団体保険・財形保険

保険は個人で契約するほか、勤務先や組合を通して契約する方法もあります。複数の人が同じ保障期間の保険にまとめて加入できるため、これを団体保険またはグループ保険と呼びます。

目次

団体で加入する生命保険

団体保険で加入できる生命保険には以下の種類があります。

団体定期保険

定期型の死亡保険金です。保険期間は1年。退職時まで更新できるのが通常ですが、年齢が高くなるにつれ保険料も高くなります。満期保険金はありません。

拠出型企業年金

いわゆる企業年金です。在職中に保険料を払込み、60歳以降の所定の時期から年金として給付されます。満期までに死亡した場合は一時金などが遺族に支払われます。

医療保障保険

個人で加入する医療保険と同じです。病気や怪我で入院したり、手術を受けたりすると給付金を受け取れます。死亡保障も付いていますが額は大きくありません。

団体保険のメリット・デメリット

団体保険の種類や特性がわかったところで、利用することで生じるメリット・デメリットについても考えてみましょう。まずはメリットから挙げていきます。

メリット

■保険料が安い

団体保険は保険料がお得なことで知られています。企業や団体の規模・年齢構成などにより差はありますが、個人で入るより50%ほど安くなることもあります。

■1年ごとに見直しができる

団体保険は1年更新という短い保障期間ではありますが、裏を返せば毎年保障が見直せ、増額や減額を気軽に行えるというメリットがあります。

■保険料の払い漏れがない

給与天引きで保険料を支払う(積み立てる)ため、確実に引落しができ、保険が途中で失効する心配がありません。

一方、デメリットとしては以下の点が挙げられます。

デメリット

■会社を辞めると解約されてしまう

在職中の会社員を対象にした保険なので、なんらかの理由で会社を離れると保険の継続ができなくなります(定年退職の場合や加入年数によっては継続できるケースもあります)。グループ会社へ転籍となり、そこに団体保険がない場合も継続ができません。保険に加入したければ個人窓口の保険に入り直すしかありませんが、シニア世代の人は保険料が高くなるうえ。健康状態によっては加入すらできない恐れがあります。

■構成人員次第では保険料が上がる

そもそも一定数の従業員がいないと成り立たない保険のため、加入者の数や加入率によって保険料が変わることがあります。さらに、年齢にかかわらず一律で保険料が決まっている場合、平均年齢の高い会社だと若い世代にとっては割高になります。

財形制度で利用できる生命保険

会社員は、計画的かつ有利に貯蓄できるよう「財形制度」という制度を利用できます。1971年(昭和46年)に制定された「勤労者財産形成促進法(財形法)」に基づいて作られたもので、国や事業主の支援のもと税制上の優遇措置を受けられます。

財形制度は、雇い主が給料の天引きを行いそのぶんを金融機関に積み立てる「財形貯蓄」と、財形貯蓄を行っている社員に対してマイホームのための資金を融資する「財形融資」があり、これらを利用して加入できる生命保険を財形保険と呼びます。

以下、財形保険の種類を紹介します。

財形年金積立保険

60歳以降の所定の時期から年金を受取るために積立するもので、同じく財形保険の一種である「財形住宅貯蓄積立保険」と合わせて550万円(ただし生命保険の場合は払込保険料累計385万円)までは利子などが非課税になります。受け取る年金にも税金はかかりませんが、年金以外の目的で引き出すと解約扱いになり、さらに一時所得がかかります。

財形住宅貯蓄積立保険

マイホーム購入や増改築にために保険料を積立するもので、その目的で引き出す場合に限り、財形年金積立保険と合わせて払込保険料累計550万円までは利子などが非課税になります。目的外で引き出すと解約扱いとなり、税金がかかってしまいます。

財形貯蓄積立保険

給与から天引きして積立するもので、先に紹介した2つと違い目的は定められていません。中途引出しも自由です。ただし、利子などの浮いたお金には20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の源泉分離課税(そのぶんの所得を単独で課税すること)が行われます。

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