満期共済金】60万円
※「こども共済 学資金型 すてっぷ」の情報で比較しています。
108.40%
改定後
22歳 17歳 満期共済金300万円の場合
【学資金】17歳・18歳・19歳・20歳:60万円(20%)
【満期共済金】60万円
100.20%
日本生命
ニッセイ学資保険
こども祝金あり型
改定前
22歳 18年 基準保険金額100万円の場合
【祝金】5歳・11歳・14歳:20万円(20%)
【学資年金】18歳:100万円(100%)、19歳~22歳:毎年50万円ずつ(50%)
107.10%
改定後
22歳 18年 基準保険金額360万円の場合
【祝金】6歳12歳15歳で20%
【学資年金】6歳12歳15歳で20%、18歳で100%、19歳から5%を1年毎、計4回
102.20%
アフラック
夢見るこどもの学資保険
改定前
22歳 18年 基準学資年金200万円の場合
【学資年金】15歳、大学2年~4年(20歳~22歳)で50%4回、18歳(大学入学)で100%
105.20%
改定後
22歳 18年 基準学資年金200万円の場合
【学資年金】15歳、大学2年~4年(20歳~22歳)で50%4回、18歳(大学入学)で100%
96.20%
かんぽ生命
はじめのかんぽ
大学入学時の準備コース
改定前
18歳 18歳 満期共済金300万円の場合
【満期共済金】300万円
103.80%
改定後
18歳 18歳 満期共済金200万円の場合
【満期共済金】満期時に100%
94.70%
太陽生命
わくわくポッケ
II型
改定前
20歳 15歳 満期祝金80万円の場合
【学資金】15歳:50万円(40%)
【学資金】18歳:80万円(100%)
【満期祝金】20歳:80万円
※「わくわくポッケ しっかりプラン」の情報で比較しています。
103.20%
改定後
20歳 15歳 満期祝金100万円の場合
【学資金】15歳:50万円(50%)
【学資金】18歳:100万円(100%)
【満期祝金】20歳:100万円
64.24%
ソニー生命
学資保険スクエア
I型
改定前
18歳 18年 基準学資金100万円の場合
【進学学資金】12歳・15歳:30万円(30%)
【満期学資金】17/18歳:100万円
102.70%
改定後
18歳 18年 満期保険金192万円の場合
【進学学資金】12歳、15歳時基準学資額30%
【満期学資金】18歳時基準学資額100%
102.70%
JA共済
こども共済
祝金型 にじ
改定前
22歳 22歳 満期共済金200万円の場合
【学資金】3歳:10万円(5%)、6歳・12歳:20万円(10%)、15歳:40万円(20%)、18歳:60万円(30%)
【満期共済金】50万円
93.48%
改定後
22歳 22歳 満期共済金200万円の場合
【学資金】3歳:10万円(5%)、6歳・12歳:20万円(10%)、15歳:40万円(20%)、18歳:60万円(30%)
【満期共済金】50万円
79.69%
JA共済
こども共済
祝金型 えがお
改定前
22歳 22歳 満期共済金200万円の場合
【学資金】3歳:10万円(5%)、6歳・12歳:20万円(10%)、15歳:40万円(20%)、18歳:60万円(30%)
【満期共済金】50万円
87.26%
改定後
22歳 22歳 満期共済金200万円の場合
【学資金】3歳:10万円(5%)、6歳・12歳:20万円(10%)、15歳:40万円(20%)、18歳:60万円(30%)
【満期共済金】50万円
75.11%

※男性30歳、子ども0歳、月払で試算。プラン・契約内容によって返戻率等は変わることがあります。

ほぼすべての商品が返戻率を下げたなか、唯一、キープしているソニー生命の狙いは?

