マイナンバーカード連携の自治体ポイントは使える?今後の展望とあるべき使い方

マイナンバーカードというと自分の個人番号が記された身分証明書と思っている人も多いことでしょう。そのマイナンバーカードが、総務省の旗振りより、各自治体の発行するポイントを貯められる機能を持ちはじめました。「ポイントが貯められるってどういうこと?」「これって使えるの?」などの素朴な疑問も多くきかれるので、以下、マイナンバーカードに連携できる自治体ポイントを整理してみました。

マイナンバー、自治体ポイントと連携開始

《要約》2017年9月25日より、マイナンバーカードに自治体が発行するポイントを連携させることが可能になり、約200自治体が参加した。各自治体の地域通貨のポイントはマイナンバーカードに貯めたり、そのポイントを買い物で使ったりできるようになる。
自治体ポイントは今後、自治体の施策に応じて付与されるようになるが、急には増えないので、まずは、航空会社のマイレージや、クレジットカードのポイントを自治体ポイントに交換できるようにしている。貯まったポイントは1ポイント=1円として、地元の商店街や美術館などのほか、「自治体ポイントナビ」にあるオンラインの特産物購入などに使える。

自治体ポイントの本来の使い方は?

今回スタートした「自治体ポイントナビ」サイトをみると、

「自治体ポイントは、『1自治体ポイント=1円分』として、地域の商店街での商品購入、公共施設の利用料、およびオンラインでの物産の購入等に利用できるポイント」とあります。

しかし、これだけでは、商店でのお買い物や通販サイトのようなイメージが先行してしまうのではないでしょうか?総務省のもともとの構想は、次の図のようなイメージでした。

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出典:総務省 平成28年12月2日 「マイナンバーカード」を活用した地域経済好循環の拡大に向けた取組

これらの資料によると、以下の3つを一元化して、1枚のマイナンバーカードでできるようにすることを想定しています。

  1. 市区町村の公共施設(図書館・スポーツ施設・美術館・駐輪場など)の利用に関する管理を迅速・効率化し、住民がもっと使いやすくする
  2. 自治体の施策に参加した人へ、自治体ポイントを付与する ・健康増進については、健診の受診、ウォーキング教室などへの参加など ・子育て支援については、両親学級・乳児健診などの健診・離乳食教室の参加など ・その他、ボランティアや、防災教室、地元のスポーツ応援などの参加でもポイント付与
  3. 地元の商店街などでの買い物や特産物のオンラインショッピングなどで、貯めた自治体ポイントを消化

つまり、「自治体ポイント」というのは各自治体が発行するポイントで、自治体の施策や提携会社に応じて、もらって貯めたり使ったりできるものです。

こうした構想のもと、スタート時に自治体ポイントを効果的に増やせるよう、クレジットカード会社や航空会社、電力会社などの協力を得て、マイルやカードのポイントから交換できるようにしたのは工夫が見えますが、何よりも、次のような視点で、突っ込みどころが満載の内容になっています。

1.自治体ポイントの使い道が少なすぎる!

日本には、2016年(平成28年)10月10日現在で、791市、23特別区、町村まで入れると合計1741あります。スタート時点で自治体の参加数は9月20日現在228団体とのことで、わずか13%にすぎません。おそらく、各自治体に対する趣旨・目的の徹底や準備期間が十分でなかったのではないかと思います。

実際にオープンした「自治体ポイントナビ」サイトで、使える自治体ポイントにどんなものがあるのかと都道府県からクリックしても「取り扱いがありません」というところが多く、閑散とした印象を受けました(2017年10月現在)。やっと出てきた情報をクリックしても、その中でポイントを使えるのが一市町村のみだったり、一商店だけだったり、図書館だけだったりという状況で、これでは何のため?と思わざるを得ません。

もし、浸透させたいのなら、実際に自治体ポイントをもらって貯めたり使えたりできる機会をどんどん増やし、一般市民が魅力を感じるように、働きかけていくことが必要でしょう。ただし、自治体ポイントを貯めたり使ったりできるように手続きを進める際にも、次のようなハードルが生じています。

2.導入手順が複雑すぎる!

