第3回2011年よりビットコインを活用。中央集権ではないつながりを習慣化している藤本真衣氏(株式会社グラコネ代表取締役:KIZUNA founder )

掲載:2017年7月25日

仮想通貨の元祖・ビットコインに魅了されて以来、世界各国のビットコインユーザーと積極的に触れ合っている藤本真衣さん(株式会社グラコネ代表取締役)。
”ミスビットコイン”の相性で親しまれながら活動する藤本氏に、ビットコインの意義や上手な付き合い方・注意点についてお伺いします。 吹田 朝子・保険ジャーナル編集部)

《ビットコインとは》
インターネット上で取引や発行が行われる仮想通貨。金に例えて「デジタルゴールド」とも言われ、その通貨の発行は「マイニング(採掘)」と呼ばれる。政府や中央銀行などの管理下にある法定通貨に対して、ビットコインは中央機関を介さないのが特徴。 ビットコインを支える技術「ブロックチェーン」は、P2Pネットワーク(サーバに情報を集中させるのではなく、分散型で個々の端末(Peer)がお互いに信頼しあうことで成立する)という技術や暗号技術が駆使されているため、迅速かつ世界中に低い手数料で送金などを行うことができ、かつ、取引記録は改ざんできず、個人情報も暗号で守られるという利点があげられている。
対応してくれた人
株式会社グラコネ
代表取締役

藤本真衣氏

5年半前に出会い、付き合い続けているビットコインの魅力とは?

吹田:最近よく耳にするようになったビットコインですが、ギャンブルや投機の一手段として捉えている方もいるように思います。藤本さんにとってはどのようなものでしょうか?

藤本氏:私は「人類に与えられた選択肢」だと思っています。ナカモトサトシによって、中央集権ではない通貨が登場し、今でもみんなの意見でビットコインのスケーラビリティ(ブロックチェーンの1ブロック分に書き込めるデータサイズ量が限界まで迫っている問題)をどう解決するのか、何通りかのパターンで議論が進んでいます。まさに人類が選択しながら前進できる象徴のように思います。

吹田:中央集権でない仕組みというのが、藤本さんを惹きつけているのですね。いつ頃からビットコインと付き合っているのでしょうか?

藤本氏:ビットコインとの出会いは2011年の12月15日です。当時、Skype英会話の講師(ハリウッドでも活躍されていた元女優)に憧れ、どうしても会いたくて、ただ彼女とディナーをするために関西から新幹線で上京したのですが、その席にたまたま居合わせたのが、”ビットコインジーザス”とも言われるロジャー・ヴィア氏でした。彼からビットコインのことを聞き、「銀行を介さなくても少額の送金が直接できる」ことなどを知って。その頃、世界の子供たちに向けて送金をしていた私にとっては画期的でした。

ビットコインと上手に付き合うための3つのポイントとは?

吹田:なんと5年半も前からだったのですね。そんな藤本さんが、今までビットコインを使われてきて、良かったと思うシーンと、注意しなきゃと思ったシーンを具体的に教えてください。

P6270006h藤本氏:良かったと思う面は、海外送金がすぐにでき、手数料が安いことですね。それまでは送金に5日前後かかっていたのが10分程度で届きますし、たとえば10万円を送金しようとするときの手数料は、銀行経由だと5,000円前後かかっていたのが数十円から数百円で済むようになりました。これは大きなメリットです。それだけ、海外の子供たちに届くお金が減らずに済むので。

一方、注意点は、ビットコインを持つ上での管理面ですね。私自身、マウントゴックスの破たんの際、自分のWalletに移していたので被害は免れました。また、そういう事態でなくても、パスワードや秘密鍵を忘れてしまって、無くしちゃった、復活できないと相談を受けることも少なくありません。

ですから、次の4つは、特に繰り返しお伝えしています。

  1. 取引所に置きっぱなしにしない
  2. 取引所でも二段階認証は必ず行う
  3. 自分のWalletに移して管理をする。その際、復元フレーズは絶対に手書きで保存し、忘れないように保管する
  4. 詐欺まがいの通貨も多く出回っているので裏取りを行い確認・注意する

中央の管理に任せない分、保管場所の使い分けやパスワード管理は自身でしっかりと行う必要があります。もちろん売買をする際も同じ。桁数の打ち間違いの防止など、何事も責任をもって付き合っていくことが大事です。

ビットコインを通じて、子共たちの自立と信用情報の透明化による夢の実現へ

吹田:藤本さんは、ビットコインを通じて、どんな世界の実現を目指していますか?

藤本氏:ビットコイン、仮想通貨のメリットを生かすべき所で生かせる世の中にしたいです。既に世界中の子供たちに1円でも多く寄付を届ける「ビットコイン寄付プラットフォームKIZUNA」を運営してますが、これは仮想通貨のメリットである”手数料を極力抑え一円でも多く届ける” ”銀行など介さず直接送れる”など、ビットコインだからこそできる仕組みを生かしています。世界中のビットコインで寄付を受け取りたい団体が、寄付を呼びかけられるプラットフォームです。

