告知義務とは?告知義務の説明と違反の例

ほとんどの生命保険では、加入に際して自分の健康状態をありのまま報告する義務を負います。これを「告知義務」といいます。保険会社は告知された書類をもとに審査を行い、自社の定める基準をクリアした人だけと契約を結びます。

治療中の病気(持病含む)がある人や、手術を受けて間もない人などは、予測よりも多くの保険金を支払う可能性があるため、基準を設けて加入を制限しているというわけです。

目次

どうやって告知するの?

健康告知の方法は各社商品によってさまざまですが、以下のような質問に対して答えるものが一般的です。

  • 最近3ヵ月以内に医師の診察・診査・治療・投薬を受けたことがありますか?
  • 最近3ヵ月以内に入院・手術・検査を勧められたことがありますか?
  • 過去5年以内に手術を受けたことがありますか?
  • 過去2年以内に健康診断・人間ドッグで異常の指摘を受けたことがありますか?
  • 過去5年以内に、妊娠・分娩に伴う異常で医師の診察・診査・治療・投薬を受けたことがありますか?(女性のみ)

こうした質問が書かれた告知書に素直に答え、保険会社に提出します。基本的には、契約内容が大枠になるほどみっちりと調べられ、告知書に健康診断書を添えなければいけない場合や、「生命保険面接士」といって、健康確認を行う専門家の診査が必須な場合があります。

金額の大きな死亡保険では、医師による診査を求めるケースもあります。告知義務はそれだけ重要な確認事項ということです。

告知義務に違反したらどうなるの?

xkokuchigimu_img01.png.pagespeed.ic.nzKi7ckOhv

では、この告知義務を誤って報告したらどうなるのでしょうか? 嘘をつくのは論外ですが、小さな病気での通院は逐一覚えてないこともあるでしょうし、 “うっかり報告ミス”はあり得る話です。

結論から言うと、基本的に保険金は受け取れませんが、契約が解除されるかはケースバイケースです。

告知すべき内容を隠していたり、偽って報告したりするのは、問答無用で告知義務違反です。発覚した場合、保険会社は約款と保険法という法律に則って契約を一方的に解除することができます。

うっかりミスの場合は、契約解除までいかないにしても、保険金や給付金を受け取ることはできないでしょう。そもそも契約の根本が成り立っていないのですから、支払事由が発生しても1円も給付されない理屈です。ただし、がんで手術を受けたことを報告していなかった人が、交通事故で足の骨を折って入院した場合など、告知義務違反の内容と支払事由にまったく因果関係がない場合は、例外的に給付金を受け取ることが可能です。

なお、契約を解除するにあたって、解約返戻金が貯まっている場合はきちんと払い戻されます。

告知義務違反はどうしてバレる?

保険会社は、保険金や給付金を支払う前に、過去の診断履歴や病院のカルテを入念に調査することがあります。もちろん本人の許可なく調べることはできませんが、「調査のため」という大義名分のもと閲覧許可を求めてきます。「確認できないとお支払いできかねます」なんて言われると、無下に断ることはできませんよね。告知義務違反はこのようにして足が付きます。

告知義務違反でも契約解除されない例

実は、告知義務違反を犯していても、保険会社が契約を解除できない場合がいくつかあります。典型的な例は、そもそもの保険募集人が告知を妨げていた場合。要するに「このように書いてください」「黙っていましょう」などと不正を勧めていた場合は、加入者に責任はないとして、一方的な解除はできないことになっています。

他にも、下記のケースでは契約解除が行われないことが多いです。

  • 告知義務違反が重大な過失や故意によってなされたものか証明できなかったとき
  • 告知書の質問内容があいまいなど、告知義務の過程そのものに重大な問題があるとき
  • 契約または責任開始日から2年(※)を超えて有効に継続していたとき
  • 保険会社が、告知義務違反の事実を知って1ヵ月以内に解除の通知をしなかったとき
    ※2年以内に支払事由が発生しなかったとき。

「多い」という言い方をしたのは、重大な過失や故意による違反だと見なされた場合、上記にかかわらず契約解除を実行できるからです。悪質な告知義務違反は立派な詐欺行為ですから、民法に則って契約を解除することができるのです。(2年バレなければいいや……)なんて考えは絶対におこさないでください。

全体を通して

繰り返しになりますが、告知義務は契約の根幹にかかわる大切な手続きです。不正はもちろん、うっかりミスなどもないよう、正しい情報を提出しましょう。

目次