第2回日本最大の仮想通貨取引所として、「仮想通貨元年」の生みの親でもある株式会社bitFlyer

掲載:2017年7月14日

日本最大の仮想通貨取引所として60万口座を突破し、また、ブロックチェーン技術を使ったさらなる社会の発展へと活動、日本のFintech業界でも注目を浴びている株式会社bitFlyer。今回は、代表取締役の加納裕三さんに、目指している世界観や、これからの私たちの暮らしに役立つサービスや使う際の注意点についてお伺いしました。 吹田 朝子・保険ジャーナル編集部)

対応してくれた人
株式会社bitFlyer
代表取締役

加納裕三氏

ビットコインという「新しい通貨」の誕生に対する先見の明と、3か月で起業した日本初のビットコイン販売所

吹田:60万口座突破、おめでとうございます。2014年に創業されて3年目とのことですが、そもそも当時、なぜビットコインに注目されたのでしょうか? 日本初となるビットコイン販売所をつくろうと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

加納氏:ビットコインやブロックチェーンとの出会いは2010年でした。それは会社の同僚との会話からでしたが、当時、新しい通貨が誕生したこと、そして、ブロックチェーンの技術も相当面白いものになると感じていました。ただ、その時点では、まだ信用度が低く、ビットコインの取引価格は10円から数十円程度だったので、起業のタイミングではないと思っていたのです。

2013年11月にFRBのベン・バーナンキ前議長が、仮想通貨に対して「長期的に有望」という容認発言をし、ビットコインの価格が何十倍にもなりました。「米国の中央銀行が仮想通貨を認めるのであれば、日本もヨーロッパ等も追随し、これで通貨として信頼されていくだろう」そう思って、その3か月後に起業したわけです。

吹田:3か月とは随分、スピーディーだったのですね。そのとき、日本の社会や世界をどんな世の中にしていきたいと考え、そのためにどんな役割を担っていこうと思っていらっしゃったのでしょうか?

加納氏:当社はミッションとして「ブロックチェーンで世界を簡単に。」と謳っています。仮想通貨を含めたブロックチェーン技術で世の中が簡単になること、つまり「早くて安くて安全な」社会を実現するために、我々はビットコイン販売所/取引所をつくり、まずはビットコインを気軽に持ってもらえるようにサービスを展開しています。

吹田:「早くて安くて安全な」社会のために、ビットコインを取り入れるのが効果的ということですね。まだまだ仮想通貨についての誤解はありそうですが、今年は「仮想通貨元年」とも言われますよね。

P6270071h加納氏:その「仮想通貨元年®」は、実は当社のコピーなんですよ(笑)。皆さん使ってますが。

吹田:そうだったのですね(笑)。ちなみに暗号通貨ではなく、仮想通貨で良いのですよね。

加納氏:昔は法律のしばりがあって「通貨」とは言えず、「価値記録(価値を持つ電磁波的記録)」と言われていました。しばらく、Cryptocurrency(暗号通貨)とVirtual currency(仮想通貨)の争いがありましたが、2015年6月のFATF(「The Financial Action Task Force:金融活動作業部会」)による仮想通貨に関するガイダンスが発表されたのが決定打となり、日本では、仮想通貨が法律用語になりました。

吹田:仮想通貨にも多くの種類があるなか、御社が取り扱うかどうかの判断基準はありますか?

加納氏:基準は厳しくしています。詐欺的なものでないことを見極めることが取引所の役割ですから。技術的背景がしっかりしていること、販売方法も健全であること、コインの性質やどんな目的で作っているのかなどをしっかりチェックするようにしています。

ビットコインなどの仮想通貨を顧客が扱いやすくするための工夫とは?

吹田:ビットコインをはじめ仮想通貨に関する情報提供にはかなり力を入れていらっしゃいますね。

加納氏:はい、手続きや取引に関するFAQはもちろん、用語集では、基本的な用語から仕組みに関する専門用語などまで、幅広く情報を提供しています。

吹田:顧客からみると、仮想通貨はまだまだ価格変動に対する不安が大きいと思います。マーケットの動きなど、顧客に向けた情報提供などは、どのように取り組んでいらっしゃいますか?

加納氏:個人的な発言はマーケットに与える影響が大きいので、控えていますが、会社としては、客観的に公表されているアナリストのコメントはご紹介しています。

吹田:Webサイトからもわかるように、販売所/取引所のみならず、幅広く業務展開をされていますが、特に今、注力していることは何でしょうか?

