がんは、「悪性腫瘍」とも言われます。多くの場合、細胞分裂時の複製ミスなどによってがん細胞ができるので、細胞分裂が起こっているところであれば体中のどの部位であってもがんになるリスクがあります。脳もまた例外ではありません。
ここでは、脳にできる腫瘍、「脳腫瘍」とがん保険について整理しました。
脳腫瘍とはどういう病気か
脳にできる腫瘍は、脳や脳の周囲の組織から発生した「原発性脳腫瘍」と、他の臓器のがんが脳に転移した「転移性脳腫瘍」に分けられます。原発性脳腫瘍はさらに、良性か悪性か、どんな組織から発生したか、などでいくつもの種類に分けられます。原発性脳腫瘍の半数以上は良性であり、手術で取ってしまえば治るものです。最近では、放射線治療のみで治療する方法もあります。
悪性の原発性脳腫瘍のなかでもっとも多いのが神経膠腫(グリオーマ)で、悪性度を4段階に分類し、最も悪性のグレード4は、神経膠芽腫(しんけいこうがしゅ)とも言われます。手術でできるだけ摘出し、そのあと放射線治療と化学療法を追加するのが一般的です。
転移性脳腫瘍は、かつては転移が見つかってから余命6ヵ月と宣告されることも珍しくなかったものですが、ガンマナイフやエックスナイフ、サイバーナイフといった進歩した放射線治療により、生存率が高くなってきています。
たとえば、ガンマナイフは、コバルト60という物質が放出するガンマ(γ)線を細いビームにして多方向から病巣に照射することでがんを治療するものです。ビームは約200本を一点に集中させてがんを叩きます。そのため、周辺の正常組織への影響を非常に低く抑えることができるようになっています。このように、脳腫瘍の治療は最新技術を用いた治療が多いので、今後新しい治療が出てきた場合に備えて先進医療特約をつけておくことで、治療を受けやすくなる可能性もあります。
脳腫瘍はがん保険で保障される?
脳腫瘍のうち、転移・浸潤していくものは悪性脳腫瘍と診断されます。がん保険では悪性脳腫瘍のみが保障の対象となっています。良性であっても手術をすることがありますが、がん保険の保障の対象にはなりません。
転移性脳腫瘍は、がんが転移してできるのですから、これはすべて悪性脳腫瘍です。したがって転移性脳腫瘍であればすべて保障されます。ただし、過去にすでにがんと診断されて診断給付金を受け取っており、その後、再発の形で脳腫瘍と診断された場合、保障内容によっては診断給付金が受け取れないことがあります
脳腫瘍に限った話ではありませんが、診断給付金は、まず初回の診断にしか給付されないものがあり、複数回給付されるものでも、前回給付からの一定の間隔が空いてからの診断に限るなどの条件があります。商品によって異なりますので、あらかじめ把握しておきましょう。