ほぼすべての商品で、返戻率は低下したと見ていいでしょう。かつては高返戻率商品のひとつだったアフラックの「夢見るこどもの学資保険」は、返戻率が100%を切ってしまい、こうなると商品の意義も変わってきたと言わざるをえません。

そんななか、ほぼ唯一、返戻率を下げていないのがソニー生命です。

標準利率の引き下げはすべての保険会社に影響するなか、なぜソニー生命の学資保険だけは返戻率を下げていないのでしょうか。おそらく、予定利率が下がったことで、ソニー生命が学資保険から得る収益はギリギリまで低下しているものと考えられます。それでも、以前の返戻率水準をキープすることで、なんとか販売数を確保しようという方針があるものと推測されます。

もともとソニー生命は、通販での気軽な保険加入ではなく、ライフプランナーと呼ばれる専任外交員による対面コンサルティングを重視していました。そんななか、高返戻率の学資保険は、それで収益を上げるというよりも、ソニー生命に興味を持ってもらい、ライフプランナーが顧客との接点をつくるための、いわゆる「ドアノック商品」という位置づけであったとされています。今回の返戻率水準のキープは、ソニー生命が学資保険をドアノック商品の方向に振り切ることを決めた姿勢のあらわれと言えるかもしれません。

軒並みの返戻率低下を受けて、学資保険の貯蓄性をどうカバーする?

一方、ソニー生命では、「学資プラン」として、新しい商品も打ち出しています。返戻率120%超と謳われているのですが、よく見ると、これは「米ドル建養老保険」。外貨建て保険です。外貨建てなら、確かに高返戻率も期待できますが、半面、リスクもあります。期待するほどのリターンが得られないこともありますし、為替リスクもあるため、元本割れの可能性さえあります。そのため、ここは返戻率だけにとらわれて選んでしまうのは考えもの。保険加入は商品内容をよく理解してから、という大原則に立ち返りましょう。

では、今回の軒並みの返戻率低下は受け入れるしかないのでしょうか。カバーするひとつの方法は、払込期間をできるだけ短くすることです。日本生命、明治安田生命、フコク生命といった、学資保険に力を入れている保険会社は、払込期間が短縮されたプランを推すことで、少しでも返戻率が高くなることをアピールしています。

払込期間が短くなればなるほど、保険会社は早期にまとまった額の保険料を手元に集めることができ、この資金の運用期間が伸びますから、それだけ運用益を稼ぐことができます。結果、返戻率を高めることができるわけです。例として明治安田生命、日本生命の学資保険で、払込期間を「5年」にした場合の返戻率が以下になります。

保険会社・商品 満期 払込期間 受取方 返戻率
明治安田生命
つみたて学資 I型
21歳 5年 基準保険金額50万円の場合
【教育資金】18歳~20歳:50万円(100%)
【満期】21歳:50万円
120.9%
日本生命
ニッセイ学資保険 こども祝金なし型
22歳 5年 基準保険金額100万円の場合
【学資年金】18歳:100万円(100%)、18歳~22歳:毎年50万円ずつ(50%)
118.6%

※男性30歳、子ども0歳、月払で試算。プラン・契約内容によって返戻率等は変わることがあります。

現在の状況でこれだけの返戻率は、保険会社としてかなり努力していると言えるでしょう。資金に余裕があるなら、保険料を一括払いすることで、さらにお得になります。とは言え、5年間で保険料を全額支払ってしまうのはかなり負担が大きいです。支払いが苦しくなって滞納してしまったり、結局、解約してしまっては本末転倒ですから、目先の返戻率だけに惹かれて安易に契約してしまうことは避けましょう。家族のライフプランをしっかり見据えて、お金の計画を立てることが大切です。

すでに契約済の学資保険には影響なし。高返戻率の契約を解約しないこと!

なお、今回の変動は、すでに契約済の保険には関係しません。契約時点で利率が固定されますから、変動前に契約した学資保険については変動前の返戻率が適用されますので安心してください。(逆に言えば、今後、大幅に返戻率が上がるようなことがあってもその恩恵は得られないわけですが……)

保険のこの性質ゆえに、過去の高金利時代に契約した保険がいわゆる「お宝保険」になることがあります。高い利率のまま、どんどん積み立てられていくわけですから、非常に有利になります。今後の金利の動きがどうなっていくか分からないにせよ、今、契約している学資保険も、将来のお宝にならないとも限りません。一度解約してしまうと、過去の利率で契約することは二度とできませんので、現在、高利率で契約している保険がある人は決して途中解約してしまわないよう、気に留めておきましょう。

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