親子リレーローンで収入合算するときに注意すべきことは?

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親子でお金を出し合って、二世帯住宅を建てたり買ったりする場合、親子リレーローンという借り方があります。

親子で収入合算する場合にどのような注意が必要なのか、借入要件や返済方法、メリットとデメリットを解説します。

親子リレーローンとは?

親子リレーローンとは、親子両方の名義で融資を受ける住宅ローンです。親が主債務者として住宅ローンを借り入れて、借入当初は親が返済していき、年齢が上がって返済が難しくなくなると、子に返済のバトンを渡します。返済を引き継ぐというのが親子リレーローンの大きな特徴で、同時にではなく、期間をずらして二世代に渡り住宅ローンを返済していきます。運動会のリレーのようなイメージですが、少し違うところは、必ずしも次の走者にバトンタッチしなくてもよいことです。親に収入や十分な貯蓄があれば、そのまま返済を続けていくこともできます。

住宅ローン図解【親子ペアローン】_03

年齢制限なく大きな融資が受けられるのがメリット

二世帯住宅は、キッチンや浴室、トイレなどの設備が2つずつ必要なので、一般住宅よりも建築費や購入金額が高くつきます。借入可能金額は年収で決められるため、どちらか1人だけの年収では、返済比率がオーバーしてしまい、借入希望額に満たないこともありますが、親子リレーローンでは親子の年収を合算して申し込めるので、借入金額を増やすことができます

また、どの金融機関も、住宅ローンの条件として年齢制限を設けています。申込年齢を70歳まで、完済年齢を80歳までとしている銀行が多く、年齢が高いと融資が受けられなかったり、長期返済型の住宅ローンが組めなかったりします。同居を考える時期は、親が高齢になっているケースが多いですが、親子リレーローンでは返済期間を後継者となる子の年齢で考えるため、通常なら住宅ローンが組めないような年齢でも、長期返済型の多額の借り入れが可能です。

※子が44歳未満の場合
親の年齢 借りられる期間
親子リレーローンを利用しない 親子リレーローンを利用する
60歳 最長20年 最長35年
(フラット50の条件を満たす場合は
最長50年)
~70歳未満 最長10年
80歳 利用できない

フラット50なら最長50年の借り入れが可能

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携するフラット35は、最長35年間の全期間固定金利型の住宅ローンですが、親子リレーローンを想定した「フラット50」は、省エネ・耐久性に優れた長期優良住宅を新築、購入する場合に、返済期間の上限を50年とする借り入れができます。フラット50は、長期に渡って良好な状態で使用できる、親から子へ、子から孫へと受け継ぐことができる住宅の普及・促進を目的に誕生した住宅ローンで、借入限度額は6,000万円以下(購入価格の60%以内)と大口融資が受けられるうえ、借入当初20年間は金利優遇が適用されるメリットがあります。

通常、返済期間中に物件を売却する際、一度ローンを清算しなければなりませんが、フラット50は購入者の承諾があれば、ローンが付いたまま売却することができます。売却時に住宅ローン金利が上昇している場合、購入者は新たに住宅ローンを組むよりも、低金利のローンを引き継ぐことができるため有利です。

贈与税・相続税の負担が軽減される

親にお金を出してもらって、子が住む家を建てたり購入したりすると贈与に当たり、贈与された財産価格に基づいて贈与税額を支払わなければなりません。しかし、親子リレーローンは、「負担付贈与」と言って、親の持分に住宅ローン債務が付いて贈与されるので、贈与された財産価格から借入残高を差し引いて課税され、税額が軽減されます。また、親がお金を残して亡くなり、子が資産を相続する場合、相続税を納める必要がありますが、親子リレーローンで親が住宅取得資金として負担すれば、納める税金を安く済ませることができます。このように親子リレーローンは、節税対策としても利用されています。

親子リレーローンの借入要件

親子リレーローンを利用するには、審査とは別にいくつかの要件をクリアしなければなりません。返済を引き受ける後継者がいることが絶対条件ですが、後継者として認められるには、次の要件を満たす必要があります。

  • 申込者の子・孫(直径卑属)であること

配偶者は対象外です。

  • 融資の対象となる住宅に同居していること

実際に同居していなくても、将来、同居する予定なら承認されることがあります。

  • 定期的な収入があること
  • 年齢

後継者となる子の年齢は20歳以上、70歳未満が一般的です。親の年齢は、民間銀行は制限がないところがほとんどですが、フラット35は70歳未満とされています。

いくらまで収入合算できるか?

借入金額に見合う年収があるかどうかの審査では、申込者である親の年収に子の年収を合算することができます。合算できる金額は、親の年収の2分の1まで、子の年収の2分の1までなど、金融機関によって異なり、フラット35では子の年収の全額を合算することが認められています。ただし、合算額が年収の半分を超える場合は、年齢制限が加わることがあります。

団信加入者は誰になるか?

