このページでは海外に在住しているブロガーの方から、現地の医療情報と日本人が渡航する際に知っておきたい情報などを寄稿していただきました。トラブル時に役立つ連絡先や薬局で買える薬など、在住者ならではの情報が満載です。
話を聞いた人
フィンランド在住ブロガー
CaptainJack さん
JACK HOUSE
プロフィール:フィンランドの社会保障や教育システムに魅力を感じ、2016年10月に妻の故郷であるフィンランドに移住。移住者の立場から、フィンランドのリアルな情報を発信中。
病気(疾病)・ケガ別の医療費相場
スイスとスカンジナビア諸国を含むEU国籍以外で、フィンランドの居住許可を持たない外国人は、緊急の場合のみ病院で治療を受けることができます。その場合、病院は患者に治療にかかった全ての費用を直接請求します。
フィンランドの医療費
以下、全ての金額は健康保険適用前の=外国人が支払う価格です。1ユーロ=130円、1ドル=110円として円換算しました。外来診察料は最高41.70ユーロ(約5,400円)。上限が定められていると安心ですね。
よくある病気・ケガ | 医療費(外科診療・手術) |
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縫合 | 診察料のみで縫合自体は無料ですが、ガーゼなどの実費は支払う必要があります |
虫垂炎(盲腸) | 約3,500〜5,323ユーロ(約45〜69万円) |
骨折 | 腰部骨折の場合、平均治療日数は41日、平均治療費は18,581ユーロ(約240万円)フィンランドの国民健康保険を利用する場合、最高自己負担額は691ユーロ(約9万円) 長期入院を必要としない腰部骨折の場合、平均治療費は1,705ユーロ(約22万円) |
出産 | 出産費用は病室、食事、薬、サービスなどを含めおよそ4,300ユーロ 帝王切開でない通常の出産の場合 1,881ユーロ 難産の場合 2,414ユーロ(約31万円) 帝王切開は 3,082〜4,342ユーロ(約39〜56万円) 病院の1日の費用は最高49.50ユーロ(約6,500円) 国民健康保険を利用できるフィンランド人の場合、自己負担額は出産費用の10%、帝王切開費用の7〜8%のみ |
手術の治療費 | 怪我による手の手術:約4,050ユーロ(約52万円) 手、または手首の手術:2,451ユーロ(約31万円) 足の手術:2,090ユーロ〜(約27万円) 足の骨折:4,299ユーロ〜(約56万円) ギプス:140〜250ユーロ(約18,000〜32,000円) |
心筋梗塞 | 心筋梗塞の治療費はおよそ18,200ユーロ(約23,000円) 健康保険適用のフィンランド人の場合、自己負担額は1,100ユーロ程度(約14,000円)(病室、薬、輸送費などを含む) 診察代:1回あたり最高20.90ユーロ(約2,600円) 緊急治療室代:1回あたり最高28.70ユーロ(約3,800円) 診察キャンセル料:51.40ユーロ(約6,600円。※おそらく当日の場合) 外来診察代:1回あたり最高41.70ユーロ(約5,300円) 日帰りの外科手術:最高136.80ユーロ(約18,000円) 1日治療室利用料:最高49.50ユーロ(約6,500円) 昼間・夜間のみの病室利用料:最高22.80ユーロ(約3,200円) |
日本と比べてフィンランドの医療費はどう感じましたか?
