「飛行機が遅れたせいで旅程が変更になった……」。大なり小なり、こんな経験をしたことのある人は少なくないでしょう。だからこそ、「航空機遅延費用」は付けておきたいものです(※)。
しかし、飛行機が予定どおり運航したかの「定時運航率」は各社によって違うため、その実績から航空会社を選べば、遅延費用系の特約のお世話になる確率は減りそうです(つまり保険料を減らせる)。
そこで、国土交通省が発表している「特定本邦航空運送事業者に関する航空輸送サービスに係る情報(平成27年度)」から、「定時運航率」と「欠航率」を調べ、まとめてみました。
(※)6時間以上の出発遅延、欠航、運休があった場合に補償されるのが一般的。遅延=即座に補償が受けられるわけではないので、誤解なきよう。
最も遅れにくい航空会社はスターフライヤー!
定時運航率とは、出発予定時刻以降、15分以内に出発した便数の割合をいいます。平成27年度の平均は91.13%で、調査対象11社のランキングは下記のようになりました。
- スターフライヤー:93.50%
- 日本航空:93.48%
- 全日本空輸:92.05%
- 春秋航空日本:91.75%
- ソラシドエア:90.49%
- エアドゥ:89.80%
- スカイマーク:89.03%
- 日本トランスオーシャン航空:88.79%
- バニラ・エア:85.12%
- ピーチ:80.74%
- ジェットスター・ジャパン:79.55%
例年、定時運航率は日本航空と全日本空輸がトップでしたが(上半期では日本航空が1位)、平成27年度の集計ではスターフライヤーが首位に。しかしご覧のとおり、上位3社はかなりの僅差です。
ワースト3社はいずれもLCCという結果になりました。LCCの場合、そもそもの機体数が少ないことから、何らかのトラブルが起きると替えが効かない状態に陥るため(いわゆる機材繰りが原因)、ある程度は仕方ないかもしれません。
見方を変えれば、それでも約8割は正常に運航されていますし、これだけを見て遅れやすいというレッテルを貼るのは早計だという声もあるでしょう。
ちなみに、ジェイアイ傷害火災保険がFlightStats社の資料などを参考にまとめた世界の大手航空会社ランキングでは、1位は日本航空(89.44%)、2位イベリア航空(88.9%)、3位に全日本空輸(88.88%)という結果が出ています。
欠航になりにくいのはLCC?
今度は欠航率を見てみましょう。同じ資料から抜粋・編集します。
- スカイマーク:0.73%
- ピーチ:0.79%
- バニラ・エア:0.99%
- 日本航空:1.17%
- 全日本空輸:1.20%
- ジェットスター・ジャパン:1.26%
- ソラシドエア:1.28%
- 日本トランスオーシャン航空:1.50%
- エアドゥ:1.52%
- スターフライヤー:1.60%
- 春秋航空日本:1.86%
定時運航率では下位にいたスカイマークとピーチ、バニラエアがトップ3にランクイン。全体平均1.19%を見事に下回りました。この結果から、LCCは遅延は多いが欠航は少ないという意外な事実が判明しました。
とはいえ、実は欠航は機材費や人件費が不足しがちな地方空港で起きやすく、そもそもローカル路線が少ないLCCは有利、という見方もできます。また、ここでの割合には、前もってフライトが中止になる(=直前ではない)「運休」は含まれていないので、純粋に飛行機が飛ばなくなった数字を調べるとまた違った結果が出るかもしれません。
全体を通してひとこと
発表された数値から序列を付けることは可能ですが、見てきたとおり、劇的に差があるとはいえず、遅延率や欠航率から航空会社を選ぶには決め手にかけます。
参考にした資料には次のような注意書きもあることですし、あくまで統計として捉えてください。
対象となっている路線が各航空会社によって異なっており、路線毎・季節毎に欠航・遅延の特性が異なることから、単純な比較には適さない。(夏期は沖縄路線等で台風の影響を受けやすく、冬季は北国等で積雪の影響を受けやすいなど。