素朴な疑問ですが、自動車事故で損傷を受けることが多い部位はどこなのでしょうか。
警察庁『平成28年における交通事故の発生状況』を調べてみたところ、圧倒的に多いのは「頭顔部」、「胸部」、次いで「頸部」となり、前述の2部位に大きな被害を受けると、怪我では済まず死亡事故に直結するようです。
幸いにして死亡に至らず怪我で済んだ場合に限定してみると、交通事故、追突事故の負傷箇所では、重症・軽傷ともに圧倒的に頸椎が多いことがも分かります。
その症状として一番多い怪我は、いわゆる「むちうち症」です。これは重い頭部を細い首で支えている人体構造上の問題からきています。程度や症状はさまざまで、後遺障害認定におけるトラブルも一番多い箇所です。
なお、むち打ち症の正式な傷病名は「頸椎捻挫」や「頸部挫傷」、あるいは「外傷性頸部症候群」など呼ばれるものの総称です。
どんな事故が多いのか
では、事故自体の種類としてはどのようなものが多いのでしょうか。警察庁の同資料に目を通すと、1位は「追突事故」で、人身事故の約35%を占めています。次いで出会い頭の事故、右左折時の衝突と続いています。
原因別にみるとわき見運転、居眠り等の「前方不注意」がほとんどですので、注意力散漫にならないよう、しっかりと集中して安全運転を心掛けたいものです。とは言え、後方からの追突やもらい事故など、自分ではどうしようもない原因の事故もありますから、せめてシートベルトは正しく締め、身の安全を守ってください。
それでも事故に遭ったら
その場では症状が出なくてもすぐに病院へ行き、診断書を取ることをお勧めします。交通事故による損害賠償を請求するためには、病院で負傷に関する診断書を作成してもらう必要があるからです。
診断書によって、事故と負傷との因果関係を証明することが可能となります。事故当日は痛みが出ないからと放置していると、後日症状が出てきても、事故との因果関係が証明できずに損害賠償請求ができなくなる可能性も考えられます。