もくじ

  1. HOME
  2. 商品の徹底分析
  3. 保険商品の一覧
  4. FWD富士生命のがん保険

約款から見るFWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」の特徴

FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」について、約款の表記から注目すべきポイントを見ていきましょう。

今回、確認した約款は下記ページから2017年9月22日に閲覧ました。

http://article.fwdfujilife.co.jp/yakkan/download.html?id=cate44

がんの定義・診断確定について

この商品ではがんをどのように定義しているのでしょうか。約款にはこうあります。

(1)「悪性新生物」とは、平成27年2月13日総務省告示第35号に定められた分類項目中下記のものとし、 分類項目の内容については、厚生労働省大臣官房統計情報部編「疾病、傷害および死因統計分類提要ICD-10(2013年版)準拠」によるものとします。

(別表29 対象となる悪性新生物(2017))

それが商品の保障対象である「がん」だと言えるかどうかは、厳密な基準で決めておかなくてはなりません。この約款では、WHOの定めている疾病の分類基準である「ICD-10(2013年版)」に従って判断するよ、としているわけです。現在、多くの保険商品では、「ICD-10(2003年版)」に従うとしているものが多く、この約款はより新しいものを使用しているので、医学的にはより望ましいと言えます。

WHOの基準は改訂されることがあります。そのため、時期によってこの定義は古くなることもありえます。そんな場合に備えて、新たな分類が発表された場合はそちらに従うとしている約款もあるのですが、この約款にはそういった記述はありませんでした。

次に、診断確定について見てみましょう。がんの定義がわかったとして、ある人の病気が定義上のがんにあたるかどうか判断するには、医師の診断が必要です。約款ではこう書かれています。

2.悪性新生物の診断確定は、病理組織学的所見(生検・剖検)により医師の資格を持つ者によってなされるものとします。ただし、病理組織学的所見(生検・剖検)が得られない場合は、他の所見による診断確定も認めることがあります。

(無解約返戻金型悪性新生物療養保険(2017)普通保険約款 第4条)

「病理組織学的所見(生検)」というのは、大ざっぱに説明すると「細胞を切り取って詳しく調べること」です。この方法が、医学的にはがん診断のスタンダードだとされています。ポイントは、「ただし、病理組織学的所見(生検)が得られない場合には、他の所見 による診断確定も認めることがあります」という部分で、他の調べ方でもいいよ、と認めている記述になります。

他の保険商品の約款では、ここを、「病理組織学的所見(生検)」しか認めないとするものもあります。諸事情で「病理組織学的所見(生検)」が行えない場合もあるようですが、そういう場合、「病理組織学的所見(生検)」を優先する約款では「病理組織学的所見(生検)」が行えない理由が明確である場合に限り、という記述があります。

それに比べてこの約款はゆるい記述です。一般の方の考えだと、ゆるいほうが、がんと診断されやすいのだから患者には有利(保険金を受け取りやすい)と思えなくもないですが、実は良いことではありません。他の診断方法は医師・医療機関により診断の精度に差が出るため、「病理組織学的所見(生検)」なら確定したはずの診断が確定しない、といったことも起こります。

保障内容について

保障内容について見ていきましょう。

・悪性新生物診断給付金、悪性新生物初回診断一時金

この保険の主契約はほぼ診断給付金のみです。約款上でもわかりやすい記述になっています。

被保険者が責任開始期以後の保険期間中に次のいずれかに該当したとき

(1)初めて悪性新生物と診断確定されたとき

(2)前回の悪性新生物診断給付金の支払事由が生じた日から起算して2年を経過した日の翌日以後に、責任開始期以後の保険期間中に診断確定された悪性新生物の治療を直接の目的として病院または診療所において入院を開始したときまたは通院をしたとき

(無解約返戻金型悪性新生物療養保険(2017)普通保険約款 第5条)

