共稼ぎ世帯に人気の収入合算・ペアローン。デメリットが多いって本当?

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住宅ローンの借入可能額は収入をもとに決められますが、希望額に満たない場合、家族の収入を計算に加えて、借入額を増やすことができます。これを「収入合算」といい、申し込み方によって「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」の3パターンに分かれます。

収入合算できる人は?

契約者の収入だけでは、住宅ローン審査に通らない、借入金額が足りない場合に、一定の要件を満たせば、本人以外の収入を合算することができます。収入合算者として認められるのは1人だけで、同居していることが原則です。契約者の直系親族(義理でも可)もしくは、配偶者(婚約者、内縁関係にある人を含む)が対象となり、傍系親族に区分される兄弟姉妹は収入合算できません。収入合算者は納税証明書を提出する必要があるため、妻が夫の扶養範囲内でパート収入を得ている場合は、対象者とはなりません。収入合算者の年齢は、大抵の場合が70歳未満とされていて、金融機関によっては雇用形態が条件となることもあります。

いくらまで合算できるか?

収入合算できる金額は、金融機関で扱いが異なります。民間銀行では、収入合算者の年収の2分の1まで、もしくは本人の年収の2分の1までとしているところが多いですが、フラット35は収入合算者の年収の全額まで合算することができます。ただし、合算額が収入合算者の年収の2分の1を超える場合は、返済期間を短く設定しなければならないことがあります。住宅ローンの借入額は、年収の5倍が相場と言われています。合算できる金額によって、いくらまでの家が購入できるのか変わってくるので、事前に確認するようにしましょう。

本人 年収500万円 収入合算者 年収300万円 収入合算額 借入可能額の目安
収入合算しない 500万円 0円 500万円 2,500万円
収入合算者の年収の2分の1まで 500万円 150万円 650万円 3,250万円
本人の年収の2分の1まで 500万円 250万円 750万円 3,750万円
収入合算者の年収の全額 500万円 300万円 800万円 4,000万円

「連帯保証」と「連帯債務」の違いを理解しよう

収入合算では、「連帯保証」か「連帯債務」が条件となります。民間銀行のほとんどは、 収入合算者を連帯保証人にすることを条件としていますが、フラット35では、契約者本人と収入合算者それぞれが連帯債務者となる形態で取り扱っています。どのような違いがあるのでしょうか?

連帯保証とは?

住宅ローン図解【共働き世帯に人気の】_03通常、住宅ローンでは保証会社を利用するため、原則として保証人は不要ですが、収入合算によって借入金額を多くする場合は、収入合算者を連帯保証人にする必要があります。金融機関に対しては、契約者のみが債務者となり、収入合算者は債務者とはならず、返済不能になった場合に限り、契約者に代わって返済する責任を負います。住宅ローンは契約者1人のものなので単独名義となり、すべて契約者の持分として登記されます。

収入合算者は債務を負っているわけではないので、住宅ローン契約者が死亡または高度障害になった場合に死亡保険金が受け取れる、団体信用生命保険(団信)に加入することはできません。また、住宅ローン残高に応じて所得税や住民税が控除される、住宅ローン控除が受けられない点にも注意が必要です。

連帯債務とは?

住宅ローン図解【共働き世帯に人気の】_06金融機関に対し、契約者本人と収入合算者の両方が債務者となります。収入合算者は、自分が合算した金額に応じて債務を負うのではなく、借入全額に対して本人と同一の返済義務を負います。ですから、返済不能になった場合は、銀行は契約者だけでなく収入合算者に対しても、借入残高の全額を請求することができます。先ほどの連帯保証人であれば、「契約者本人に、先に請求してください」と言える権利(催告の抗弁権)がありますが、連帯債務者はそのような主張ができません。あくまで、契約者本人と同じ立場であり、連帯保証人よりも責任は重いと言えます。

連帯債務で代表的なものに、親子リレーローンがあります。これは親が主債務者、子が連帯債務者となり、二世代に渡って住宅ローンを返済していくもので、二世帯住居を建てる際によく利用されます。

2人の債務者が協力して返済していくため、登記上は共有名義となります。住宅ローン控除は、登記された持分の割合に応じて、それぞれが受けることができます。団信は主債務者に限られるため、連帯債務者となる収入合算者は加入することができません。妻を収入合算者としている場合、主債務者である夫に万が一のことがあれば死亡保険金がもらえますが、妻が亡くなった場合は住宅ローン債務の免除はなく、残された夫は返済を続けていくことになります。妻の収入を見込んで返済計画を立てている場合は、団信の代わりとなる生命保険などに、妻が加入しておくことをおすすめします。

ペアローンはどこが違うの?

