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約款から見るチューリッヒ生命の「終身ガン治療保険プレミアム」の特徴

チューリッヒ生命の「終身ガン治療保険プレミアム」について、約款の表記から注目すべきポイントを見ていきましょう。

今回、確認した約款は、下記ページから「インターネット申込専用約款」とされているものを2017年8月23日に閲覧ました。

http://www.zurichlife.co.jp/faq/others/clause

がんの定義・診断確定について

この商品ではがんをどのように定義しているのでしょうか。約款にはこうあります。

1.対象となるガンとは、平成6年10月12日総務庁告示第75号に定められた分類項目中下記のものとし、分類項目の内容については「厚生労働省大臣官房統計情報部編 疾病、傷害および死因統計分類提要ICD-10(2003年版)準拠」によるものとします。

(別表56 対象となるガン )

それが商品の保障対象である「がん」だと言えるかどうかは、厳密な基準で決めておかなくてはなりません。この約款では、WHOの定めている疾病の分類基準である「ICD-10(2003年版)」に従って判断するよ、としているわけです。ICDには2013年版もあるのですが、現状、多くの保険商品で2003年版が使用されており、その意味で、一般的ながん保険と言えます。

ただ、約款には、次のような記述もあります。

1.上記1.の厚生労働省大臣官房統計情報部編「疾病、傷害および死因 統計分類提要」において、新たな分類が施行された場合で、上記1.に掲げる疾病以外に新たに悪性新生物または上皮内新生物に分類された疾病があるときには、会社が特に認めた場合に限り、その疾病を対象となる悪性新生物または上皮内新生物に含めることがあります。

WHOの基準は改訂されることがあります。そのため、時期によってこの定義は古くなることもありえます。そこで、分類が新しくなったときには、新しい基準に従うよ、という意味なのですが、よく見ると「会社が特に認めた場合に限り」との文言があるのが気になります。新しい分類に従うつもりはあるけど、保険会社がそう決めた場合だけ=保険会社の意志次第で新しい分類には従わない場合もあると解釈できます。

実際、そのときにどう判断されるのかわかりませんが、無条件で新しい基準を受け入れるルールにはなっていないようです。

次に、診断確定について見てみましょう。がんの定義がわかったとして、ある人の病気が定義上のがんにあたるかどうか判断するには、医師の診断が必要です。約款ではこう書かれています。

2. 悪性新生物の診断確定は、病理組織学的所見(生検)により、日本の医師または歯科医師の資格を持つ者によってなされることを要します。ただし、病理組織学的所見(生検)が得られない場合には、他の所見による診断確定も認めることがあります。

(無解約返戻金型終身ガン治療保険(抗がん剤等保障)普通保険約款 第1条)

「病理組織学的所見(生検)」というのは、大ざっぱに説明すると「細胞を切り取って詳しく調べること」です。この方法が、医学的にはがん診断のスタンダードだとされています。ポイントは、「ただし、病理組織学的所見(生検)が得られない場合には、他の所見 による診断確定も認めることがあります」という部分で、他の調べ方でもいいよ、と認めている記述になります。

他の保険商品の約款では、ここを、「病理組織学的所見(生検)」しか認めないとするものもあります。諸事情で「病理組織学的所見(生検)」が行えない場合もあるようですが、そういう場合、「病理組織学的所見(生検)」を優先する約款では「病理組織学的所見(生検)」が行えない理由が明確である場合に限り、という記述があります。

それに比べてこの約款はゆるい記述です。一般の方の考えだと、ゆるいほうが、がんと診断されやすいのだから患者には有利(保険金を受け取りやすい)と思えなくもないですが、実は良いことではありません。他の診断方法は医師・医療機関により診断の精度に差が出るため、「病理組織学的所見(生検)」なら確定したはずの診断が確定しない、といったことも起こります。

保障内容について

保障内容について見ていきましょう。

・放射線治療給付金、抗がん剤・ホルモン剤治療給付金

この商品の主契約です。

放射線治療給付金 被保険者がつぎのすべてを満たす放射線治療を受けたとき
(後略)

(無解約返戻金型終身ガン治療保険(抗がん剤等保障)普通保険約款 第2条)

抗がん剤・ホルモン剤治療給付金 被保険者がつぎのすべてを満たす別表8に定める入院(以下「入院」といいます。)または別表51に定める通院(以下「通院」といいます。)(往診を含みます。以下同じ。)をしたとき
(後略)

(がん治療給付金特約条項(2017) 第6条)

