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「落下・飛来・衝突」「騒じょう」は何を補償してくれる?

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火災保険の補償範囲のひとつである「落下・飛来・衝突」。にわかに意味するところが掴みづらいですが、突発的に発生する事故的な損害を補償するものです。また、内容は異なりますが「騒じょう」や「集団による破壊行為」などと呼ばれる補償範囲も、セットになっていることが多いため、合わせて解説します。

「落下・飛来・衝突」外部から急に来た何かによる損傷を補償する

損害保険の大原則として、その補償の対象となるのは「急激かつ偶然な外来の事故」である、というものがあります。

十分に予測できるものや、内部に原因があるもの(被保険者の故意など)ではダメで、かつ、短時間に発生したものでなくてはなりません。「水災」は、水による損害を補償するものなのに、雨漏りが補償外となっているのもこの大原則にそぐわないためです。雨漏りはじわじわと進行する住まいの老朽化によって生じたものであり、急激に発生した事故ではないからです。

「落下・飛来・衝突」は、まさしく、この「急激かつ偶然な外来の事故」を象徴するような出来事への補償です。具体例を挙げてみましょう。

  • 鳥が飛びこんできて窓ガラスを割ってしまった
  • 何者かによる投石で住まいが損傷した
  • 車に当て逃げされ、塀の一部が壊れた
  • 隣接する工事現場の重機が倒れて、住まいが壊された
  • 上空を飛んでいた飛行機が墜落した

このように、外部から、急激にやってきた何かによって住まいや家財が損傷を被ったとき、その損害が補償されます。

ただし、人為的なもので、責任の所在がはっきりしており、損害賠償請求が可能な場合は、相手への損害賠償によって補償を受けるケースが一般的です。上記の例でいうと、投石の主や当て逃げした車の運転手が見つかっている場合、重機を倒してしまった工事会社や墜落した航空会社に責任が認められた場合などです。

落下してきたものや、飛んできたものによる損害と言っても、ひょうは、ひょう災で補償されます。何かが飛来した場合でも、暴風が原因であれば風災の補償範囲です(飛来した物に所有者がいる場合で、適切な管理を怠ったために風に飛ばされたとみなされた場合は、所有者に損害賠償責任が生じることもあります)。砂塵や煤煙などは、「落下・飛来・衝突」の対象とはみなされません。

重機が倒れた例で、倒れた原因が地震であれば、これも補償されません。地震保険の範囲となります。

このように見ていくと、この補償が役立つ場面は比較的、限定的です。不可抗力や犯人が不明であるなどして相手に賠償責任を問えないケースや、動物や自然現象によるものなど、個人責任賠償保険ではどうしようもない場合に備えたものだと言えます。

「騒じょう」集団的な騒動に巻き込まれて起きた損害を補償する

「騒じょう(騒擾)」または「集団による破壊行為」などと呼ばれている補償範囲は、なかなかイメージしづらい内容です。

損保ジャパン日本興亜による定義では「集団行動等に伴う暴力行為とは、群衆または多数の者の集団の行動によって数世帯以上またはこれに準ずる規模にわたり平穏が害される状態または被害を生ずる状態であって、暴動に至らないもの」とされています。

労働争議やデモなどを想定しており、住まいに面した通りなどでそういったものがあり、群衆が騒いだことで、住まいが傷つけられた場合、損害が補償されます。デモに対して機動隊が出動し、衝突した結果、機動隊によって住まいの一部が壊された場合なども補償されます。破壊行為・暴力行為の結果である物理的な実損害が対象ですので、騒音の被害などは関係しません。

「なんらかの集団的な騒動に巻き込まれた場合の損害」と考えるとわかりやすいでしょうか。

ただし、暴動や、戦争・内乱の域に達しているものは補償外となります。これらはあまりにも大規模すぎて補償対象が広範囲に及ぶのと、統計的な発生の予測ができないため、保険商品の設計には組み込めないためです。

「落下・飛来・衝突」「騒じょう」の補償額と必要性

「落下・飛来・衝突」「騒じょう」は、損害を受けた額が、保険金額を上限として全額補償されます。自己負担額(免責額)が設定されている場合は、実際の損害額から自己負担額(免責額)を差し引いた額が補償されます。

これらの補償を付けるかどうか選べる場合は、必要性を考えて、外すことも検討していいでしょう。基本的に発生率は低そうなものばかりですし、極端なものを除くと、損害額もさほど高額ではなさそうです。ちなみに、セゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」では、この補償を選んでいる加入者はおよそ半数のようです。ただし、この調べでは水濡れ補償も合わせて統計を取っています。
(※出典:セゾン自動車火災保険「水濡れ、物体の飛来・落下、騒擾(じょう)等」の補償とは?(一戸建て・建物)

特に、集合住宅、なかでも高層階に住んでいると、この補償範囲の中で心配なのは鳥が飛びこんでくることくらいですので、さほど重視しなくても問題なさそうです。

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