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加入前に理解しておくべき、民間介護保険の「支払基準」の違い

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自分では対応できない“もしも”に備えて入るのが保険です。しかし、せっかく加入しているのに、「支払基準」の認識違いがもとで保険金がおりなかったら、どうでしょうか。

そんな馬鹿な!と思うかもしれませんが、保険には、ときにややこしい支払基準が設けてあるため、そうしたトラブルは往々にして起こり得ます。介護保険でいえば、要介護状態になったのに保険会社が認めてくれないケースですね。

いざというときに困らないように、ここでは民間介護保険の「支払基準」の違いについて見ていきましょう。

支払基準は大きく分けて3つ

民間介護保険の支払基準は大きく3種類に分けられます。公的介護保険が定める要介護度に合わせる「連動型」、それをベースに自社の条件を盛り込む「一部連動型」と、独自の基準で支払を決める「非連動型」の3つです。

どれを理解するにも、まずは公的介護保険の利用条件を知っておいた方がいいため、ここでは必要な知識だけを軽くおさらいしておきます。

要支援と要介護

公的介護保険は、介護の必要度に応じて介護サービス(現物給付)が1割負担で受けられる制度です。身の回りの行動に何らかの支えがいるくらいなら、軽いリハビリを受ける程度で構いませんが、食事も排泄も一人ではままならない、いわゆる寝たきり状態の場合、相応の体制で介護する必要があります。

このような介護の必要度を「要支援度」「要介護度」と呼び、要支援が2段階、要介護が5段階と、全部で7つの基準が設置されています。

要支援と要介護の目安
基準 状態の目安 状態例
要支援1 日常生活で支援が必要 生活機能の一部にやや低下が見られ、身の回りの行動に何らかの支えが必要である
要支援2 日常生活で「1」以上の支援が必要 生活機能の一部に低下が見られ、身の回りの行動に何らかの支えが必要である
要介護度1 部分的な介護が必要 身の回りの行動や移動の動作に支えが必要なことがある。問題行動や理解の低下が見られることがある
要介護度2 軽度の介護が必要 身の回りの行動全般、移動の動作に支えが必要である。問題行動や理解の低下が見られることがある
要介護度3 中度の介護が必要 身の回りの行動全般、移動の動作に支えが必要で、排泄でも全般的な介助が要る。いくつかの問題行動や理解の低下が見られることがある
要介護度4 重度の介護が必要 身の回りの行動全般、移動の動作がほとんどできず、排泄がほとんどできない。多くの問題行動や理解の低下が見られることがある
要介護度5 最重度の介護が必要 身の回りの行動全般、移動の動作、排泄、食事がほとんどできず、ほぼ寝たきりに近い状態である。多くの問題行動や理解の低下が見られる

※詳細は厚生労働省の要介護認定のページをご覧ください。

表の内容を細かく記憶する必要はありませんが、介護保険を考えるうえでとても大切な基礎知識ですので、概要だけでも把握しておいた方がいいでしょう。

では、本題に戻って3種類の支払基準を見ていきます。

公的介護保険に“右にならえ”の最もシンプルな連動型

保険金の支払は「公的介護保険制度の要介護○以上に認定されたとき」と定義してある、最もシンプルで理解しやすいタイプです。要介護度は「2」や「3」と表記してある商品が多くなっています。要介護の認定は年々厳しくなっているので、支払基準は低ければ低いほどいいでしょう。特約を付けると要支援でも受け取れる商品もあります。

しかし、運悪く(?)要介護認定の審査が通らない人もいるため、そうしたケースを想定して別の支払基準を定めているのが一般的です。表記としては、「公的介護保険制度の要介護○以上に認定されたとき、または当社所定の状態になったとき」などで、どちらかの基準に該当すれば保険金を受け取ることができます。

当社所定の状態とはどんな状態なのかは、次の一部連動型で解説します。

連動型に期間の条件を加えた一部連動型

一部連動型は、「公的介護保険制度の要介護○以上に認定」に続き、「その状態が○○日間を越えて継続した場合」などと条件が追加されているタイプです。○○日は90日間や180日間が一般的で、少ないところなら30日間もありますが、期間を選択できる場合、短くすると保険料がアップする仕組みになっています。いずれにしろ、要介護状態になってもすぐに保険金を請求できない点で連動型に劣ります。

また、連動型と同じく、独自の「当社所定の状態」もあり、内容は以下のようなものが一般的です。

《寝たきりによる要介護状態》

常時寝たきり状態でベッド周辺の歩行ができず、かつ、衣服の着脱入浴食物の摂取排泄のどれかを行う際に他人の介護を必要とする状態

《認知症(痴呆)による要介護状態》

器質性(脳に病変が認められた)認知症であることを医師から診断確定されており、意識障害のない状態で場所や人物の見当識(自分が置かれている状況を理解できない)障害があり、かつ他人の介護を要する状態

あくまで一例ですので、検討している介護保険の約款をよく読み、どんな「当社所定の状態」があるのか理解しておきましょう。

公的制度に縛られない。保険会社独自の非連動型

最近では珍しいタイプですが、独自の支払基準を定めている商品もあります。要介護状態の継続期間はもちろん、寝たきりや認知症(痴呆)について独自に定義してあり、契約する際はしっかり理解しておく必要があります。

ただ、約款を読み込むのは素人には少々難しいため、その意味では使い勝手の良くない印象を受けます。しかし一方で、公的制度が改悪されたときに道連れにならないという利点があります。

まとめ

民間介護保険の支払基準の違いは理解できたでしょうか。どれを選ぶかは個人の考え次第ですが、最も人気の高いのは連動型です。保険はただでさえややこしいものですから、こうしたシンプルな商品が好まれるのは当然でしょう。万一、要介護度の認定が降りなかったときは、もう一つの支払基準で審査してもらえるのもメリットです(もちろん、甘くはないでしょうが…)。

ただし、支払基準にばかり目を奪われ、他のチェックすべき重要なポイントを見落とさないようにしましょう。「保険金はいつ振り込まれるのか?」「保険金の請求は本人以外でも簡単に応じてくれるのか?」「請求手続きは煩雑でないか?」など、気になる点は必ず調べておいてください。

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