初回は診断確定を条件としていますが、2回目以降は入院・通院が条件となっている点は注意が必要です。給付間隔は2年以降ということで、これは一般的な形です。間隔の数え方を「前回の悪性新生物診断給付金の支払事由が生じた日から」としています。ここが「治癒または寛解してから~」などの表現ですと、解釈の幅が出てきますので、明解な約款であると言えます。

悪性新生物初回診断一時金特約という特約をつけることで、初回のみ、給付金額を上乗せできます。

・死亡給付金

主契約に含まれている給付金です。死亡給付のあるがん保険は少数派ですが、仕組みを約款で見てみると次のようになっています。

1.当社は、次の表のとおり死亡給付金を支払います。

支払事由 被保険者が保険料払込期間満了後の保険期間中に死亡したとき
支払額 悪性新生物診断給付金額×10%
受取人 死亡給付金受取人
免責事由 保険契約者または死亡給付金受取人の故意により上記の支払事由が生じたとき

(無解約返戻金型悪性新生物療養保険(2017)普通保険約款 第6条)

保険料が有期払である場合に限り、保険料払込期間満了後の死亡に支払う、とありますので、これは死亡保障というより、解約返戻金に近いものだとわかります。誤解して過剰な期待をしないようにしたいところです。死亡の理由を定めていないので、がん以外の死亡でも支払われます。

・上皮内新生物診断給付金

この商品は、主契約では、上皮内がんを対象としていないため、上皮内がんの保障がほしい場合は特約で追加する必要があります。上皮内がんの保障は不要と考える人には嬉しい構成でしょう。

上皮内がんの診断確定は悪性新生物の場合と同じですが、同時に悪性新生物と上皮内がんの診断が下った場合、あるいは一度上皮内がんと診断されたけれど、後で悪性新生物とわかった、またはその逆の場合について、以下のような取り決めがあります。

6.主契約の悪性新生物診断給付金およびこの特約の上皮内新生物診断給付金の支払事由に該当した場 合、悪性新生物診断給付金の支払事由の原因となった疾病と上皮内新生物診断給付金の支払事由の原 因となった疾病が同一または医学上の因果関係があると当社が認めたときは、本条1.にかかわらず 次に定めるとおり取り扱います。

(1)上皮内新生物診断給付金を支払う前に、悪性新生物診断給付金の支払請求を受けたとき 悪性新生物診断給付金を支払い、上皮内新生物診断給付金を支払いません。
(2)上皮内新生物診断給付金を支払った後に、 悪性新生物診断給付金の支払請求を受けたとき 悪性新生物診断給付金額から上皮内新生物診断給付金額を差し引いた金額を悪性新生物診断給付金として支払います。

(上皮内新生物診断給付金特約条項(2017) 第5条)

たまたま個別に悪性新生物と上皮内がんができたというわけではない場合、悪性新生物診断給付金が支払われるということのようです。

上皮内新生物診断給付金は2年以上の間隔で複数回給付がありますが、給付条件は悪性新生物診断給付金と異なる部分があります。

5.被保険者が前回の上皮内新生物診断給付金の支払事由該当日から起算して2年以内に上皮内新生物 診断給付金の支払事由が新たに該当した後、次のいずれかに該当した場合は、該当したその日に新たな上皮内新生物診断給付金の支払事由に該当したものとみなして上皮内新生物診断給付金を支払います。

(1)前回の上皮内新生物診断給付金の支払事由該当日から起算して2年を経過した日の翌日(保険期間中に限ります。)に、上皮内新生物の治療を直接の目的とした病院または診療所における入院をしているとき

(2)前回の上皮内新生物診断給付金の支払事由該当日から起算して2年を経過した日の翌日以後の保険期間中に、上皮内新生物の治療を直接の目的とした病院または診療所における入院を開始したとき

(3)前回の上皮内新生物診断給付金の支払事由該当日から起算して2年を経過した日の翌日以後の保険期間中に、上皮内新生物の治療を直接の目的とした病院または診療所における通院をしたとき

