がん保険に限らず、保険に加入するときには健康状態の告知が必要です。がん保険加入時の告知は、他の保険と違いがあるのでしょうか? また、どんな告知が必要なのでしょうか。告知書の中身を見てみましょう。
なぜ保険加入に告知が必要なのか?
生命保険や医療保険、がん保険の告知は、加入者(契約者や被保険者)の健康状態に関係する告知が求められます。そもそも保険は「相互扶助の精神」といって、加入者同士がお互いを助け合うシステムになっています。つまりすべての加入者が保険料を出してこれを集めておき、加入者の中で保険金支払い事由が発生した場合、その者に保険金が支払われます。
そのため、保険料の拠出額や保険金・給付金の支払額を公平にするために、健康リスクの有無・状態を、告知を通じて確認することになっています。健康上のリスクがあると判断された場合、加入を拒絶されたり、条件付き(保険料の割増、保険金額・給付金額の減額、免責期間の設定等)で加入が承諾される場合があります。
実際の書類から見る「がん保険に必要な告知」とは
告知は、質疑応答告知という、保険会社から渡される告知書にある質問に正確に答えるという方法で行われます。この告知に虚偽が合った場合、告知義務違反として、給付金が支払われなくなったり、契約を解除されることがあります。なので、質問の内容をよく理解し、正確に答えることが重要です。 がん保険の場合、ごく簡単に言うと、
- 現在がんにかかっているか?
- または将来がんになる可能性が高い病気にかかっているか?
- かかっている疑いがあるか?
という内容が主な質問です。がんに保障を絞っているので、医療保険と比較して、質問する項目が少なくなっています。 実際の質問項目を見てみましょう。ある保険会社の質問内容は以下のようになっています。
- 今までがん(悪性新生物)に罹った事があるか
- 現在、がんに罹っているか
- 最近3ヶ月以内に入院
- 手術を勧められた事があるか、または現在入院中か
※該当する病気の入院・手術が終わっている場合は除く- 現在、一定の病気またはその疑いで、治療中・検査中・経過観察中か・最近3ヶ月以内に、一定の病気またはその疑いで、治療・検査を勧められた事があるか
※一定の病気等:脳腫瘍・膀胱腫瘍・GIST・カルチノイド・骨髄異形成症候群・肝硬変・肝炎・肝機能障害・肺気腫・気管支拡張症・塵肺・腎不全・腎炎・尿毒症…など- 過去2年以内に、健康診断・人間ドックを受けて、一定の検査で、要再検査、要精密検査、要治療などの指摘を受けたか 但し、再検査等で異常が無かった場合は除く
※一定の検査:がん(悪性新生物)・上皮内新生物・白板症・ポリープ・異常細胞・B型肝炎・C型肝炎・肺検査異常・胃腸検査異常・マンモグラフィー検査異常・腫瘍・しこり・結節・腫瘤・貧血・吐血・黄疸・不正出血…など- 過去5年間に一定の病気またはその疑いで、通院(診察、治療、検査、投薬)した事があるか
※一定の病気等:肝硬変症・慢性肝炎・肝機能障害・非アルコール性脂肪肝炎・食道製脈瘤・慢性気管支炎・肺気腫・慢性閉塞性呼吸器疾患・硅肺・塵肺・肺腺維症・慢性腎機能傷害・慢性腎不全……など- 現在、身体の機能に障害があるか
保険会社によって、質問の内容が細かい項目が異なりますが、おおむね同じような内容です。
うっかり間違いに要注意。気をつけたい告知のポイント
正確に回答しないと告知義務違反になるおそれがありますが、質問の意味や答え方がわからないケースもあると思います。例えば、「7日以上に渡る診断・治療・投薬」の7日とはいつからいつまでとか、「完治・治療中・経過観察中」の違いなどです。このあたりを少し、解説しましょう。
「7日」は、初診から終診までの期間をさします。つまり病気で初めて診療所で診療を受けた日から、最後に診断を受けて「完治したので、明日から来なくていいですよ」と医師から告げられて治療が終了した日と解釈できます。ここで注意したいのは、自分勝手に終診した場合、告知上は治療中と判断される可能性があることです。ちゃんと完治と医師から告げられるまで通院しましょう。
ところで「完治」とは何でしょう。完治は治癒という場合もありますが、病気・ケガが(完全に)治ることをいいます。「治療中 は終診していない状態と解釈していいでしょう。「経過観察中」とは、身体に異常が見つかったが原因が判明しない場合、「少し様子を見ましょう」と医師から告げられている状態です。経過観察が終了するのは、「もう心配ない」と医師から告げられたとき、または原因が判明したときです。これも自分勝手に終わらすことができません。
他に、意外と見落としがちな点として、歯周病やインプラント治療は、告知の対象になりますので注意しましょう。反対に、医療保険等では加入が難しい精神疾患(うつなど)は、がん保険では加療中の場合でも加入することができます。
告知について、どのように記入したらいいかわからない場合や、健康診断等の検査の内容がよくわからない場合は、検査結果表などの書類を告知書と一緒に提出して、保険会社に判断してもらっても構いません。また、かかりつけの医師に相談したり、保険募集人に記入方法を質問するなどもひとつの方法です。