がん保険は診断給付金(一時金)タイプが本当にベストなのか?

がん保険の給付金には、がん診断給付金、がん入院給付金、がん手術給付金、がん通院給付金などがあります。このうち、診断給付金こそが、がん保険の中心的なものだとするのが、最近の論調になっています。この点について、あらためて検討してみたいと思います。

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がん保険の中心は診断給付金であることが主流

現在、ほとんどのがん保険には診断給付金が用意されています。診断給付金は、医師からがんと診断された場合に、原則として入院の有無などの条件を問わず、一時金として受け取ることができます。

一方、他の給付金は、がん治療のために入院した場合に、入院日数に応じて給付金が受け取れる入院給付金を始めとして、なんらかの給付条件に応じて受け取ることができるというものです。

診断給付金のメリットは、最初に診断された時点で受け取ることができる点、入院日数などに関係なく一定の金額を受け取ることができる点があります。また、治療費以外の支出にも対応できる点も重要でしょう。

最近は「抗がん剤治療給付金」や「放射線治療給付金」といった、対象を絞った保障もありますが、せっかく保障があっても抗がん剤治療や放射線治療をしなければ受け取れません。それよりは、有無を言わさず、最初にまとまった一時金がもらえる診断給付金のほうが、保障内容としてもシンプルで理解しやすく、利用しやすいといえます。

治療の長期化にどう対応するか?

診断給付金の弱点を挙げるなら、定額給付であるために、もらった一時金が底をつくおそれがあるということです。

がん政策情報センターによる『がん患者意識調査』によると、半数近くの人が1年間に支払った費用が100万円以下と回答していますので、100万円程度の診断給付金を受け取っておけば大半のケースでは大丈夫そうに思えます。しかしながら、一方で13%近くは300万円を超えています。がんの治療方法によっては、多大な費用がかかることも考えられます。

特に、治療が長期化した場合、じわじわと月々の負担が重なってゆき、トータルとして高額の出費になります。治療がいつ終わるのか、めどが立たなければ、診断給付金として受け取った一時金がいつなくなるか、不安になることでしょう。

こういうときは、入院・通院給付金、抗がん剤治療給付金、放射線治療給付金といった、条件に当てはまる限り、日額または月額で給付され続けるタイプの保障があると安心です。

とはいえ、実際に治療の状況がどうなるか事前に予測ができない以上、絶対にどちらがいいといえないものです。日額・月額型の保障を重視する場合でも、最初に一時金を受け取れるメリットはありますから、診断給付金自体はあったほうがいいでしょう。その意味で、やはり、現在では、がん保険は診断給付金を中心に考え、保険料とのバランスを見ながらその他の保障を考えていくということになりそうです。

関連:診断給付金の給付回数・条件を比較

違った形のがん保険、実費型補償とは

まったく別の考え方として、主に損害保険会社が販売している、実費型補償のがん保険という選択があります。実費型補償とは、決まった額を給付するのではなく、実際にかかった費用を給付するというものです。一定の上限はありますが、ほとんど問題のない額になっています。

治療費はすべてカバーされるわけですから、「保障が足りなくなるかも」といった不安は一切なくなります。反面、「足りなくなることはないが、余分もない」ということに注意が必要です。

診断給付金は、受け取った額すべてを治療費で使い切らなかったとして、余った分はそのまま残ります。これを、治療のために仕事が制限されたせいで生じた収入減の補填に充てたり、なんなら生活費・レジャー費として使用してもいいのです。もちろん貯蓄に回すこともできます。

実費補償型ですと、そういったことはできず、特に、医療費の出費とは別に発生する雑費や、収入減への対策がまったくできないというデメリットがあります。実費補償型を選ぶ場合はそのあたりの対策を考えておく必要がありそうです。

また、これは実費補償型のデメリットというわけではないのですが、現実問題として、現在、実費補償型の保険商品はすべて定期タイプであり、5年や10年で更新する形になっています。更新時には保険料が変わり、補償内容が変わらなければ通常は値上がりします。継続して入っていると、トータルでは割高になりますので注意しましょう。

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