(上皮内新生物診断給付金特約条項(2017) 第5条)

わかりづらいですが、前回から2年以内の診断確定では給付されませんが、2年経過後に、2年以内に診断確定された上皮内がんによる入院・通院を行えば給付されるということです。この分だけ、悪性新生物よりも広い保障になっていると言えます。

・抗がん剤治療給付金・がん放射線治療給付金

がん治療給付金特約をつけることで、抗がん剤治療・放射線治療を受けた場合に給付金が受け取れます。

1.当社は、次の表のとおり抗がん剤治療給付金を支払います。

支払事由 被保険者がこの特約の保険期間中に次のすべてを満たす入院または通院をしたとき
(後略)

(がん治療給付金特約条項(2017) 第5条)

1.当社は、次の表のとおり、がん放射線治療給付金を支払います。

支払事由 被保険者がこの特約の保険期間中に次のすべてを満たす放射線治療を受けたとき
(後略)

(がん治療給付金特約条項(2017) 第6条)

いずれも、入院だけが条件ではないところが使い勝手が良いと言えます。

・がん手術給付金

手術給付について見てみます。約款では手術を以下のように定義しています。

*1 「手術」とは器機、器具を用いて、生体に切開、切断、結紮、摘除、郭清、縫合などの操作を加えることをいい、ドレナージ、穿刺、神経ブロック、輸血、血液照射、骨髄移植、さい帯血移植および術中術後自己血回収術は除きます。

(がん手術特約条項(2017) 第5条)

約款によって、放射線治療や骨髄移植を手術に含め、保障しているものがありますが、この約款では含まれていませんので、診断給付金や放射線治療給付金で対応することが前提になっているようです。

・がん先進医療一時金

先進医療を受けた場合、ガン先進医療給付金として技術料相当額(実損)が受け取れ、加えてその20%相当がガン先進医療支援給付金として受け取れます。先進医療保障としては一般的なものかと思います。

先進医療の技術料は全額患者負担になるため、先進医療保障の必要性は高いのですが、先進医療によっては必ずしも患者がすべて負担しない場合もある(一部の技術についてはメーカー負担となる)ため、この記述は問題とする意見もあるようです。わずかな保険料で、多額の給付金を受け取れるという意味では、患者には有利なのですが……。

まとめ

がんの定義・診断確定について
がんの定義 「ICD-10(2013年版)」を使用。新しい基準が使用されており望ましい。
基準変更の場合 記載なし。
診断確定 「病理組織学的所見(生検)」を基本とするが、それ以外の所見による診断確定も認めている。医療機関によって診断確定に差が出る可能性がある。
保障内容について
悪性新生物診断給付金、悪性新生物初回診断一時金 主契約を診断給付に絞り、仕組みもシンプルでわかりやすい。
診断給付金の複数回払い 間隔が2年以上。一般的な内容。
上皮内新生物診断給付金 上皮内がんの保障を特約として分離し、上皮内がん保障は不要という考えに応える一方、悪性新生物より給付条件がやや拡張されている。
抗がん剤治療給付金・がん放射線治療給付金 入院を条件としない給付で使い勝手が良い。
がん手術給付金 放射線治療、骨髄移植は手術に含まない。
がん先進医療一時金 一般的な内容。

【参考文献】

  • 「比較検証、がん保険」佐々木光信/保険毎日新聞社
  • 「がん保険に加入する前に読む本」菊地勉/セルバ出版

スポンサーリンク

診断給付金? 抗がん剤保障? プロFPはここを見る!

プロFP25人が本音で評価 『2016年のおすすめがん保険人気ランキング』
がん保険は商品によって保障内容の違いが大きく、比較がしにくい保険だと言えます。そこで、プロのFP25名に注目のがん保険を挙げてもらい、ランキングにしてみました。プロが評価するがん保険とはどんな商品なのか? 保険選びの参考にしてください!…