まず、縫合自体は無料!これには驚きました。妻に確認してみると、確かにその通りだそうです。少し医療費が高いなと感じたのは盲腸ですね。盲腸の手術は、結構高い気がしますね…。フィンランドの健康保険を使えない場合、盲腸一つでかなりの金額を支払う必要があります。
骨折については、入院が長期にわたるか短期で済むかで、料金に劇的な違いがあります。それにしても、元値が240万円に対し、健康保険適用のフィンランド人は9万円で済みます。さすが社会福祉大国といったところですね。
フィンランドで出産される旅行者はいらっしゃらないと思いますが(笑)、ご参考までに出産についても紹介してみました。フィンランドでは、赤ちゃんが生まれると政府が1年目の育児に必要なものが全て入ったベビーボックスをプレゼントしてくれ、フィンランド人のお母さんたちには大好評です。
心筋梗塞の医療費を調べてみると、相変わらずフィンランドの健康保険の威力には驚くばかりですが、もし外国人が心筋梗塞になり入院してしまった場合、およそ230万円の治療費が必要となります。フィンランドは非常に寒く、慣れていない日本人は体調に変化を来たしやすい可能性がありますから、特に高齢者の場合は最悪の事態に備え保険をかけていくと安心だと思います。スリやひったくりなどの犯罪と違い、気をつけてどうにかなるものではありませんからね・・。
日本人がフィンランドに行くときに知っておきたいこと
日本人がフィンランドに旅行に行く際に気を付けておきたいポイントはありますか?
まず何よりも、日本との気温差です。というか、気をつけることはほぼこれだけだと思います。(笑)
当然ですが、フィンランドは寒いです。「当たり前でしょ!」と思われた方は多いと思います。でも、違うんです。実は、フィンランドって夏でも結構寒いんですよ!
例えば今これを書いているのは8月8日ですが、僕が今住んでいる南西部の港町ポリでは今週の最高気温は22度、最低気温は12度です。首都ヘルシンキでもほぼ同じ!オーロラが見られる北の北極圏になると、最高気温18度 最低気温7度にまで下がります。
なので、夏でも日本感覚でTシャツだけとかだと寒い可能性がありますから、長袖の服を必ず1枚は持っていくようにしましょう。フィンランドは冬でも建物の中はとても暖かいので、気温の下がる夜間に出歩かないなら不要かもしれませんが、一応念のために!もしくは、お土産を兼ねて現地で買ってもいいかもしれませんね♫
なお、もし冬にフィンランドに行かれる場合ですが、日本で売ってるそのへんのコートではまず無理!日本では『そのコート、意味ある?』みたいなオシャレ重視の寒そうなコートを着ている人が多いですが、これは危険です。フィンランドに来るなら絶対に防寒性に優れたコートを着てきてください。最低気温は-20度は当たり前、-30度や-40度になることもあるので、暖かいコートを着てこないと本当に厳しいです!
そして、春・秋に旅行する場合。2016年10月にフィンランドに移住した僕の実体験なのですが、まさかと思われるかもしれませんけども、10月中頃~5月中頃までずっと寒かったです。1年12月のうち8ヶ月は冬というイメージ。5月上旬ですら雪が降っていましたから、その寒さは相当なものです。
また、フィンランド人の妻との婚姻届を提出するため2015年6月15日にフィンランドに渡航し1週間滞在したんですが、冷たい風が吹いてめちゃくちゃ寒い日がありました。ちなみに6月はフィンランド語でkesäkuu(ケサクー)。意味は『夏の月』です。ならもうちょっと暖かくしてほしいなと思いました。
気温の話に終止しましたが、フィンランドは日本と同じ平和で安全な先進国ですので、旅行の際に気をつけておくべきことはあんまりありません。安全に楽しく旅行できる国ですよ~!
