機構団信と民間金融機関の団信との違いは? 収入保障保険で代用した方がお得?

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民間の金融機関で住宅ローンを借りるときは、原則として団体信用生命保険(以下、団信)に加入しなければなりません。住宅ローンの契約者が返済途中で死亡したり、高度障害状態になって働けなくなった場合、死亡保険金で残っている借金を完済させる仕組みです。

団信があることで、遺族は家を失わず、銀行は貸し倒れせずで、双方ともメリットが得られるというわけです。もちろん、生命保険ですから、健康状態に問題ありと判断されれば加入を拒否されます。したがって住宅ローンも融資してもらえないので、そういう人は「ワイド団信」といって、加入基準の緩い団信を狙うことになります。

※詳しくは、住宅ローンにかかわる「団体信用生命保険」とは?をご覧ください。

フラット35専門の「機構団信」とは

フラット35では、住宅金融支援機構(以下、機構)が用意している「機構団体信用生命保険(以下、機構団信)」を利用することができます。団信と同じく、住宅ローン契約者に万一のことがあれば残りの住宅ローンが全額弁済される仕組みで、死亡・高度障害状態に加え、3大疾病(悪性がん・急性心筋梗塞・脳卒中)で所定の状態になった場合も保障してくれる「3大疾病付機構団信」も用意されています。

ここでまでは民間金融機関の団信とそう変わりませんが、機構団信ならではの特徴もあります。

保険料が別途かかる

団信の場合、掛金は利用した金融機関が負担してくれますが、機構団信では「特約料」として毎年1回支払う必要があります。特約料は借入残高と特約料率(約0.3%)によって算出される決まりで、初年度が最も高く、ローンが減っていく次年度以降は安くなります(2年目以降はクレジット払可)。

目安として、機構HPにあるシミュレーションツールを使って掛金を算出してみました。

■借入金額2,000万円、元利均等返済、借入金利年1.10%の場合
返済期間 総支払額 1年目 5年目 10年目 15年目
15年 56万700円 7万1,600円 5万2,600円 2万8,400円 2,800円 20年目
20年 76万400円 7万1,600円 5万8,100円 4万500円 2万1,900円 2,200円 25年目
25年 95万7,200円 7万1,600円 6万1,400円 4万7,700円 3万3,300円 1万8,000円 1,800円 30年目
30年 115万7,600円 7万1,600円 6万3,500円 5万2,500円 4万800円 2万8,500円 1万5,400円 1,500円 35年目
35年 136万900円 7万1,600円 6万5,100円 5万5,900円 4万6,200万 3万5,900円 2万5,000円 1万3,500円 1,400円

これだけの費用が別払いになるなら、保険料がかからない民間金融機関の団信の方がトクじゃないかと思うかもしれませんが、民間の団信はなにもタダというわけではなく、保険料が住宅ローンの金利に含まれているのが実態なので、誤解のないよう。

連生保険「デュエット」が利用できる

機構団信には、夫婦が連帯債務(=夫・妻が返済に対して同等の責任を負う)で申し込んだ際に利用できる「デュエット」という生命保険があります。民間の金融機関では、たとえ連帯債務で契約しても団信の被保険者になれるのは一人だけですが、デュエットは「連生保険」といって、2人とも被保険者になれるつくりになっています。つまり、夫婦のどちらかに万が一のことがあった場合、互いの持分や返済額等にかかわらず、残りの住宅ローンが全額カバーされるということです。

通常の機構団信よりも保険料は上がるものの(1.56倍)、リスクヘッジとしては優れた手段だと思います。一度デュエットで申し込むと返済途中の変更が効かないこと、3大疾病付機構団信は選べないことなど、注意点をよく理解して利用するのであれば、夫婦別々で生命保険に加入するよりは遥かに安く、合理的です。

加入は任意である

民間の住宅ローンと違い、フラット35では団信への加入を義務付けていません。無保険でも借りることができますし、加入したとしてもいつでも解約できます(ただし再加入はできません)。このことから、機構団信の代わりに収入保障保険という民間の生命保険を利用する人もいます。

収入保障保険は、遺族への保障額はライフステージよって決まるものであり、必ずしも一定である必要はないという考えで設計されている保険で、年を取るごとに死亡保険金が減っていくのが特徴です(図1.2)。

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団信も住宅ローンの残債によって保障額が変わりますから、時間の経過と共に保険金額が逓減する点で共通しており、そこが”機構団信代わり”に適している理由です。ただし、保険金の受け取り方はまったく違い、遺族の手を通らず金融機関に一括で支払われる団信に対し、収入保障保険は、契約者の妻など指定した遺族のもとへ年金形式で支払われます(一括で受け取ることも可能)。

■機構団信と収入保障保険の違い
機構団信 収入保障保険
保険料 初年度が最も高く年々減る 変わらない
支払方法 年払い
※2年目以降はクレジットカード
払いによる分割払い可能
月払、年払等選択できる
割引 特になし 健康体または非喫煙者への割引あり
受取人 金融機関 指定した受取人
受取方法 一時払いで住宅ローンを弁済 年金形式、一時払い等の選択が可能

→収入保障保険について詳しくは、収入保障保険の教科書をご覧ください。

機構団信と収入保障保険とではどっちが得なの?

若い人ほど収入保障保険を利用した方が安くなるというのが一般論です。これは、機構団信が保険料の算出に年齢を考慮しないことや、健康体や非喫煙者を優遇する割引制度を設けていないためです。

以下はあくまで目安ですが、機構団信の特約料と、30歳、35歳で収入保障保険に加入したときの保険料とを比較してみました。

機構団信 収入保障保険A社(30歳) 収入保障保険A社(35歳)
総支払額 204万1,200円 157万9,200円 233万5,200円
備考 ・1年目支払額:10万7,300円
・35年目支払額:2,000円
・借入金額3,000万円、借入金利1.10%
・35年、元利均等返済
・3大疾病保障、デュエットの利用なし
・月払保険料:3,760円
・65歳満了
・年金支払保証期間:5年
・死亡・高度障害年金:毎月10万円
・割引なし
・月払保険料:5,560円
・70歳満了
・年金支払保証期間:5年
・死亡・高度障害年金:毎月10万円
・割引なし

ご覧のように、30代前半では収入保障保険の方が安く、中盤あたりからそう変わらないか、高くなる傾向にあるようです。もちろん商品によって違いますし、健康体割引などが適用されるかによっても変わってきますが、加入年齢が大きく関係することは間違いありません。

収入保障保険の方が割安になる場合は利用をお勧めしますが、やはり住宅ローン専門の生命保険ではないため、機構団信よりもやや面倒な調整が必要になる点、理解しておいてください。保険金額や保険期間を過不足なく設定するのは当然として、万一のことが起こった際は、金融機関に「相続届」のほか、「遺産分割協議書」という、相続が円滑に行われていることを示す書類の提出が求められることがあります。

大切なパートナーを失って意気消沈しているときに、手間のかかる手続きに翻弄されるのは非常に辛いと思います。保険料が安いからといって、それがお得とは限らないというのが当サイトの考えです。

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