親子リレーローンで注意したいのは、団体信用保険(団信)の加入です。団信とは、住宅ローン契約者が死亡した際に、死亡保険金で住宅ローン債務を完済する制度で、民間銀行では団信加入が借入条件となっています。親子リレーローンでは通常、親と子のどちらか1人が団信に加入することになり、親子両方が加入することは基本的にできません。

加入者をどちらにするかは、民間銀行とフラット35で扱いが異なります。民間銀行では、親と子が2分の1ずつ団信に加入できる銀行も一部ありますが、基本的には子のみとなります。一方、フラット35では、親子どちらが加入するか、選択することができます。

返済期間中に団信加入者が亡くなると、住宅の持ち分や返済額などに関係なく、住宅ローンの残高が全額完済されます。子が団信に加入していて子が亡くなった場合、親はその後の住宅ローン返済から解放され、逆に親が団信に加入していて親が亡くなった場合は、子は住宅ローン債務が免除されます。順番から考えて、年長者が先に亡くなる確率が高いという理由で、親を加入者にするケースが多いですが、もしも子が先に亡くなってしまった場合、高齢の親に住宅ローン債務が重くのしかかることになります。

親の年齢が80歳を超えた時点で、残りの期間の団信加入者を、親から子へ切り替えることはできますが、それ以外の期間に加入者を入れ替えることはできません。団信が遺族の生計を守るための制度であることを踏まえたうえで、加入者を決める際は、それぞれの健康状態やどちらの収入に依存しているかを基準に、慎重に検討する必要があります。

団信加入者 死亡者 住宅ローン債務の免除
子は、債務が免除される
親は、債務の免除なし
子は、債務の免除なし
親は、債務が免除される

親子ともに、住宅ローン控除が受けられる

親子リレーローンは、親を主債務者、子を連帯債務者として返済していくもので、契約上は1つの住宅ローン契約を結ぶことになります。登記は親子の共有名義となり、返済負担の割合に応じて住宅ローン控除を受けることができます。

デメリットは、途中で返済計画の変更が難しいこと

返済期間が長期に渡ると、その間に家族構成が変わったり、転勤や海外赴任になったりと、予期せぬ問題が起こることもあります。先ほど、民間銀行の団信加入者は、原則として子のみとお話しましたが、もし親が早く亡くなってしまった場合、子が返済を引き継ぐ時期が早まり、若いうちから大きな負担を背負うことになります。

また、独身のときに親子リレーローンを組んだものの、結婚後に配偶者が同居を嫌がり、親と別居を余儀なくされることになった場合、自分の家を持ちたいと思っても、親子リレーローンの返済期間中は新たな住宅ローンを組むことができません。名義変更や贈与といった問題が絡んでくるため、親子リレーローンを利用していると借り換えを認めない銀行が多く、打つ手がない状態となります。親子リレーローンを組む際は、さまざまなケースを想定して、親子や配偶者間でしっかり話し合っておくことが大切です。

親子リレーローンで、遺産相続問題に発展するケースも

親が亡くなると、所有していた資産や不動産は、配偶者や子たちで遺産相続します。親子リレーローンでは、住宅ローンの対象となる物件に抵当権を設定する関係で、物件所有者は住宅ローン契約者となるので、自動的に相続人が返済を引き継ぐ子に決まってしまい、一人っ子なら問題ありませんが、他に相続権のある兄弟姉妹がいると、権利関係でもめる原因になります。訴訟になって共有物の分割請求が起こされたり、住宅以外に遺産がない場合は住宅を売却して金銭で清算したりするケースもあるので、親子リレーローンを組む際は、親が亡くなった後の親の持分をどうするかについて、あらかじめ取り決めておく必要があります。

住宅ローン図解【親子ペアローン】_06

親子ペアローンという借り方も

親子で収入合算して収入を補いたい場合に、親子ペアローンという方法があります。これまで説明してきた親子リレーローンは、1つの物件に対して1つの住宅ローン契約を結び、親子2人の債務者が返済していく形式ですが、親子ペアローンは1つの物件に対して2本の住宅ローンを組み、親子それぞれが自分名義の住宅ローンを返済していきます。時期をずらして返済するのではなく、最初から両方が返済をしていき、運動会の競技に例えると二人三脚のようなイメージです。借入条件は親子リレーローンとだいたい同じですが、大きく違う点は、お互いの住宅ローン契約に対して、両者が連帯保証人という決まりになっていることです。

双方がそれぞれの収入に基づいて、単独債務者として別々の住宅ローン契約を結ぶため、借入金額や共有持分が曖昧になることなく、親子両方が団信に加入することができ、住宅ローン控除も別で受けられる利点があります。親子リレーローンのように後継者に返済を引き継ぐものでないため、年齢制限の問題を解決することはできませんが、借入可能額をアップさせる選択肢として有効です。親子で収入合算する場合は、それぞれの特徴を理解したうえで、トラブルにならない借り方をしましょう。

親子リレーローンと親子ペアローンの違い
親子リレーローン 親子ペアローン
住宅ローン契約数 1本 2本
収入合算 できる できる
親の年齢 制限なし 制限あり
債務者 親→主債務者、子→連帯債務者 両者が主債務者、連帯保証人
返済時期 当初は親が返済し、子に引き継ぐ 親子が同時期に返済
団信 どちらか1名 両者加入できる
住宅ローン控除 持分に応じて受けられる 持分に応じて受けられる
審査 契約者(親)のみ 両者が審査を受ける
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