「遠隔診療」解禁! 医療技術の進歩に民間の医療保険はどこまで対応できる?

医療技術の進歩が話題になって久しいですが、今回、身の周りの通信技術との相乗効果で、更に展開が予想される「遠隔診療」がより幅広く認められることになり、その影響と民間の医療保険について整理してみました。

隔診療、事実上解禁 「ソーシャルホスピタル」へ前進

スマホやタブレット端末などの普及で、医師と患者が同じ場にいなくてもインターネットなどの通信技術を使ってつながることが可能になってきた。2015年8月に厚生労働省から「遠隔診療」についてより広い解釈を認める通達が出されたのがきっかけで、患者の情報や状況を見ながら、医師が離れていても診療できるという「遠隔診療」が注目されている。

民間の事業者の中でも、今後の広がりを見越して、診断・処方・医薬品の配送までモバイルをツールとして「遠隔診療サービス」を提供する会社も登場している。

遠隔診療が解禁になるのに18年もかかっている!

「病院に行かなくても、テレビ電話などで診療が受けられる」と思うと、私たちの医療はとっても身近になりますよね。でも、ここまでに来るのに、厚生労働省の動きとして18年くらいかかっていることに私は驚きました。

厚生労働省の資料を調べると、1997年に厚生労働省医政局長通知で、遠隔診療についての考え方や内容などが発信されていました。しかし、当時は、まだ対面診療の補完的な位置づけだったといえます。利用イメージも離島やへき地などの表現が使われ、治療の対象についても「在宅糖尿病患者」「在宅酸素療法を行っている患者」など9つの内容(以下参照)が示されている程度で、限定的な印象がぬぐえませんでした。

H9年遠隔診療通知 別表より

「遠隔診療の対象と内容の例」

  • 在宅酸素療法を行っている患者
  • 在宅難病患者
  • 在宅糖尿病患者
  • 在宅喘息患者
  • 在宅高血圧患者
  • 在宅アトピー性皮膚炎患者
  • 褥瘡のある在宅療養患者
  • 在宅脳血管障害療養患者
  • 在宅がん患者

それが、今回、2015年8月の通達で、「遠隔診療」の幅広い活用を認めることになってきたのは、背景として、超高齢化社会の中で、慢性疾患の患者が増え、病院の病床数が足りなくなるという予想や、IT関連など様々な技術の進歩が融合して医療でも実現可能なレベルに来たことが挙げられると思います。この時期にして、やっと推進の流れが出てきたと言えるでしょう。

「遠隔診療」が幅広い対象になることで変わる医療の受け方

厚生労働省が2015年8月に出した通達によると、「遠隔診療」について、従来の限定的な解釈から格段に対象範囲が広がっています。

そのポイントは、次の3つがあげられます。

  • 対面診療が必須ではないこと
  • へき地や島などに限定しないこと
  • 遠隔診療の内容も1997年の別表にある9つの内容はただの例示にすぎないこと

なお、実際に浸透するには、遠隔診療に対応した形で診療報酬制度が整えられることが必要という指摘が多くあります。しかし2014年の診療報酬改定で、在宅で医療を受ける在宅医療の診療報酬は点数が引上げられ、医師も取り組みやすくなっていると言われています。国が「遠隔診療」の必要性を認識し、積極的に広げたいのなら、診療報酬の改定も時間の問題ではないかと思います。

このように環境が整い、「遠隔診療」が選択肢として選べるようになると、私たちにとっては病院の場所にこだわることなく、遠方でも診てもらいたい医師を選んで申込むことも可能になるでしょう。インターネットを通じた医師の情報や実績など、医療を受けるための情報開示や、お客様からみた選択窓口などもどんどん増えてくるのではないでしょうか?

遠隔診療に長ける先生の登場や、サポート体制の重要性も

医師の先生にとっても、テレビ電話での診察などでは、触診などが出来ない分、その他の情報やヒアリング力を活かして適切な診察をする腕が求められてくるそうです。モバイルやテレビ電話で感じ取れるセンスをどこまで活かせるかどうかで、口コミなどによる人気の先生に診療が集中することも予想されるでしょう。

私もSkypeなどで遠方の方の相談に応じたりしますが、直接お会いするのとは、顔色も肌質や目線など、詳細などの伝わり方が違ってくるので、そのあたりを心得た対応が重要になってくると思います。

また、遠隔診療を行う医師を支える体制も重要と言われています。

例えば、2013年から岐阜県では「遠隔診療利用型在宅医療モデル事業」を展開中で、その一環として「遠隔診療指導・教育的在宅緩和ケア」を実践しています。iPhoneやiPadを 使って遠隔診療の指導を行ったり、同じ患者に同時にかかわることで実践的教育や後方支援を行ったりする取り組みで、これらも普及に一役買うのではないかと思います。

入院給付中心の医療保険は、ガラパゴス化?!途中で見直しや対応できる入り方へ

さて、こうした医療の変化や進歩は利便性が上がるということで喜ばしいニュースですが、民間の医療保険の使い勝手はどうなるのでしょうか?

実は、私自身も医療保険に長く加入してきましたが、入院期間の短期化、通院でできる診療の増加、そして、上記のような遠隔診療や在宅医療が浸透しつつある中で、そろそろ、自分のライフステージに合わせて医療保険を見直す時期が来ていると思っています。

その際にしっかりと押さえておきたいポイントは、まず、何のために民間の医療保険を利用するかという人生のステージでの目的と、今後の医療の変化を見据えることの2点です。

前者、人生のステージについては、例えば、子どもが成長して自立しつつあるなら、治療中にホームヘルパーを長期的に頼むような事態は減りつつあるので、入院給付日額を抑えていくことも可能でしょう。

後者、医療の変化については、従来からあるような、入院で1日5千円や1万円という給付が前面に出ている医療保険の終身型では、近い将来、入院以外の医療が広がりつつある変化に十分対応できないリスクがあるという点です。

今後、保険の見直しをしていく際に気になるのは、特に終身医療保険について、保険料の払込期間を60歳や65歳までにして、現役時代に比較的高めの保険料を払う方法です。これでは、途中で保険を整理し、加入し直そうにも、今まで払っていた分がもったいないという気持ちが強く、大きなハードルになりがちだからです。

よってこの先、ライフステージのみでなく、医療の変化にも対応できるよう、保険も手軽に見直せるようにしておくことが重要ではないかと思います。保険料を前倒しで払い込んだりせず、また、積立や解約返戻金のあるものにこだわらずに、途中の医療技術や環境の変化に合わせて対応できるよう、幅広い保障内容の商品や臨機応変に対応できる入り方へと舵を切るタイミングに来ているのではないでしょうか。

参考

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