今、入っている人はなるべく継続したい「特約火災保険」とは?

住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)の融資を受ける人だけが利用できる火災保険として「特約火災保険」というものがあります。住宅金融支援機構の融資であっても、特約火災保険を利用できるものは限られており、フラット35などでは利用できません。

利用できる融資が限定的なため、今から新たに特約火災保険に入る人は少ないかもしれませんが、逆に、昔に機構融資を利用して、今も入り続けている人はいることでしょう。特約火災保険とはどんなものなのか、通常の火災保険とは違うのか、などをまとめました。

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旧公庫ローン利用者限定の割安な火災保険

特約火災保険は、正式には「住宅金融支援機構特約火災保険」と言い、複数の損保会社による共同保険として運営されています。共同運営とは耳慣れないですが、要するに、複数の保険会社が共同で責任を持ち、引き受けている保険ということです。保険金はすべての保険会社が少しずつ負担し、取りまとめられて支払われます。この負担の割合は均等ではなく、引受割合として定められています。

共同運営している保険会社のうち、損保ジャパン日本興亜が幹事保険会社という立場にあり、保険証券の発行などの事務手続きは損保ジャパンが行っています。

特約火災保険の補償内容は下記のとおりです。

補償範囲・火災、落雷、破裂
・爆発 ・落下、飛来、衝突または倒壊
・漏水などによる水濡れ
・騒じょう、集団行動などに伴い暴力行為
・風災、ひょう災、雪災
・盗難、損傷、汚損
・水災
費用保険金臨時費用保険金、残存物取片づけ費用保険金、失火見舞費用保険金、地震火災費用保険金、修理付帯費用保険金、水道管修理費用保険金、特別費用保険金、損害防止費用

費用保険金なども含め内容的には一般的な火災保険と変わらないことがわかるでしょう。保険金額は再調達価額と時価のどちらが選べます。地震の補償をつけたければ、特約地震保険として付帯することができます。この内容も一般の地震保険と変わりありません。

このような特約火災保険ですが、保険料は、一般の火災保険よりも割安とされています。

住宅金融支援機構で所定の融資を受ける場合、借入期間中、この特約火災保険に加入することが求められますが、特約火災保険への加入は義務ではなく、機構が示す要件を満たすものでれば他の火災保険でも構いません。ですが、述べたように、補償内容が遜色なく、保険料が安いのですから、特約火災保険を利用すべきかと思われます。

ただし、特約火災保険は、建物のみの保険であるという点が要注意です。家財の補償は、別に、家財だけの保険をかけておく必要があります。また、個人責任賠償保険の特約がないので、これも必要なら別に用意しなくてはなりません。

昔に機構融資を利用して、その時から特約火災保険を継続している人は、補償額が時価の設定になっている場合があるので、再調達価額になるよう、補償を変更されることをおすすめします。

機構融資から民間へ借り換え・完済した場合はどうなる?

住宅ローンは、金利や返済状況によって、借り換えをしたほうが有利な場合があります。機構融資を受けていたけれど、別の金融機関の住宅ローンに借り換えを行った場合、特約火災保険はどうなるのでしょうか。また、保険期間の満期を待たずに、融資を完済してしまった場合はどうなるでしょうか。

結論としては、借り換え・完済した場合でも、保険の契約期間が残っている限りは特約火災保険を継続することができます。

制度上は、機構の融資を受けていない状態になったのですから、借り換え・完済の時点で特約火災保険を解約することは可能です。ですが、述べたように、特約火災保険は保険料が割安で有利な保険と言えますので、保険期間いっぱい継続するのが良いと思われます。むしろ誤って解約してしまわないよう、借り換え・完済後も継続できるということをしっかり把握しておきましょう。

機構融資から別の金融機関の住宅ローンに借り換えた後、特約火災保険の満期が訪れた場合は、新たに特約火災保険を更新することができなくなります。他の火災保険になると、それまでより保険料が上がると思われるため、機構融資と特約火災保険を利用していた場合で借り換えを行う場合は、火災保険料の上昇も加味したうえで、借り換えについても検討されることをおすすめします。

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