  • bitFlyer FX(ビットコインでレバレッジ最大 15 倍のFX取引)
  • API公開(Application Programming Interface:Webサイトのプログラムを一部公開することにより外部のシステムやサービスと連携させる仕組み)
  • ビットコインをもらう
  • 法人向けサービス
  • ビットコインを使う(ビットコイン専用のネット通販)
  • bitFlyer Lightning(ビットコイン、イーサリアム)
  • ブロックチェーン
  • ビットコインで社会活動
  • ブロックチェーン研究所
  • ビットコインニュース
  • ビットコイン・ドネーションズ

加納氏:一番力を入れているのは、bitFlyer Lightningですね。

bitFlyer Lightning

吹田:bitFlyer Lightning は、顧客同士の発注、取引を行うプラットフォーム(取引所)ですね。シンプルに、bitFlyer との間でビットコインを購入したり売却できる販売所としてのページもありますが、株価チャートなどに慣れている人には、とても魅力的なページと思います。なぜここに力を入れているのですか?

加納氏:それは、決済や送金よりも、値上がり益を期待している人たちが多いためです。

吹田:なるほど。bitFlyer Lightningは、円からビットコインの間で売買もできますし、ビットコインとイーサリアム(ビットコインの次に時価総額が大きい仮想通貨)の間での売買もできますね。なぜ、イーサリアムは円建てではなく、ビットコイン建てにしているのでしょうか?

加納氏:ビットコインが基軸通貨になると思ったので、ビットコイン建てにしています。イーサリアム販売所なら円建てで購入できますが、顧客の要望はあるのでbitFlyer Lightningでもできるよう検討しております。

吹田:顧客の声を聞きながら、サービスに手を入れていらっしゃるのですね。

加納氏:はい、ユーザビリティはとても大切にしていますから。まず、発注を簡単に、クリックだけでできるようにしていますし、他にも、同じ取引画面上で、ニュースや月次損益などもわかりやすく表示するなど、他社にはない工夫をしています。ユーザーのニーズやレベルに合わせて、複雑な注文やトレーディングにも対応しています。

吹田:私もbitFlyer Lightningで0.1ビットコインを夜寝る前に指値をしたことがありましたが、翌朝、0.0398112と0.0601888と部分的に取引されていてびっくりしました。しかも手数料は、成行でも指値でも変わらず、手頃ですし。

加納氏:部分約定ですね。

吹田:最低購入額も少額から可能ですよね。また、毎月の定額購入も、御社は、クレジットカードで1,000円から可能ですよね。

加納氏:ビットコインは0.001BTCから、イーサリアムは0.01ETHから購入できるので、数百円から可能です。おっしゃるとおり、毎月定額購入もでき、無理ない予算でできるようにしています。

吹田:仮想通貨取引所は他にも増えているようですが、御社は、顧客に対するどのようなサービスを強みにしていらっしゃいますか?

加納氏:顧客の売買については、取引レポートや資産状況をわかりやすく表示していますし、ビットコイン専用のネット通販のページで、豊富な品揃えの中からビットコインで買い物ができるのは当社ならではです。また、ビットコインをポイントのようにもらえるコーナーでも数々の提携をしているので、売買や保管から使う、もらうといったさまざまなシーンで活用できるのが強みです。

ビットコイン購入後の持ち方などの注意点は?

吹田:実際にビットコインを持とうという顧客にとって、取引所の口座の他、Walletでの管理、その他デビットカードへ移す方法もあるので、使い分けで複雑に感じる人は多いと思います。御社は、取引所の口座はもちろんWalletアプリもあるので、bitFlyerでまとめている人も多いでしょうが、持ち方についてアドバイスや注意点はありますでしょうか?

