老後の積立方法まとめ

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老後資金は公的年金だけでは心配。そんなとき、民間の積立制度を検討する人もいるかと思います。

一般に公的年金と言えば、国民年金と厚生年金です。ですがそれ以外にも、半ば公的な年金制度があることをご存じでしょうか。そういったものも、民間の個人年金と合わせて検討することができます。

もちろん、銀行の普通預金や、投資信託などの運用商品でもいいのですが、注目したいのは、年金商品には所得控除があるものが多く、節税効果が高い商品もあるということです。

ここでは、国民年金と厚生年金以外の、いろいろな個人型年金・民間の年金商品について、所得控除があるものを紹介したいと思います。まず、特徴を一覧で整理したのが次の表です(スマートフォンで表示が見にくい場合は横位置でご覧ください)。

  個人年金保険 確定拠出年金 財形年金貯蓄 小規模企業共済 企業年金 国民年金基金
掛け金上限 特に上限なし(保険会社によって制限ある場合あり) 会社員:月額2万3,000円 1号保険者:月額6万8,000円(国民年金基金の掛け金と合計してこの額) 特に上限なし 7万円 制度による 月額6万8,000円(確定拠出年金の掛け金と合計してこの額
節税効果 △(個人年金保険控除により、上限4万円の所得控除あり。) ◎(掛け金全額が社会保険料控除として所得控除あり。) △(所得控除はないが、元本550万円まで利息への課税なし。) ◎(掛け金全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除あり。) ◎(社会保険料控除または生命保険料控除として所得控除あり。詳細は制度による)。 ◎(掛け金全額が社会保険料控除として所得控除あり。)

それでは、それぞれの制度・商品について詳しく見ていきましょう。

個人年金保険

個人年金保険とは、民間の保険会社が扱っている年金商品です。

保険商品は大きく個人年金保険と変額年金保険に分かれます。違いは一点、元本保証かどうかです。また、所得控除があるのは個人年金保険だけです(ただし契約の条件によって控除の対象にならない場合もありますので注意してください)。

個人年金保険は元本保証ですので、安全に個人年金を準備することができます。年金は「確定年金」といって、あらかじめもらえる期間が決まっている年金が多いですが、終身型のものもあります。受け取れる年金額は一定であるものの、保険会社の運用成績によっては増額する可能性もあります。とはいえ、安全性重視の運用が行われているため、大きなリターンは期待できないでしょう。

所得税法により『個人年金保険料控除』が認められているのも特徴です。年間の払込総額にもとづいて、所得税で最大4万円、住民税では2万8,000円の控除を受けることができます。

年間の払込保険料総額 所得税の控除額
2万円以下 支払保険料の全額
2万円超~4万円以下 支払保険料×1/2+1万円
4万円超~8万円以下 支払保険料×1/4+2万円
8万円超 4万円
年間の払込保険料総額 住民税の控除額
1万2,000円以下 支払保険料の全額
1万2,000円超~3万2,000円以下 支払保険料×1/2+6,000円
3万2,000円超~5万6,000円以下 支払保険料×1/4+1万4,000円
5万6,000円超 2万8,000円

注目したいのは、払込保険料の上限が低めなこと。個人年金保険は、月払で1万円以上かけている人が多いでしょうから、ほとんどの人が上限まで控除を受けられるはずです。

たとえば、-細かい計算方法は割愛しますが-年間所得が200万円の人の所得税は10万2,500円です。このとき、個人年金保険料控除が4万円あったとしたら、所得税は9万8,500円になり、4,000円安くなります。小さな差だと思うかもしれませんが、個人年金保険の払込は何年間も続くのですから、その間、毎年わずかでも税金が安くなると考えると、決して無視できないのではないでしょうか。

月払保険料1万円の個人年金保険に30年間加入し、受け取れる年金総額が432万円になる個人年金保険があったとします。この保険の返戻率は120%です。ですが、この30年間、所得控除によって所得税が毎年4,000円安くすんでいたのだとしたら、12万円年金が上乗せされたと解釈することもできます。その場合、実質的な返戻率は123%になります。つまり、所得控除を考えにいれると、個人年金保険は見た目よりお得だとも言えます。

確定拠出年金

確定拠出年金は、企業年金に代わるものとして作られた制度で、公的年金の補完に活用します。2016年の法改正で、それまでは加入できなかった公務員や専業主婦なども加入できるようになり、現役世代なら原則、誰でも年金を運用できる環境が整いました。

