先進医療特約の保障内容の一覧・比較・考察

健康保険が効かない先進医療の治療費をカバーする先進医療特約。先進医療を受ける確率は非常に低いものの、月額100円程度で付けられることから、コスパの高い保障として編集部では(基本的には)追加することをおすすめしています。

ところでこの特約、特約料も保障内容も各社ともにほぼ横並びなのですが、調べてみると少しずつ違いがあることが分かります。医療保険を選ぶ際の決め手にはならなくても、「2社のうちどちらかを選ぶ」といったときには目を向けてもよいポイントだと考えています。

目次

各社の先進医療特約を比較

先進医療給付金は、通算 2,000万円まで受け取れるものがほとんどですが、加えて一時金も受け取れるかどうかはさまざまです。また、主契約の保障は終身でも、先進医療特約だけが10年更新となっているものもあるほか、医療機関への直接支払制度の有無も比較です。

代表的な保険商品で、先進医療特約の保障内容を比較しました。

保険会社・商品通算額一時金保険期間直接支払
アクサ生命
「一生保障の医療保険スマート・ケア」
2,000万円15万円終身
アフラック
「ちゃんと応える医療保険EVER」
2,000万円10年
FWD富士生命
「医療べスト・ゴールド」
2,000万円先進医療給付金の10%終身不可
SBI生命
「終身医療保険「も。」」
2,000万円10年不可
オリックス生命
「医療保険 新CURE[キュア]」
2,000万円先進医療給付金の10%
(1回の療養につき50万円まで)
終身
住友生命
「ドクターGO Vitality」
2,000万円技術料の10%
(1回の療養につき50万円まで)
終身
ソニー損保
「医療保険SUREベーシック」
2,000万円終身
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
「新・健康のお守り」
2,000万円終身
チューリッヒ生命
「終身医療保険プレミアムDX」
2,000万円15万円限度終身
東京海上日動あんしん生命
「メディカルKit NEO」
2,000万円10年
マニュライフ生命
「こだわり医療保険with PRIDE」
2,000万円5万円10年
三井住友海上あいおい生命
「&LIFE 新医療保険Aプレミア」
2,000万円
(一時金を含む)
交通費と宿泊費
(1泊1万円まで)
終身
メットライフ生命
「終身医療保険フレキシィS」
2,000万円5万円10年
メディケア生命
「メディフィットA」
2,000万円
(一時金を含む)
5万円終身
ライフネット生命
「終身医療保険 新じぶんへの保険」
2,000万円終身
楽天生命
「スーパー医療保険」
2,000万円10年

※2018年10月時点にて編集部調べによるものです
※詳細を知りたい方は各社のパンフレットや公式サイトをご覧ください

一時金はあるほうが嬉しい

今回調べた範囲では、どの保険商品も先進医療給付金は技術料(=自己負担額)と同額で、限度額は通算 2,000万円でしたが、一時金も同時に受け取れるかどうかで差が出ました。

先進医療のなかには、治療を受けられる医療機関が少なく、たとえばがん治療で用いられる 陽子線治療は14カ所、重粒子線は5ヶ所しかありません(2018年10月現在)。たまたま近くに医療機関があればいいですが、そうでない場合は交通費や宿泊費の負担が重くなるかもしれませんので、一時金はあったほうがポイントが高いです。

一時金を受け取れる場合も、金額はさまざまでした。「5万円」や「15万円」と定額のもの、「交通費と宿泊費の実費と同額」というもの、「先進医療給付金の 10%」というものなど。

定額なら、金額は多いに超したことはありません。「交通費と宿泊費の実費」というのは理にかなっていますが、領収書や書類をそろえて申請するのは意外に面倒くさく、特に闘病中には負担となるかもしれません。「先進医療給付金の 10%」であれば、たとえば重粒子線治療なら約 300万円かかるので一時金は約 30万円、先進医療のなかで年間実施件数が最も多い「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の技術料は約 50万円なので約 5万円となります。かかった治療費に応じて一時金の金額が決まるのはわかりやすい設計だと思います。

保険期間は終身か更新か

主契約の保険期間が終身でも、先進医療特約の保険期間は 10年更新の場合があります。更新するときは更新時の年齢と保険料率が適用されるので、保険料が上がります。また今後、先進医療を利用する人が増えれば、保険会社の負担が増えますので、保険料が上がる可能性もあります(※)。

このような事情を考えると、保険期間は終身の方が安心です。ただ、元々の保険料が月 100円程度ですから、あまりこだわる必要はないのかもしれません。

※特定の先進医療を保障対象外とする場合や、そもそも利用頻度の高い先進医療は公的保険に移動する場合も考えられます。

直接支払制度もあるほうが嬉しい

先進医療給付金の直接支払制度は、先進医療のなかでも技術料が高額な陽子線治療と重粒子線治療を対象として、保険会社が先進医療給付金を直接医療機関に支払う制度です。この制度を使えないと、患者は窓口で一旦は自腹を切り、後に保険会社に給付金を請求するという流れになります。陽子線治療や重粒子線治療は 200~300万円かかりますから、すぐに現金を用意できる蓄えがない場合は大変でしょう。

まとめ

以上の比較から、先進医療特約を選ぶのであれば、技術料と同額の先進医療給付金は当然として、遠くの医療機関で治療を受ける場合も安心な一時金が出るもの、保険期間が終身のもの、直接支払制度を使えるものが良いでしょう。以上の条件で選ぶと以下の医療保険の先進医療特約があげられます。

  • アクサ生命「一生保障の医療保険スマート・ケア」
  • オリックス生命「医療保険 新 CURE[キュア]」
  • 住友生命「ドクター GO Vitality」
  • チューリッヒ生命「終身医療保険プレミアム DX」

ちなみに、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命には、先進医療保険「リンククロス コインズ」があります。先進医療給付金の通算額は 2,000万円、一時金はがんの場合 10万円、がん以外の場合 5万円、その他に臓器移植を受けた場合に 1000万円を受け取ることができます。保険期間は 1年、保険料は年齢に関係なく月額 500円で加入できる先進医療と臓器移植の保障に特化したネット専用保険です。

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