フィンランドで気を付けたい病気やケガについて教えてください
病気と怪我についても触れておきたいのですが、正直に言って、日本と同レベルに安全なフィンランドでは特に気をつけることはないというのが僕の見解です。
アフリカ諸国のように入国するのに黄熱病の予防接種が必須とか、マラリアの薬がそのへんの薬局で売ってるほど蔓延しているなんてことはありませんし、東南アジアやインドのように運転マナーが悪く交通事故だらけということも全くありません。
むしろフィンランドは歩行者優先の意識が物凄くて、横断歩道で待っていると、走ってきた車が『え、そこ止まる?』と思ってしまうほど歩行者に道を譲ってくれます(笑)。
なのですが、一つだけ落とし穴があります。フィンランドの病院・歯医者はどこも人手不足で、歯医者は現地のフィンランド人でも予約してから数ヶ月待ちは当たり前。緊急の場合はすぐに診てもらえますが、私立病院なので値段は高くなります。
もちろん、外国人旅行者は保険も効きませんし、言葉もなかなか通じませんからさらに大変。フィンランドは病気の心配も怪我の心配もほとんどありませんが、トラブルで病院に行かないといけない状態になってしまったらそれだけでもう一苦労です。海外旅行保険はそんな状況を全てカバーしてくれるので、なるべく入っておくべきですね。
フィンランドに危険地域はありますか?
フィンランドの危険地帯についてですが・・・・・。考えてみましたが、ないですね!(笑) フィンランド人の妻ユリアも、「フィンランドに危ない場所はないと思う」って言ってます。
ネットを見るとヘルシンキのカンッピ周辺が危険とか書いてありますけど、窃盗などの軽犯罪がちょっと多いくらいで危険地域として書かれてしまうことが、逆にフィンランドの安全さを象徴していると思います。
ちなみに、カンッピとはヘルシンキ中心部にある総合商業施設で、地下にフィンランドの各地とヘルシンキとを結ぶバスターミナルがある建物のこと。僕もユリアも何回も通ったことがありますが、自分自身の体感としても全く危なくないですね。
とはいえ、もちろんスリや置き引きは世界中どこの国でもあるので、安全なフィンランドとはいえ身の回りの物の管理には常に気をつけておきましょう!
フィンランドで便利に使えるクレジットカードはありますか?
よく欧州はキャッシュレス社会と言われますが、フィンランドももちろんキャッシュレスのカード社会!VISAかマスターのどちらかであれば、どこでも使えて何の不自由もなく旅行できるはず。すでにご存知の方も多いと思いますが、JCBカードは日本以外では使えないところが多く、フィンランドでもあんまり使い勝手は良くないです。
ついでにちょっとしたトリビアですが、フィンランドはクレジットカードの発行条件がだいぶ厳しくて、誰でも気軽に持てるものではないみたい。このあたりの事情はちょっと日本と違いますね。その代わり、フィンランドでは銀行口座から直接引き落としで払えるデビットカードが主流です。日本でいう銀行のキャッシュカードくらい日常生活に根ざしている印象です。
なお、フィンランドに限らず海外旅行に行くときは、クレジットカード以外にも国際キャッシュカードを最低1枚持って行くと安心です。カードの裏にPLUSって書いてあったりするやつですね。現地のATMに入れると円預金から現地通貨になって出てくるので、わざわざ空港で両替する手間が省けて便利です。
フィンランドで困った時に相談できるサポートダイヤルを教えてください
海外旅行で困ることと言えば、『パスポートの紛失』『スリ・盗難被害』『病気・怪我』の3大トラブルだと思います。フィンランドに滞在中どうしても困ったことがあったら、まず在ヘルシンキ日本大使館に相談しましょう!
とはいえ、本当はこういう時に一番頼りになるのは日本で契約して行った海外旅行保険会社です。トラブルに慣れてない人、英語もフィンランド語もわからない人は特に保険をかけて行ったほうがいいですね。
フィンランド大使館
住所:Unioninkatu 20-22, 00130 Helsinki (Havis Business Centerビル5階)
E-mail: inquiry@hk.mofa.go.jp
電話番号: +358-9-686 0200
//www.fi.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
また、観光についての相談でしたら、以下のフィンランド政府観光局を利用してみてもいいと思います。(問い合わせは英語)
フィンランド政府観光局
住所:P.O. Box 358, 00181 Helsinki, Porkkalankatu 1, c/o Finpro
E-mail: visitfinland.info@visitfinland.com
電話番号: +358 29 46 951
//www.visitfinland.com/ja/
フィンランドに移住して思ったことやフィンランドの魅力とは?