銀行や証券会社などが管理会社として窓口になっており、利用者は窓口を選んで申込みます。運用方法は、毎月、支払う掛け金を、各管理会社が用意している商品に振り分けるというもの。そうして、運用成績に応じて増えた原資を将来の年金として受け取るという仕組みです。これが確定拠出年金の最大の特徴で、自分が選んだ運用方法が上手くいけばもらえる年金額も増えますが、逆に減ってしまうリスクもあるということです。

ただ、運用商品には元本保証のものもあるので、そういうものを選んでおけば、元本割れは避けることができます。

リスクをとって運用しなければならないなら、自分で株を買ったりするのとどう違うの?と思うかもしれませんが、確定拠出年金の掛け金は全額が控除に使えるという点で異なります。個人年金保険よりも多額の控除を受け取れるので、節税効果は高く、これが最大のメリットと言ってもいいくらいです。

個人年金保険は最大4万円の控除でした。確定拠出年金では、会社員の場合月額2万3,000円まで、自営業の場合は月額6万8,000円までの拠出額(掛け金)の総額がそのまま控除額になりますから、それぞれ27万6,000円、81万6,000の控除になります。

ただ、さすがに月額5~6万円も支払うのは、むしろ支払いが負担になるので、上限まで掛ける人は少数派かもしれません。とはいえ月額1万円の支払いであっても、確定拠出年金なら年間12万円がそのまま控除になりますから、年間所得が200万円の人は所得税が9万4,000円になります(控除がない場合の税額:10万2,500円)。

デメリットは、運用方法によってはリスクが発生するという点と、支払った保険料は引き出せない(途中解約ができない)という点です。

財形年金貯蓄

財形は、正式には『勤労者財産形成速制度』といい、1971年からある歴史ある制度です。企業に勤務している人が貯蓄がしやすいようにと考えられた仕組みです。目的を限定せずに貯蓄する『一般財形貯蓄』、住宅資金を貯めるための『財形住宅貯蓄』、そして老後資金を貯めるための『財形年金貯蓄』の3種類があります。

財形は、その制度を導入している企業に勤務している場合のみ利用できます。利用すると、毎月の給与から天引きの形で金融危険へ貯蓄に回されます。財形年金貯蓄の場合、5年以上、積み立てを続けると、指定した年から5年以上にわたって、年金形式でお金が戻ってくるというものです。

財形によって貯蓄したお金は、元本550万円まで、その利息が非課税になります。普通預金は利息に20%の税金がかかりますが、これが引かれずに済むということです。

財形の利率は、おおむね、銀行の定期預金レベルです。利子が非課税なのは嬉しいですが、利率的にもさほど大きなメリットは感じられないかもしれません。ですが隠れたお得ポイントとして、財形を利用している人は、『財形持家融資制度』という、住宅資金を借りられる融資を利用できます。財形貯蓄の残高の10倍、最高4,000万円まで借りることができ、金利は0.97%と一般の住宅ローンなどと比較しても低金利です。

財形の最大のメリットはなにかと問われれば、給与天引きであるため、意識せずして無理なく積み立てができると言えるでしょう。利率や節税効果は高くありませんが、融資制度を利用できることを考えると、決して小さなメリットではありません。

小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主または小規模な企業の経営者が利用できる制度です。お金を積み立てて、事業をやめたり、役員を退任したりしたときに、退職金のようにお金を受け取れる仕組みです。『独立行政法人中小企業基盤整備機構』という組織によって運営されています。

厳密には年金ではありませんが、個人事業主や経営者が、退職後の生活資金を準備するためのものという意味では同じです。

掛け金は1,000円~7万円の範囲で掛けることができ、この額は全額、『小規模企業共済等掛金控除』として所得控除にすることができます。年間所得が200万円の人が月額1万円の掛け金を掛けていたら、所得税が9万4,000円になります(控除がない場合の税額は10万2,500円)。

国民年金基金

国民年金基金は、簡単に言うと、自営業の人が国民年金に上乗せをするための制度です。厚生年金に入っていない自営業の人は、会社員の人より年金額が少なくなってしまうので、その部分を補うために利用します。

口数単位で掛け金を支払い(60歳まで払込)、多くの口数加入するほど、将来の年金額が増えていきます。年金は終身年金タイプと確定年金タイプのどちらかを選べます(最初の1口目だけは終身年金に固定)。

