どこで借りるのが有利?「公的と民間」「銀行とノンバンク」の違いを解説

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住宅ローンは、どこで借りられるのでしょうか? まず思いつくのが銀行、そしてフラット35を提供する住宅金融支援機構ですが、選択肢はこれだけではありません。

住宅ローンの種類は、大きく分けると公的ローン(公的融資)民間ローン(民間融資)があります。それぞれの特徴や条件、取り扱い機関・企業を簡単に解説します。

公的ローンとは?

公的ローンとは文字通り、公的機関が貸し出す住宅ローンです。かつては民間ローンの審査が厳しく、金利水準が高めだったため、住宅ローンと言えば、政府系金融機関である住宅金融公庫が圧倒的なシェアを占めていましたが、官から民への行政改革の流れを受けて廃止となりました。2007年4月に、住宅金融支援機構へ移行してからは、民間企業と共同提携するフラット35の取り扱いが中心となり、従来の公庫融資のスタイルとは大きく様変わりしています。

公的ローンは住宅金融支援機構以外に、自治体が実施するものや財形制度の一環として住宅ローン融資が受けられるものがあります。かつては国民年金や厚生年金の加入者を対象とした、年金住宅融資が実施されていましたが、2005年1月31日に終了しました。

自治体融資

地方自治体が窓口となり、融資を提供する住宅ローンです。借り入れには、一定期間以上、その都道府県や市町村に居住または勤務しており、住民税の滞納がなく、収入制限などの条件をクリアする必要があります。ほかの住宅ローンよりも有利な金利条件で融資が受けられ、民間の金融機関から借りたローンに対して、金利の一部を自治体が補給してくれる利子補給制度が利用できるのでメリットは多いです。しかし、最近は財政状況の悪化から自治体融資が縮小化されています。

財形住宅融資

勤務先に財形制度があり、天引きなどで財形貯蓄を行っている場合に、事業主を通じてマイホーム取得に必要な資金融資が受けられる公的ローンです。融資条件は、1年以上継続して財形貯蓄を積み立てた経験があり、貯蓄残高が50万円以上あること。借入額は貯蓄残高の10倍(4,000万円まで)、もしくは住宅購入額の80%まで設定することができます。

ほかの住宅ローンより金利条件が良く、金利の一部を勤務先が負担する利子補給制度や住宅手当が支給されるなどの援助措置があり、さらに融資手数料が無料といったメリットがあります。なお、子育て中の勤労者は、当初5年間は0.2%金利を引き下げて融資が受けられる特例措置がとられています(平成30年3月31日まで)。

融資金利は、5年固定金利です。会社によって財形住宅融資のしくみや申込先が異なるため、勤務先の融資担当部署や福利厚生担当部署に問い合わせてください。

  1. 会社が財形貯蓄制度を行っており、住宅資金を転貸する場合 → 勤務先
  2. 会社が財形住宅金融株式会社に出資している場合 → 財形住宅金融株式会社(財住金)
    ※事業主に代わって、住宅資金の融資を行う目的で設立された厚生労働大臣登録の福利厚生会社
  3. 上記に当てはまらない場合(勤務先または共済組合などに財形住宅融資制度がないか、または制度があっても転退職が間近で長期の返済が利用できない場合など) → 住宅金融支援機構
  4. 公務員 → 勤務先の共済組合

民間ローンとは?

民間ローンは、民間の企業が提供する住宅ローン融資です。メガバンクや地方銀行のイメージが強いですが、住宅ローンを取り扱っているのは金融機関とは限らず、住宅・保険など多業種の企業・団体でも融資を受けることができます。公的ローンに比べて金利設定や審査基準がさまざまで、近年はネットバンクの参入で販売競争が激化しており、多種多彩なプラン内容の商品が登場しています。

民間ローンは、大きく分けると銀行系ノンバンク系があり、それぞれ特徴が異なります。

■銀行系

都市銀行、地方銀行、信託銀行、信用金庫、労金金庫、ネットバンク

銀行系は規模が大きいことから、利用者のさまざまなニーズに対応した住宅ローン商品を販売しています。金利タイプの種類が多いのが特徴で、主力は変動金利型と10年以下の短期固定型。大手銀行では住宅ローン商品の8割が、変動金利型で占めています。