住宅ローン図解【共働き世帯に人気の】_09若い世代の共稼ぎ夫婦を中心に利用が増えているのが、ペアローンです。これまでは、1つの物件に対して1つの住宅ローンを組むことを前提に解説しましたが、ペアローンは、1つの物件に対し2つの住宅ローン契約を結びます。持ち分に応じた金額を、夫婦それぞれが別名義で借りて、2人が主債務者となって返済していく形態をとり、ペアローンを利用する条件として、双方がお互いの住宅ローンの連帯保証人となる必要があります。

ペアローンを利用すると、借入金額を増やせるだけでなく、夫は変動金利型、妻は全期間固定金利型で借りるといった、金利変動リスクを考慮した金利タイプの選択ができるメリットがあります。住宅ローン控除は、それぞれの住宅ローン残高に応じて、所得税や住民税が減税されるので、共稼ぎ世帯にとっては控除枠を有効に使えて有利です。

デメリットとしては、借入時に発生する事務手数料や印紙代が2人分かかります。言うまでもありませんが、2人とも審査を通過しなければ、ペアローンの申し込みはできません。

ペアローンの申込要件

ペアローンは、お互い収入があり、同居していることが原則です。夫婦での利用が大半ですが(夫婦ペアローン)、親子(親子ペアローン)でも可能です。

夫婦で申し込む場合は、融資実行前に入籍していることが条件となりますが、結婚式場を予約しているなど、婚約関係が証明できれば承認されることもあります。夫婦別姓や事実婚は、相続時にトラブルが発生する可能性が高いという理由で、応じてもらえないことが多いようです。

ペアローンと団信加入について

先ほど、連帯債務者は主債務者ではないため、団信に加入できないとお話しましたが、ペアローンでは両方が主債務者という立場なので、夫婦ともに団信に加入することができます。ただし、これをメリットと捉えるかは、考え方によります。

一般的には、夫のみの名義で住宅ローンを借りていて、一家の収入を支える夫が亡くなったとしても、団信の保険金で住宅ローンが全額免除されるので、遺族が返済で困ることはありません。しかし、ペアローンだと、夫に先立たれた場合、夫の住宅ローン債務は免除されますが、妻の住宅ローン債務はそのまま残ります。家計を支えていた夫の収入がなくなったうえ、その先も住宅ローンを払い続けなければならないのは、残された家族にとっては大きな負担と言えます。

離婚したらペアローンはどうなる?

ペアローンは、夫婦それぞれが別に住宅ローン契約を結んでいるので、銀行から見れば、結婚していようが離婚しようが、状況的には変わりません。財産分与の協議で、どちらかが住宅ローンを引き受ける、物件を売却して住宅ローンを完済させる、といった話にならない限り条件の変更はなく、それぞれの住宅ローンの返済が続くだけです。

問題が起こるのは、どちらかが返済を滞納した場合です。ペアローンでは、夫婦がお互いの住宅ローンの連帯保証人になっているので、一方が返済を滞納すると、もう一方に返済請求が行きます。たとえば、自分名義の住宅ローンは、毎月きちんと返済していても、元夫・元妻が名義となっているもう一方の住宅ローンの返済が滞ると、連帯保証人である自分のもとに返済請求が届きます。離婚後、その住居に住んでいなくても連帯保証は消えません。銀行に対し、「先に元夫・元妻に返済請求して欲しい」と主張することはできますが、最悪の場合、相手が行方不明になってしまい、元夫・元妻が支払うべき債務を泣く泣く負担することになるかもしれません。

離婚後にペアローンが残っていると、プラスの財産とマイナスの財産の両方があり、権利関係が複雑になります。借り換えをして住宅ローンを1本化するなど、後々トラブルにならないための対策をとっておくべきです。

妻が退職する場合の注意点

ペアローンを組んだものの妻が仕事を辞める場合、住宅ローンはどうなるのでしょうか? 夫が自分の収入で、妻名義の住宅ローンを返済していくのはNGです。妻の退職金や貯金で返済するのは問題ありませんが、妻の住宅ローンを夫が肩代わりすると、たとえ夫婦でも「贈与」とみなされ、年間110万円の基礎控除額を超えて返済した場合は、贈与税が発生します。妻が退職する時点で、登記を変更することもできますが、その際、登記の費用や登録免許税などがかかってきます。女性は、出産、育児、介護など、家族環境の変化で休職や退職を余儀なくされることがあるため、ペアローンを組む際は妻の収入を当てにし過ぎず、「妻が仕事に就けない期間はどうするか?」も考えて、次のような対策をする必要があります。

  • 妻の借入金額を少なくする
  • 妻名義の口座で貯金をしておく
  • 繰上返済で妻の住宅ローンを早めに完済させる

最後に、収入合算のメリットは、借入金額を増やせることですが、身の丈に合わない借金をしてしまう危険があります。若い共働き夫婦が、収入合算でギリギリの住宅ローンを組むケースが増えていますが、無理な借り入れは、いつかしわ寄せが来ます。一生、共働きという前提で考えず、できれば夫婦どちらかの名義で住宅ローンを組むことをおすすめします。

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