確定拠出年金改正法が成立。誰でも年金運用が可能に!

公的年金(国民年金保険、厚生年金保険)に上乗せする国の年金制度の1つ、確定拠出年金の法律が改正され、来年1月から、これまで加入できなかった公務員や専業主婦なども加入できるようになります。それによって、現役世代なら、原則、誰でも年金を運用できる環境が整います。

確定拠出年金改正法成立

《要約》運用成績によってもらえる年金額が変わる「確定拠出年金」の加入対象者を、実質的にすべての現役世代に広げる改正確定拠出年金法が5月24日成立した。来年1月から加入対象となる公務員や主婦らの取り込みに向け、金融機関が動き出した。

導入から15年。認知度がいまいちで加入者は伸び悩み?!

確定拠出年金は、60歳まで毎月一定額を拠出(積み立て)し、加入者自身が運用・預入する商品を決めて老後資金を作る年金制度です。将来受け取る年金額は、運用成果によって変動します。拠出する金額が確定していることから「確定拠出年金」と名付けられました。DC制度、401kとも呼ばれています(以下、DC制度と略)。少子高齢化で公的年金の給付減は避けられそうもなく、公的年金に上乗せする新たな年金制度が必要だということで、2001年に導入されました。

DC制度には、企業型と個人型があります。企業型は、掛け金は企業が拠出し、加入者(社員)は運用指示(商品選び、配分割合の選定・変更など)をします。個人型は自営・自由業者、企業型を導入していない会社の社員が、自ら掛け金を拠出して運用指示を行います。

平成28年3月末の加入者数は、企業型約550万人、個人型は約26万人(国民年金加入者約7万人、厚生年金加入者約19万人)です。企業型はともかく、個人型の加入者は極端に少ない印象です。

制度導入から15年たっても加入者が伸び悩んでいるのは、認知度が低いからでしょう。個人型については、窓口の国民年金基金連合会と取り扱い金融機関があまり積極的に宣伝していないことが理由のようです。また、国民年金加入者や中小企業には、国民年金基金、小規模企業共済、中小企業退職金背戸があるのも、伸び悩みを招いている要因と考えられます。

個人型の加入者の範囲が拡大!

今回、法改正されたポイントはいくつかありますが、最大のポイントは個人型の加入者の範囲が拡大すること。2016年12月までは、自営・自由業者、DC制度を導入していない会社の社員に限られます。しかし、2017年1月からは、公務員、主婦、企業型を導入している会社の社員まで、加入者の範囲が拡大します。これで、現役世代のほとんどが自分年金作りをできることになります(国民年金保険料の未納者、免除者などは加入できない)。新たに対象になる人は2,600万人規模になるとのことで、加入希望者者は、野村総合研究所のアンケートによると、941万人に上るそうです。

法改正の背景には、「公的年金は年金受給者の増加と現役世代(保険料負担者)の減少に歯止めがかからないゆえに給付減はやむを得ないから、自分の老後資金はリスクを取って作ってくれ」との国の意図を感じ取ったのは筆者だけでしょうか?

確かに、現在でも、公的年金だけで老後資金を賄うのは厳しく、現役世代が老後を迎えるころには、さらに厳しくなることを覚悟しないといけません。何らかの手段で老後資金の積み増しをしておかないと、社会現象用語として定着しつつある「老後ビンボー」、「下流老人」、「老後破たん」に陥るリスクが高まります。

その、何らかの手段の1つが個人型というわけです。

●個人型の加入者の範囲
2016年12月まで 2017年1月から
加入できる人 掛け金限度額(月/年) 加入できる人 掛け金限度額(月/年)
自営・自由業者など 6万8,000円/81万6,000円 自営・自由業者など 6万8,000円/81万6,000円
企業型DCのない会社員 2万3,000円/27万6,000円 企業型DCのない会社員 2万3,000円/27万6,000円
    企業型DC、企業年金などに加入している会社員 2万円/24万円
    公務員 1万2,000円/14万4,000円
    専業主婦など 2万3,000円/27万6,000円

※青色が拡大する加入者

個人型のメリットは3つの税優遇!

個人型のメリットは、積み立て時、運用中、受け取り時の3つの税優遇です。

積み立て時の掛け金は、全額が所得控除の対象になります。例えば、毎月1万円(年間12万円)を積み立てたとすると、所得税・住民税を合計した税率が20%の人は、2万4,000円の節税ができます。個人事業主は、小規模企業共済(控除枠・年84万円)とは別枠で、年間最大81万6,000円まで枠を使えます。

通常、金融商品の運用益には税金(源泉分離課税20.31%)がかかりますが、個人型の運用益は非課税です。税金が取られない分、一般の金融商品より有利ということです。

積み立てが終了して受け取るときは、年金受け取りは雑所得(公的年金等)として課税されますが、公的年金等控除が受けられます。一時金で受け取る場合は退職金として課税されますが、退職所得控除が受けられます。いずれも、一般の金融商品より、税金面で有利です。

収入のない専業主婦は、積み立て時の税優遇は受けられませんが、運用中と受け取り時の税優遇は受けられます。

個人型の加入にあたっては手数料に注意!

個人型に加入する際、注意することはどんなことでしょうか? 運用責任は加入者自身にあること、中途引き出しに制限があって原則60歳までできないこと、手数料がかかることです。

運用責任は、選んだ商品で変わるので、運用について学ぶしかないですね。中途引き出しの制限は、掛け金の変更(年1回)や積み立ての停止で対応できます。

最も注意したいのが、金融機関に払う手数料です。加入者が負担する手数料は、初回のみにかかる口座開設手数料(ほとんどの金融機関は2,777円。3,857円、6,017円の金融機関がある)、毎月の掛け金から差し引かれる口座管理手数料等です。前者は初回のみなのでいいとして、後者は意識したいもの。これは、金融機関で異なり、安いところで167円(年2,004円)、高いところで642円(年7,704円)。年6,000円から7,000円が多いようです。

なぜ、手数料を意識してほしいかというと、積立金額と税率によって、節税効果が小さくなってしまうからです。例えば、税率15%の人が掛け金の下限額の月5,000円(年6万円)を積み立てた場合、節税できる金額は年9,000円です。手数料が6,000円だとすると、節税できるのは実質3,000円です。運用商品に投資信託を選ぶと信託報酬手数料もかかるので、さらに節税効果が小さくなります。

老後資金を作る手段はいくつ持っていてもいいですし、個人型の税優遇は魅力的なので、その優遇を受けられる金額で利用しましょう。もちろん、金融機関と商品選びが大切なことも、いうまでもありません。

参考

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