日本から駆けつけてもらう時に必要な「救援者費用補償」

救援者費用補償とは、海外旅行中のトラブルで家族(親族)が駆けつけるような事態になったときに補償が出る保険です。駆けつける場所が海外なので、現地までの交通費やホテルの宿泊費などが高額になってしまいます。救援者にかかるそれらの費用を補償してくれるのが同補償です。

保険会社によっては医療補償(治療費用補償)とセットになっているものもあります。別々になっている場合は加入のし忘ればないよう注意してチェックしておきましょう。では、具体的にどんな場合が補償対象になり、どんなお金が補填されるのか、確認していきましょう。

救援者費用が支払われる場合

  1. 海外旅行中の急激かつ偶然な外来の事故によるケガで、その日を含めて180日以内に死亡した時
  2. 海外旅行中の急激かつ偶然な外来の事故によるケガや海外旅行中に発症した病気により3日以上続けて入院した時(病気は旅行中に医師の治療を開始したものに限る)
  3. 病気、妊娠、出産、早産、流産が原因で海外旅行中に死亡した場合
  4. 海外旅行中に発病した病気で、旅行中に医師の治療を開始し、旅行終了日を含め30日以内に死亡した場合
  5. 乗っている飛行機・船舶が行方不明もしくは遭難した場合、事故により生死が確認できない場合、警察等の公的機関によって緊急捜索・救助活動が必要な状態と確認された場合 など

(引用:損保ジャパン日本興亜)

上記はいずれも現地へ赴く海外旅行者の家族、親族、その代理人のことを指します。下記「支払われる保険金」で紹介していますが、救援者人数は2~3名が限度とされていて、補償される滞在期間も決まっています。救援者費用で着目すべきポイントはこの、”日数”にあります。

2日間入院したからといって日本から誰かが駆けつけても、救援者費用は支払われません。旅行中のケガや病気が原因で死亡した場合でも、たとえば1年後の死亡だったとしたら、請求できないということです。

目次

支払われる保険金

  1. 捜索救助費用
  2. 現地までの往復の交通費(被保険者の親族3名まで)
  3. 現地および現地までの工程における宿泊施設の客室料(被保険者の救援者3名分かつ救援者1名につき14日分まで)
  4. 遺体処理費用(100万円限度)
  5. 現地からの移送費用
  6. 諸雑費(救援者の渡航手続費・現地での交通費・通信費等20万円限度)

家族旅行での契約内容であれば、以下も支払われます。

  1. 被保険者の旅行行程離脱後、家族(他の被保険者)が当初の旅行行程に復帰または直接帰国するために必要な交通費、宿泊費

(上記の適用日数や人数などは保険会社の平均化した内容です)

契約者、被保険者、または被保険者の親族が実際に支出した次の費用で、社会通念上妥当な金額が保険金として払われます。

救援者費用補償の必要性

この補償は、事故に遭い捜索救助が必要になった場合や、遠方から親族などに急きょ救援に来てもらう場合、死亡時は遺体を放置しておくことができないなどの理由から入っておくほうが無難です。

とはいえ、渡航先が近隣国だったり、旅行期間が短期であれば、そこまで重きを置く補償ではありませんので、必要に合わせて検討してください。

この補償が支払われるのは、旅先でのケガや急病で入院し、家族が駆け付けるケースが多いです。過去の支払い事例を見てみましょう。

AIU保険会社

性別女性(28歳)
渡航先イタリア
病名腹膜炎
治療概要手術・2週間の入院。一時帰国後、通院治療・完治
治療費71万円
救援者費用180万円(親族2名分の交通費、宿泊費など)
合計金額251万円

上記は治療費用補償のページでも紹介していますが、治療費意外に救援者費用も180万円かかっています。

損保ジャパン日本興亜

性別女性(60代)
渡航先アメリカ
病名急性心筋梗塞
治療概要入院・治療
治療費1,000万
救援者費用311万円
合計金額1,311万円

上記は人数などの詳細な内訳がありませんが、交通費や宿泊費などは必ず含まれています。滞在する期間が長ければそれだけ救援者にかかる費用もかさみます。

ジェイアイ傷害火災保険などは治療費用補償と救援費用補償がひとつになっていて、過去の事例もまとめて公表されていますが、やはりこれだけの救援者費用がかかっている実例を見ると、検討の余地は残しておきたいところです。

クレジットカード付帯の救援者費用補償はあまり当てにできない

救援者費用補償は海外旅行保険付きのクレジットカードにも付帯されています。ですが、100~200万円程度と低額な上に7日間以上の入院期間でないと保険金がおりないのが一般的です。唯一、JCB発行のクレジットカードであれば3日以上の入院期間で保険金がおります。

現地の情勢や旅行日数を加味し、家族と相談して加入の検討を行う

救援者費用は必ずしも必須な補償ではありませんが、渡航先が遠方であったり、旅行期間が長い場合はしっかりと検討したい補償です。

自分が旅行に行く場合は、それに備えてさまざまな準備を行いますが、もともと旅行に行く予定がなかった人が急な出費やスケジュールを準備するのは大変です。救援に行く際、遠方であればなおさらまとまったお金や日程が必要になります。

帰国してからまとまったお金が戻ってくるとわかっていれば、救援に向かうほうも安心です。遠方に旅行に行く際は、資料や旅行先の情勢などを揃えておき、家族や親族に救援者費用補償のことを説明しておきましょう。

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