「白血病」「悪性リンパ腫」はがん保険の保障の対象か?

「白血病」を「血液のがん」と表現しているのを聞いたことがある人も多いでしょう。病名に「がん」とついていなくても、白血病はがんの一種であり、がん保険の対象になります。 ここでは血液のがんと、がん保険について、まとめました。

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「血液のがん」、白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫とは?

がんには、大きく分けて「固形がん」と「血液がん」とがあります。固形がんは、特定の臓器や組織などに、がん細胞の塊を作ります。たとえば、胃がんや肺がん、乳がんは固形がんです。一方、血液がんは造血幹細胞の異常が原因となり、白血球やリンパ球ががん化するものです。3大血液がんと言われるものが、「白血病」「悪性リンパ腫」「多発性骨髄腫」です。

血液は、骨の中の骨髄にある造血幹細胞からつくられています。造血幹細胞が分化することで、赤血球や白血球、血小板といった血液細胞がつくられているのですが、血液がんは、多くの場合、造血幹細胞が分化の過程でがん化することによって引き起こされます。かつては不治の病でしたが、最近は抗がん剤や造血幹細胞移植など治療法が進歩したことによって、生存率が向上しています。

(1)白血病

白血病は、骨髄中の造血幹細胞ががん化する病気です。がん細胞がどこで発生したのかによって、骨髄性とリンパ性があり、それぞれ急性と慢性に分けられます。 急性白血病は、造血幹細胞のがん化によって正常の造血ができなくなり、急速にがん細胞が増殖します。慢性白血病は、がん細胞の増殖はゆっくりですが、死滅しないがん細胞が身体の中で徐々に増えていきます。 急性・慢性ともに、抗がん剤による化学療法が主流で、特に新しい分子標的薬(抗がん剤の一種)による治療がなされることも増えてきています。また、がんの種類によって再発のリスクが高い場合など、造血幹細胞移植をする場合もあります。

(2)悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とは白血球の一種、リンパ球ががん化して増える病気です。がんになったリンパ球細胞は全身のリンパ節で病巣を作ります。そのため、首やわきの下、足の付け根などのリンパ節が腫れることが多いのですが、リンパ節は全身にあるので、どこに病巣ができてもおかしくありません。 治療は複数の抗がん剤を組み合わせて行う化学療法が一般的です。分子標的薬による治療も行われるようになってきています。白血病と同様、再発した場合やリスクが高い場合は、造血幹細胞移植をします。

(3)多発性骨髄腫

多発性骨髄腫は、骨髄中で抗体をつくる形質細胞ががん化して、全身の骨髄で増える病気です。女性よりも男性に多く、年々増加傾向にあります。がん細胞が骨を破壊しながら増えていくため、骨の痛みがあり、骨折しやすくなります。治療は、病気のタイプや進行度によって変わりますが、抗がん剤による治療に、自家造血幹細胞移植を加える方法もあります。 3大血液がんの患者数を調べてみました。

3大血液がん罹患者数(2012年、全国推計値)

病名性別罹患率(人口10万人対)
白血病男性7,297人11.8%
女性4,912人7.5%
悪性リンパ腫男性1万5,329人24.7%
女性1万1,303人17.3%
多発性骨髄腫男性3,566人5.7%
女性3,311人5.1%
※国立がん研究センター がん対策情報センター

「血液のがん」はがん保険で保障される?

「血液のがん」も、がんの一種。そのため、がん保険の保障の対象になります。血液のがんは臓器にできた固形のがんではないので、手術では対応できません。治療は、抗がん剤による化学療法が主流です。また、近年は分子標的薬による治療が行われることが増えてきました。

また、血液のがんには、造血幹細胞移植という治療法があります。これは、大量の抗がん剤で可能な限りがん細胞を減らした後に、あらかじめ採取しておいた、本人の正常な造血幹細胞を移植(=点滴)することで、正常な骨髄細胞の機能を取り戻す方法です。あるいは、本人ではなくほかのドナー(提供者)のものを移植する場合もあり、幹細胞の種類(骨髄液、末梢欠、臍帯血)などによっても、治療の進め方や合併症が大きく変わります。

こうした治療のために入院・手術をした時には、入院給付金・手術給付金の対象になります。ただし、移植を受ける場合の移植コーディネートにかかる費用は、手術給付金などでは保障されないこともあります。がんと診断されたら受け取れる診断給付金などの一時金を充てることになるでしょう。

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