支払ったお金は、国民年金の保険料と同じように所得控除になります。保険料は年齢条件などで変わりますが、30歳男性が1口だけ掛ける場合で1万円程度です。

法律にもとづいて設立され、半ば公的な機関によって運営されていますが、万一制度が破綻したような場合の補償については明らかではありません。準備金が不足しており、本当に問題なく運営され続けるのか不安だという指摘もあります(※運用状況はインターネットでも公開されています)。

公的年金も破綻するのでは?と言った声がありますが、国民年金と国民年金基金は似たようなものであっても異なる制度ですので、公的年金ほどの信頼性や、万一の場合の救済措置があるかどうかはわかりません。

また、一度支払った保険料は、将来、年金として受け取る以外では絶対に引き出すことができません。つまり途中解約はできないということです。

※自営業だった人が会社勤めになるなどして厚生年金に入った場合、国民年金基金から脱退しますが、それまでに支払った保険料はそのまま基金が預かって運用し、将来、加入期間に応じた年金が支払われます。

企業年金(厚生年金基金など)

自営業の人(=国民年金だけに加入している人)が年金の上乗せをするために国民年基金があるように、会社員が年金を上乗せするための制度もあります。

一般に企業年金と言われているのがそれで、ひとつの企業、あるいは、いくつかの企業が共同で設立した基金として運営されます。そのため、すべての企業が基金を設立しているわけではないので、誰でも希望すれば利用できるのではありません。勤務先の企業にこの制度がある場合のみ利用できるということです。

運用状況は基金によってさまざまですが、最近、運用成績が悪化して廃止される基金も多いと報道されています。企業年金は今後、先に紹介した確定拠出年金に置き換わっていくだろうと言われています。

まとめ

紹介した各種年金制度・商品の特徴を整理してまとめた表を再掲します。

  個人年金保険 確定拠出年金 財形年金貯蓄 小規模企業共済 企業年金 国民年金基金
加入しやすさ ○(誰でも加入できる) ○(誰でも加入できる) ×(会社員で勤務先に制度がある場合のみ) △(個人事業主か中小企業の経営者のみ) ×(会社員で勤務先に制度がある場合のみ) △(自営業など1号保険者のみ)
解約しやすさ
(流動性)
○(いつでも解約可能) ×(解約できない) △(解約できるが過去5年間に生じた利息に課税される) ○(いつでも解約可能) △(制度による) ×(解約できない)
掛け金上限 特に上限なし(保険会社によって制限ある場合あり) 会社員:月額2万3,000円
1号保険者:月額6万8,000円(国民年金基金の掛け金と合計してこの額)
特に上限なし 7万円 制度による 月額6万8,000円(確定拠出年金の掛け金と合計してこの額
節税効果 △(個人年金保険控除により、上限4万円の所得控除あり。) ◎(掛け金全額が社会保険料控除として所得控除あり。) △(所得控除はないが、元本550万円まで利息への課税なし。) ◎(掛け金全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除あり。) ◎(社会保険料控除または生命保険料控除として所得控除あり。詳細は制度による)。 ◎(掛け金全額が社会保険料控除として所得控除あり。)
安全性 元本保証。万一、保険会社破綻の場合、生命保険契約者保護機構により契約が引き継がれる(年金額減少の場合あり)。 運用の結果次第で元本割れの可能性あり。 元本保証。預金保険制度の対象として保護される。 元本保証。破綻リスクは不明。 元本保証。基金破綻時は別の基金に引き継がれるが、年金額は減少の場合あり。 元本保証。破綻リスクは不明(運用は比較的、悪化の傾向)。
その他の
メリット
運用次第でリターンが期待できる。インフレに強い。 財形持家融資制度で有利な金利で住宅資金を借りられる

節税効果を重視するなら、確定拠出年金が優れていると言えます。小規模企業共済や企業年金、個人年金基金もいいのですが、利用できる人が限られているからです。

ただし、解約できず、払い込んだ掛け金が途中では戻ってこないというデメリットがあります。それを考えると、個人年金保険はバランスの良い商品と言えます。誰でも利用でき、リターンについても節税効果を考えに入れるとそこまで悪くないことは述べたとおりです。

いずれにせよ、ひとつの商品・制度に資金をすべて集中させるのは考えもの。万一の破綻リスクもゼロではないので、余裕資金かつ無理のない範囲で老後資金を準備するのが賢い方法です。

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