実際に、マイナンバーカード保持者が、これらのサービスを活用するには、総務省が運用を始めた「マイキープラットフォーム」にアクセスし「マイキーID」(任意の8桁の英数字)を作成することが必要になります。

以前、ブロックチェーン技術を使うというニュースもあったので、もう少しシンプルなシステムを予想していたのですが、説明を見ると思いのほか面倒でした。写真のように、マイキーID作成・登録準備ソフトをいちいちダウンロードすることが必要なこと、さらに、マイナンバーカードをカードリーダーという機器で読み取ることが必要なのも大きなネックになります。「これだけで萎えた」という声も、周囲で多く聞かれました。

また、実際に外出先で使うようになるには、スマホにアプリをダウンロードすることが必要ですが、スマホの機種対応が不十分など、利用者のレビューはあまりよくありません。


3.地域の競争をあおりかねない!

さらに私が気になったのは、使える自治体ポイントを選ぶ際に、前述のように全国版の地図表示になっていることです。このような見せ方だと、実際に、利用者は自分の持っているポイントで何を買えるか、各自治体の内容を比較してしまうでしょう。これでは、まさにふるさと納税のように通販サイト化してしまうのではないでしょうか?実際、ふるさと納税で自粛していたという商品が出回って、注目を浴びたりしているようです。

しかし、本来は、自分の暮らす地域や、旅行などで自分にご縁のある地域が、活気よくなって経済が好循環していくのを応援するための自治体ポイントです。安直に全国の地図を表示してクリックさせてしまっては、地域の商品サービスの競争をあおってしまい、本当に地域のために尽くす姿が評価されなくなってしまうと思います。

今、大事なのは、地域の競争ではありません。

地域の行政と、そこに住んでいる人、仕事をしている人、訪問する人たちが、しっかりとつながって、心もお金も通い合う好循環の世界を創り、次世代が暮らしやすい世の中にしていくことが大事なのではないでしょうか。そのために、自治体ポイントやマイナンバーカードはどうあるべきか、今のうちに見直すことが必要と思えてなりません。

本来の自治を活かす運営と、損得勘定ではない自治体ポイントの使い方が必要

2016年にスタートしたマイナンバーカードは、普及率がわずか1割未満と言われます。その現状を打開すべく、マイナンバーカードの普及を進めたい国の目的と、ポイント好きな消費者を地域に呼び込んで活性化させようという自治体の目的を、むりやり結び付けてスタートしたのが現状のように感じています。

自治体ポイントは、上からの指示でやるものではなく、人々に一番近い存在である自治体の理念や働きかけから、浸透するものでしょう。その動きが国の用意したシステムや器にちょうど合致するなら、うまく回るようになると思います。

総務省の地域力創造グループ地域情報政策室が公表した「マイナンバーカードを活用した住民総活躍・地域の消費拡大サイクルの全国展開について」によると、平成30年度には本格的な展開として、

  • 全国展開
  • 各種交付金等の給付業務を自治体ポイントで行う
  • 取引履歴等の記録等にブロックチェーン技術を導入する

とあります。

全国展開をうたっていますが、今回のマイナンバーカード連携前から、既に、自ら地域通貨を発行してポイントを浸透させている自治体も複数存在します。そうした自治体は、各エリアの歴史や文化、産業、人口構成などの特徴に合わせて、ポイントの付与も独自に設定するなど様々です。今後、自治体の自治を活かして成果をあげていくためには、レールの上に乗るのではなく、自治体同士が積極的に交流して学び合うなど、各自治体の取組みをどんどん紹介していく連携がとても重要になってくると思います。

自治体なのですから、上からのヒエラルキーを前提にしていては形骸化してしまいます。

これからは、たくさんの自治体がフラットな関係で情報交換しながら、それぞれ個性を活かして施策を打ち、住民の賛同・共感を得てつながっていくコミュニティを育んでいけるかどうかが、生き残りのカギになると思います。私たちも、よくある通販のように自治体ポイントを損得勘定で捉えるのではなく、地域の自治を応援する行動のひとつとして、自治体ポイントを活用していきたいですね。

参考

  • マイナンバーカード、地域通貨、仮想通貨……お金の流れや形が変わることで私たちの生活はどう変わる?
    http://hokensc.jp/news/20170804/
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