吹田:お金の動きが透明になることできちんと使われますね。

藤本氏:はい。そして将来的には、このような寄付のお陰で教育を受けて、しっかり成長した子どもたちが、寄付だけで終わることなく事業を展開して本当の意味で自立できる世の中になればいいなと思っています。最近よくICO(仮想通貨を発行することによって企業が資金調達を行う方法)という言葉を聞かれると思いますが、これにより、誰もが対等にチャレンジできる世の中に一歩近づいたと思っています。現時点でのKIZUNAのシステムではまだ提供できていませんが、もし、ブロックチェーンの”改ざん不可能”な技術を用いて、寄付を受けた人のレピテーションを集めることができたら、寄付から事業を展開、ICOでの資金調達の流れもうまく流れると思うんです。

吹田:寄付が意味のある使い方をされ、子どもたちの教育や信用情報を高め、さらに彼らができる資金調達につながる、という視野までお持ちなのですね。

藤本氏:新規株式公開(IPO)はもう古いとさえ言われていますし、ICOは、お金が世界中から集まるスピードや額などが、クラウドファンディングの比ではありません。現在は詐欺まがいのICOも多くありますが、今後はかなり大きな可能性があると思っています。

吹田:ブロックチェーン技術により、早く、低コストで資金調達ができ、改ざんもできないので信頼性が増すわけですね。その他、ビットコイン・ブロックチェーンを学ぶためのセミナーも開催していますよね。

藤本氏:はい。異分野のスペシャリストたち3名とともに「ビットコイン・ブロックチェーンスクール」というコミュニティを作っています。セミナーや勉強会は5年ほど前から開催していたのですが、ここ2年間は世間のニーズが非常に高まってきていることを感じます。

ビットコインなしに将来の生活設計は考えられない

吹田:藤本さんご自身、今後の人生設計を見据えて、ビットコイン(その他の仮想通貨)と、現金、預貯金、その他の投資は、どのように使い分けていますか?

藤本氏:ざっくりと、自分の資産の半分をビットコインで持っています。その他の金融商品での投資はしていません。残りは日本円ですね。

吹田:なるほど。先ほどの「寄付のプラットフォーム」を立ち上げてビットコインで送金するなど、ライフワークになっていますものね。

藤本氏:今後、IoT(モノのインターネット)の進展を考えると、やっぱり仮想通貨から目が離せません。デバイス数は2020年には500億、2025年には1兆にもなると言われ、その約1兆のうち人間が使うのはたったの3%ほどで、残りの97%はモノ同士になるという資料さえもあります。

そうしたIoTには、ブロックチェーン技術に支えられた仮想通貨によるマイクロペイメント(少額決済)が不可欠でしょう。今現在、多くの仮想通貨がビットコインを経由して売買されているので、私はビットコインをベースにしています。

吹田:97%がモノによる通信というのは、衝撃的な情報です。ビットコインを長期的な視点で、世の中の変化とともに見ることができれば、上手に付き合っていけそうですね。

他責にはしない、自分で複数の情報をとって、公平にみんながつながるイメージを

吹田:最後に、ビットコインやブロックチェーンについて、藤本さんが伝えたいメッセージをお願いします。

P6270044h藤本氏:ビットコインやブロックチェーンのことを知ると、世界が変わっていくのを間近で感じられるので、まさに映画よりも楽しい体験ができると思います。

吹田: ブロックチェーン技術など、日本はまだ情報が少ないように思いますが……。

藤本氏:英語の情報が多いことも要因と思いますが、ビットコインの今後の方針に対して「この人が言うなら100%正解」と他人の発言に依存するのでは、せっかく自分で考えられるチャンスがあるのに、他責で終わってしまいます。そうではなくて、自分で情報を探し、一か所の情報だけではなく、複数の情報を取って、自分で整理することが大事です。

たとえば、今回のビットコイン分岐問題で話題になっているBITMAIN社のJihan氏についても、ビットコインが値下がりして、マイニングが厳しい状況のときにでも耐え抜いてマイニングをし続けた。彼がビットコインの成長に貢献したことは誰にも変えられない事実な訳で、彼の悪い噂だけを聞いて悪者と決めるのではなくて、どういう経緯で今の判断に至ったのかというバックグラウンドもしっかり知った上で判断すべきだと感じました。

Bitmain Jihan 訪問インタビュー(1/3)世界最大級のビットコインマイニング工場について

吹田: 誰かの情報に頼るというのは、まさに中央に向いてしまい、中央集権的な関わり方になってしまいますよね。

藤本氏:ビットコインの分岐(ハードフォーク・ソフトフォーク。前述のスケーラビリティの問題から分裂の可能性もある)についても、様々な立場の人が互いに意見を戦わせています。技術的な部分の理解はとても難しいのでもちろん完璧に理解できるわけではありませんが、そのプロセスに自分も参加できて”お金ってなんだっけ?”や”価値ってなんだっけ?”と、改めて考えられるのが楽しいというか……。”自分で考える”という気付きを与えてくれました。きっとこれが本来あるべき姿なんですよね。まさに公平で透明な民主主義の世界ですよね。

吹田:私たちの生活もその視点をベースにすると、上下関係ではなく、公平に皆がつながっていきますね。

編集部の帰り道

人と人とのつながりを大切にしている藤本氏ならではのビットコインの捉え方は、これからの若者や次世代に共感を呼びやすいという印象を受けた。縁があれば世界中へ飛び回り、まさに体当たりでビットコインやブロックチェーンと付き合っている姿は、非常にさわやかだ。経済成長を経て貯蓄志向で育った日本人にとっては、ビットコインや仮想通貨をすぐには受け入れにくいかもしれない。しかし、上手に仮想通貨を取り入れて、人生を謳歌している姿は、とても貴重なロールモデルになる存在だと思った。

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