僕はフィンランドに住んでいますが、もしみなさんが旅行者としてフィンランドを訪れた場合に感じるであろう魅力や現地の事情をまとめてみます!
まずはいいところから!
治安がいい
まず第一に、フィンランドは治安の良さがピカイチです!ヨーロッパもパリやアムステルダムなど女性の夜の一人歩きはちょっと怖い町も多いですが、フィンランドは日本と同じくらい治安が良く、地方都市でもヘルシンキでも夜に一人で歩いて怖いことはほとんどありません!
物価が安い
意外に思えますが、北欧=物価が高いというイメージに反して、フィンランドは結構物価が安いです!フィンランドに限らずヨーロッパは外食が高いので、外で食事をすると高く感じると思いますが、朝昼くらいはスーパーで買っておいたものを食べれば食費は劇的に抑えられます!日本に比べて野菜、果物、お肉が半額くらいな気がします。
なお、レストランは高いですが、ピザとケバッブは例外的に安く、大きいピザでも1,000円しないくらいで食べられます。外食を安く済ませようと思った時に重宝しますので、ぜひ覚えておいてくださいね!日本はピザが恐ろしく高いので、食費を抑えながらピザを安く食べられるのは、日本人としてはちょっと嬉しいです。(笑)
旅行費用の大部分を占める宿泊費についても、フィンランドは意外と安いです。ヘルシンキのゲストハウスに泊まった友人は1泊2,000円台だったと言っていましたし、そこそこ良いホテルでないとダメというこだわりがなければ、宿泊費もかなり節約できるはず。
もちろん、オーロラが見られるフィンランド北部の良いホテルは1泊5万円など良い値段のところもありますが、旅行の費用とスタイルによってかなり安く楽しむことが可能ということは覚えておいて損はないはずです!なお、僕がいつか行きたいと思っているフィンランド北部のオーロラ鑑賞スポットは、カクシラウッタネンという街です。ガラス張りのイグルーに宿泊し、ベッドで寝転がったままオーロラが見られるという夢のような体験ができます!
フィンランド人がかわいい、イケメン
北欧に属するフィンランドは、金髪で青い目の白人が多い夢の国。まぁ好みもあると思いますが、個人的には最高です!(笑)
以上が、旅行者の立場から見たフィンランドのいいところです。次はよくないところも見てみましょう!
寒い
はい、出ました!上でも散々言ってきましたが、『夏でも結構寒い』というのがこのフィンランドという国の特徴です。今これを書いているのは8月前半ですが、朝は布団がかかっていないと寒さで目覚めることもありますし、最低気温は12度とかになります。さらに真冬は-30度以上になることがあり、5月でも雪が降り、1年のうち8ヶ月が冬が続きます。
とは言え、フィンランドを世界でも有数のオーロラ鑑賞スポットたらしめているのは、その北極圏の寒冷な気候のおかげ。ベッドに寝転がりながらオーロラが見られるカクシラウッタネンのイグルーホテルも、気温が低く寒すぎるおかげで成り立ってるんですよね~。そう思えば一概に良くないとも言い切れないかもしれませんね!
旅行者の立場で見たフィンランドの良くないところは以上です!って、少な!でも、ホントに気温くらいしか思い浮かびません。『寒い』、ただそれだけです(笑)。
僕みたいにフィンランドに移住して住んでいると、おいしい日本食を食べられる店が少なかったり、歯医者や病院の予約が取りにくかったり、良い仕事を見つけるのが難しかったり、そもそもフィンランドに移住すること自体難易度が高いという問題も見えてきますが、旅行者として来る分には特に悪いところもなく、とてもいい国だと思います。
こんな感じですね!京都からフィンランドのポリに移住してちょうど10ヶ月が経ちましたが、フィンランド生活にはとても満足しています。フィンランドでお待ちしてますよ~!