どの銀行もキャンペーンに力を入れており、優遇金利の適用で店頭金利(平たく言うと定価)よりもさらに低い金利で借り入れが可能です。銀行系は審査が厳しいところが多いですが、融資限度額を高めに設定できるのがメリットです。

同じ民間でも、信用金庫、労金金庫で住宅ローン融資を受ける場合は、会員資格の有無によって金利条件が異なる場合があります。近年は、手続きをすべてインターネット上で行うネットバンクが登場し、利用者も増加しています。実店舗を持たない分、さまざまな経費が押さえられることで、メガバンクにはない低金利の住宅ローンを実現しています。

ノンバンク系

■JA(農協)、モーゲージバンク(保険会社、住宅販売会社、クレジット会社)

銀行業務を行わず、住宅ローンだけを取り扱う金融機関や生命保険会社もあります。JA系の住宅ローンは、農業従事者が対象ですが、農家以外でも組合費を納めて准組合員になれば、住宅ローンを利用できる場合があります。

モーゲージバンクは聞き慣れない言葉ですが、これは住宅ローンの貸し出しを専業とする融資会社をさします。保険会社、住宅販売会社、クレジット会社などが多く参入しており、代表的なものとして、積水ハウス・大和ハウス工業・住友林業・積水化学工業・日立キャピタルの共同出資より誕生した日本住宅ローンがあります。モーゲージバンクはフラット30の取り扱いが中心ですが、銀行に比べて金利が低めの傾向にあります。

知っておきたい「提携ローン」について

民間の金融機関や保険会社が、住宅販売会社、不動産会社、ハウスメーカーと提携して住宅ローン融資を行うことを提携ローンといいます。わざわざ自分で住宅ローンの借り入れ先を探さなくても、不動産会社が提携銀行を紹介してくれるイメージです。新築マンションの場合、建設から分譲、住宅ローン融資まで一貫して同じグループ系列で行い、物件と提携ローンがセットになっていることもあります。

提携ローンを利用するメリットは、まず審査にかかる時間が比較的短いこと、審査の申請に必要な書類作成などを仲介業者が代行してくれるため手続きが楽なこと、そして通常よりも少ない頭金でローンが組め、金利が優遇されることが多いことです。

住宅金融支援機構が住宅ローン利用者を対象に行った、「住宅ローン決定に際して影響が大きかった媒体等」(2015年7 ~10月)の調査では、「住宅・販売事業者」の回答が30.4%と最も高い割合を占めました。メリットの多さだけでなく、「不動産会社のおすすめなら安心」と考え、提携ローンを利用する人が多いのが現状です。

しかし、不動産会社から言われるままに借入先を決定することが、必ずしも有利に働くとは限りません。不動産会社もビジネスですから、協定関係にある提携銀行を勧めるのは当然。場合によっては、利用者が直で金融機関に申し込んだ方がお得になることもあります。自分で住宅ローンを探すのは骨の折れる作業ですが、提携ローンよりも有利なキャンペーン金利を実施している銀行はたくさんあります。

要するに、どこで借りようと自由なので、提携ローンを利用する場合でも、ほかの金融機関の金利設定やキャンペーン内容はチェックするようにしましょう。

公的ローンと民間ローンの違いまとめ

一口に住宅ローンといっても、公的ローンと民間ローンがあり、最近では、ネットバンクやモーゲージバンクの登場で、住宅ローン商品は多様化しています。賢い住宅ローン選びのためにも、借入先とそれぞれの特徴は、ざっくりでもいいので把握しておきたいものです。

借入先 公的ローン 民間ローン
自治体融資
財形住宅融資
住宅金融支援機構

民間金融機関
銀行
信用金庫
ネットバンク
ノンバンク系
JA
モーゲージバンク
金利タイプ 長期固定型が中心 フラット35 変動金利、
短期型が中心
フラット35
長期型が中心
審査基準 緩め(物的審査重視) 厳しめ(人的審査重視)
保証料 不要 必要(ネットバンクは不要が多い)
メリット 手数料が不要、もしくは少額 金利優遇キャンペーンが豊富
利子補給制度がある 提携ローンの利用
デメリット 借入資格に条件がある 金融機関ごとに取引内容が異なる
借入限度額が低め 団体信用生命保険の加入が必須
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