学資保険は「金融良品」として優秀なのか?

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学資保険は金融教育費の準備といえば学資保険が有名ですが、教育費の積立は学資保険でないとできないわけではありません。馴染みの深い定期預金や積立預金もあれば、投資信託や個人向け国債という手もあります。

複数の選択肢があるにもかかわらず、学資保険が人気なのは、知名度のおかげなのでしょうか? それとも、金融商品として優れているから選ばれているのでしょうか? 教育費の準備に使えそうな他の金融商品と比較し、学資保険の「金融商品としての価値」を考えたいと思います。

優秀な金融商品とは

比較の前に、一般的な「良い金融商品」の定義付けをしておきましょう。 金融商品の良しあしは、『安全性』『収益性』『流動性』の3つの要素を備えているかどうかで決まります。平たく言えば、元本割れせず、たくさんのリターンが得られ、いつでも自由に換金できる商品がいいということです。

とはいえ、これらをすべて兼ね備えたものは存在しません。収益性が邪魔をするからです。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という諺があるように、リターンを求めるなら相応のリスクを取る必要があり、安全性や流動性との共存が難しくなります。

図

お金を増やすための金融商品ですから、ある程度の収益性がないと困りますが、だからと言って流動性と安全性を軽視するわけにはいきません。それぞれがバランスよく備わっているのが一番でしょう。

学資保険の実力はいかに?

収益性は比較的高い

学資保険のリターンは、積み立てたお金が最終的にいくらプラスされて戻ってくるかの『返戻率』で確認できます。高いものだと110%を超えますが、マイナス金利の影響を受け、最近の相場は105~6%程度でしょう。キリがいいところで110%として計算すると、保険料の総払込額が100万円だった場合、110万円が戻ってくることになりますね。つまり利益は10万円ですので、18歳満期の場合の利回りは以下の計算式で0.55%になります。

10万円÷18年÷100万円=0.55%

銀行預金などの金利に直すと少し計算がややこしいので割愛しますが、だいたい1.3%になります。

では、他の金融商品の収益性の相場を見てみましょう。銀行預金、低解約返戻金終身保険、個人向け国債(変動10年)、投資信託で比べてみました。

収益性の比較
商品 返戻率・(金利)・[利回り]の相場
普通預金 低い:(0.01~0.02%)
定期預金 やや高い:(0.1~0.3%)
低解約返戻金型終身保険 高い:110~120%・(1.3~1.5%)
個人向け国債(変動10年) やや低い:(0.05% ※)
投資信託 高い:[2~7%]

※平性29年第82回時点の税引前金利

銀行預金よりは明らかに勝っています。ネットバンクの定期預金は、キャンペーンの併用で1%近いものもありますが、それでも学資保険には及びません。

変動10年の個人向け国債は、満期までの金利をどう仮定するかによってまったく違う結果になります。しかし現実的に、さほど変動しないと考えるなら学資保険の方が有利です。

低解約返戻金型終身保険はほぼ互角。トップ商品対決ではやや学資保険が劣る傾向にあり、なおかつ終身保険は解約せずに寝かしておける(=その間、返戻率が上がる)ことから、終身保険の勝利とします。

純粋にリターンの振幅が大きいのは投資信託ですが、商品によって利回りが異なるうえ、元本割れするリスクもあります。

流動性は非常に低い

学資保険は収益性と流動性が共存できない典型的な商品といえます。祝金の据え置きなどには対応できるものの、基本的には満期時にしかお金を受け取れません。低解約返戻金型終身保険も似たところがありますが、先ほどふれたとおり、そのとき必要なければ継続して積み立てることができます。その後はいつでも自由に引き出せることから、学資保険よりは流動性が高いといえます。

他の金融商品についてもまとめてみました。

流動性の比較
商品 流動性
普通預金 高い:デメリットなく自由に引き出せる
定期預金 やや低い:中途解約すると収益性は落ちるが元本保証はある
低解約返戻金型終身保険 低い:中途解約すると大きく元本割れする
個人向け国債(変動10年) やや低い:発行から1年は換金できない
投資信託 ―:商品により異なる

当然というべきか、最も流動性が高いのは普通預金。収益性が低い代わりに流動性はピカイチです。

定期預金は、満期まで解約しないことが前提なので、その意味では学資保険や終身保険と同じですが、中途解約しても特別なペナルティは発生しないため、学資保険より高いといえます。

変動10年の個人向け国債は、発行から1年間経過しないと換金できません(固定5年型は2年間)。そのため流動性は「やや低い」としましたが、学資保険は短期払込でも最短で5年がやっとなので、学資保険より遥かに高いです。

投資信託は商品によりさまざまです。即日換金できるものもあれば、受け取りまで一定期間かかるものもあります。一般的に、収益性の低いものは流動性が高い傾向があります。

安全性は微妙なライン

預けたお金が目減りしたり、予想外の出来事で損したりする可能性はどうでしょうか。

まず、学資保険は、医療保障や育英年金がセットになった「保障型」を選ばなければ元本割れすることはありません。固定金利なので、市場が傾いても契約時に決めたリターンが保障されます。

注意したいのは中途解約で、契約継続期間によっては積立金が7割ほどしか戻ってきません。突然の減給やリストラなど、契約を続行しがたいトラブルが起こったとき、学資保険は対応できません。

保険会社が倒産する可能性も考慮する必要があります。破綻したからといって積立金がパアになるわけではありませんが、減額になる可能性は大いにあります。これらのリスクは低解約返戻金型終身保険にも当てはまります。

安全性の比較
商品 リスク
学資保険 ・保険会社の倒産による積立金の減額
・中途解約によるペナルティ
低解約返戻金型終身保険
普通預金 銀行の倒産
定期預金
国債(変動10年) ・金利の変動
・中途解約によるペナルティ(直近2回の金利)
・日本の財政破綻
投資信託 運用の失敗による元本割れ

銀行も保険会社と同様、破綻する可能性がありますが、1,000万円以下なら『預金保険制度』に基づいてきちんと保護される仕組みになっています。

変動10年の個人向け国債は、元本保証こそされているものの、中途解約に対するペナルティは直近2回分の金利と決められており、市場次第では痛いペナルティを支払うことになります。

投資信託は、リスクをとってリターンを求めるものですから、相場の暴落等により元本割れする危険性は大いにあります。今回のラインナップのなかでは最も安全性が低いです。

まとめると……

  • 収益性…★★★
  • 流動性…★
  • 安全性…★★☆

学資保険の金融商品としての点数を付けてみました。収益性はそこそこあるのに、やはり流動性の低さが目立ちます。

しかし一方で、これが「強み」であると意見する専門家もいます。そのときの懐具合で自由に引き出したりできず、子どもの将来のために半強制的に貯蓄できるところにメリットがあるという見方です。

【参考】学資保険は、教育資金の積み立てとしておすすめ?|FPアンサーズ

そう考えると、学資保険は金融商品としては特に優秀ではありませんが、「教育資金のための金融商品」としてはマッチしているのかもしれません。

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