加納氏:持ち方については、一長一短ありますね。取引所とそのWalletですべてを管理するのは、パスワード管理などが簡単でとても使いやすく効率的といえますが、一方で、取引所の破たんリスクの影響を強く受けてしまいます。ですから、取引所には取引する分だけにし、多額の資金は自分のWalletに移して保管するほうが安心といえるでしょう。しかし、それには、秘密鍵など自分のWallet管理をすべて自分が責任もってやる必要があります。

吹田:自分がビットコインをどの程度、売買し、どのように使っていきたいのかに合わせて、取引所に置いておく金額や、Walletの管理を自分で意識していくことがやはり必要ですね。

加納氏:ちなみに、当社は、ハッキングに備えて、ネットワークから隔離されたコールドウォレットに80% 以上のビットコインを保管しています。また、損害保険を活用し、二段階認証登録をしていれば、メールアドレス・パスワード等を盗取され、不正に日本円で出金された場合の補償金支払いサービスも提供しています。

吹田:取引所を選ぶ際に、そうしたリスク管理にも注力しているところかどうかを確認することは大事ですね。

より速い処理能力を持つブロックチェーン技術への取組み

吹田:ブロックチェーン技術について、仮想通貨だけでなく、いろいろな可能性が言われていますが、今、どのようなことに取り組んでいらっしゃいますか?

加納氏:当社は、独自のブロックチェーンとして、セキュリティ面も強化して、比較的に高速のシステムをつくっています。2016年から新たなプロジェクトとしてスタートした「miyabi」は、Webサイト上に紹介動画がありますが、次世代ブロックチェーンとして、秒速1500件以上のトランザクションを可能にしています。

吹田: 秒速1500件というのは速いですね。

加納氏:普通のデータベースと比べるとすごく遅いですが、ブロックチェーン技術のなかでは速いです。今は1秒間に最大7取引と言われている水準なので。

吹田: これはbitFlyerの取引所から送金する際などに使われるものですか?

加納氏:いえ、それとは別のシステムで主に法人向けに開発しています。「miyabi」をつかったブロックチェーンは、例えば、セキュリティの高いエンタープライズでも活かせますし、何より、災害が起きても問題なく動く仕組みとして役立てると思っています。

吹田:なるほど。まだ一つのサーバに集中して管理されているところが多いので、それらをブロックチェーンで分散管理できれば、劇的に変わっていきますね。

ブロックチェーン技術を浸透させ、みんなの金曜を休みにしたい

吹田:加納社長は、一般社団法人日本ブロックチェーン協会(以下JBA)の代表理事でもあり、まさに中央集権ではなく、自主規制で信頼性が確立されていくために大事な役割を担っていらっしゃると思いますが、今後、活動していく上で、何を意識されていますか?

P6270079h加納氏:JBAは、加入者数が記念すべき100を突破するまでに成長しました。世界的には、国際ブロックチェーンフォーラム(Global Blockchain Forum)の一部であり、今後、シンガポール、オーストラリア、アメリカ、カナダなどを連携して技術提供をし、役割分担をしていくことになると思います。

当社は、プラットフォーマ―として、ビットコインの普及に3年半かけてきましたが、これからはもっと多くの人にブロックチェーンについても、その良さを感じてもらいたいと思っています。裏方ではありますが、この世の中には無駄なことがまだたくさんあり、ブロックチェーン技術でいくらでも改善できる要素があるからです。

例えば、いまだに米国への送金は5日間程度かかることもありますが、銀行のシステムをブロックチェーンにできたら24時間資金移動がスムーズになりますよね。店舗などで売上が迅速に入ってくれば、それだけ資金ショートのリスクは減ります。公共料金の支払いもモバイルで読み取れたり、手ぶらで買い物ができたり、住民票の申請もWalletでできるようにしたいと思っています。「早くて安くて安全な」社会というのが僕たちの目指す世界ですから。

吹田:そうした世界になると、私たちはもっとやりたいことに集中できますよね?

加納氏:僕の夢は「金曜日を休みにすること」です。さまざまな技術の進歩によって働き方も変わるでしょうし、みんなの金曜日を休みにしてあげたい。そのためにも、僕はどんどんブロックチェーン技術を推進していきたいと思っています。

編集部の帰り道

ブロックチェーン技術に裏付けされた仮想通貨は、今でこそ、投機の要素が大きいが、徐々に安定し、決済手段として浸透していくように思える(あと2、3年はかかるだろうという予想だったが)。今後、無理のない範囲で、ポートフォリオにビットコインを入れて長期的な変化を追っていくことは、資産形成のみでなく、さまざまな気づきを得るきっかけになるだろう。また、ブロックチェーンの浸透で、社会や働き方も大きく変わることに対して、仕事人も頭を柔軟にしていくことが必要だと感じた。

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