いずれも、入院だけが条件ではないところが使い勝手が良いと言えます。通院には往診も含み、保障の対象は広いです。

まとまった一時金はなんにでも使える自由度がありますが、治療が長期化したときにじわじわとかさんでいく負担にどれだけ耐えられるかという問題があります。この商品は長期化のおそれがあり、負担が大きい放射線治療と抗がん剤治療について、無制限で給付されるのがポイントであり、その仕組みがわかりやすく提示されています。

・ガン診断給付金

診断給付金も、特約で付加することができます。

(1)責任開始期(復活が行われた場合の特約については、最後の復活の際の責任開始期。以下同じ。)以後に、この特約の責任開始期前を含めて初めてガンと診断確定されたとき

(2)前(1)の初めてガンと診断確定された日からその日を含めて2年を経過した日の翌日以後に、診断確定されたガンの治療を直接の目的として入院(別表8)を開始したとき

(がん治療給付金特約条項(2017) 第2条)

「この特約の責任開始期前を含めて初めて」という文言が気にかかります。通常、過去にがんと診断されていれば、この特約を付加することがそもそもできないはずですが……。

給付間隔は2年以降ということで、これは一般的な形です。間隔の数え方を「前回の悪性新生物診断給付金の支払事由が生じた日から」としています。ここが「治癒または寛解してから~」などの表現ですと、解釈の幅が出てきますので、明解な約款であると言えます。

・ガン入院給付金

入院したときに日額給付が受け取れる特約です。

がん保険の入院保障は当然、がん治療のための入院に限られます。それ以外の入院は保障されませんが、それ以外の入院中にがんが発覚した場合はどうなるでしょうか。約款にはこのような記載があります。

4.被保険者がガン以外の原因による入院中にガンの治療を開始したときは、その治療を開始した日にガンの治療を直接の目的とする入院を開始したものとみなします。

(ガン入院特約 第2条)

がんの治療開始日=入院開始日ということのようです。一般的な取り扱いかと思います。

・ガン手術特約

手術保障について見てみます。対象となる手術は公的保険に連動する形で示されています。

(3)別表41に定める公的医療保険制度(以下「公的医療保険制度」といいます。)における別表45に定める医療診療報酬点数表(以下「医療診療報酬点数表」といいます。)に手術料の算定対象として列挙されている診療行為または輸血料の算定対象として列挙されている造血幹細胞移植であること

(ガン手術特約 第2条)

・ガン通院給付金

通院保障ですが、この商品では入院を条件としています。

(3)つぎのいずれかに該当する通院であること

ア.ガンの治療を直接の目的とする入院をした場合で、その入院の入院日の前日からその日を含めて遡及して60日以内の期間(以下「入院通院期間」といいます。)に、その入院の直接の原因となったガンの治療を直接の目的として行われた通院

イ.ガンの治療を直接の目的とする入院をし、その入院の退院日の翌日からその日を含めて365日以内の期間(以下「退院後通院期間」といいます。)に、その入院の直接の原因となったガンの治療を直接の目的として行われた通院

(ガン通院特約 第2条)

これではまったく入院をともなわない通院は保障されないことになるので、最近のがん治療の傾向に照らして、最大限のニーズに応えているかは疑問です。

・ガン先進医療給付金、ガン先進医療支援給付金

先進医療を受けた場合、ガン先進医療給付金として技術料相当額(実損)が受け取れ、加えてガン先進医療支援給付金として定額15万円が受け取れます。先進医療保障としては一般的なものかと思います。

先進医療の技術料は全額患者負担になるため、先進医療保障の必要性は高いのですが、先進医療によっては必ずしも患者がすべて負担しない場合もある(一部の技術についてはメーカー負担となる)ため、この記述は問題とする意見もあるようです。わずかな保険料で、多額の給付金を受け取れるという意味では、患者には有利なのですが……。

まとめ

がんの定義・診断確定について
がんの定義 「ICD-10(2003年版)」を使用。現在のがん保険商品としては一般的な定義。
基準変更の場合 「「会社が特に認めた場合」に限り、新しい基準に従うとの記載。
診断確定 「病理組織学的所見(生検)」を基本とするが、それ以外の所見による診断確定も認めている。医療機関によって診断確定に差が出る可能性がある。
保障内容について
放射線治療給付金、抗がん剤・ホルモン剤治療給付金 主契約を治療給付に絞り、仕組みもシンプルでわかりやすい。
ガン診断給付金 一般的な内容。
診断給付金の複数回払い 間隔が2年以上。一般的な内容。
ガン入院給付金 一般的な内容。
ガン手術給付金 一般的な内容。
ガン通院給付金 入院を条件とする。
ガン先進医療給付金、ガン先進医療支援給付金 一般的な内容。

【参考文献】

  • 「比較検証、がん保険」佐々木光信/保険毎日新聞社
  • 「がん保険に加入する前に読む本」菊地勉/セルバ出版

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