[熱心な営業に翻弄され、断わりきれずに契約してしまった……。そんなときでも、一定期間内であれば無条件で契約を解除することができます。これをクーリング・オフ制度といい、頭を冷やして(=Cooling Off)冷静に考えることから、このような名称が付けられました。
いつ・いかなる買い物にも利用できるわけではありませんが、保険契約では、保険業法309条でクーリング・オフが定められています。したがって、当然、自動車保険でも有効のはずですが、実態は保険会社によって多少の差があるようです。
自動車保険でクーリング・オフを利用する場合
法律上では、一部の場合を除き、8日以内に書面で申し出ることによって契約を撤回することができます。除外される「一部の場合」というなかに「保険期間が1年以下の契約」(保険業法309条1項4号)とあります。
自動車保険は3年契約など複数年数で契約することもできますが、多くの人は、1年間契約を結んでいるのではないでしょうか? その場合、残念ながら、保険業法におけるクーリング・オフはできません。
しかし、保険会社によっては、その会社独自でクーリング・オフ制度を設けているところもあります。
また、通信販売の保険は、保険業法ではクーリング・オフの対象外となっています(保険業法309条1項6号施行令45条3号)が、こちらも同じく、保険会社独自のクーリング・オフ制度を持つ会社があります。
たとえば、三井ダイレクトやソニー損保などは、会社独自でクーリング・オフ制度を設けています(どちらも通販型の保険会社でもあります)。一方、損保ジャパンやアクサダイレクトなどは、1年契約でのクーリング・オフは認めていません。
■1年契約でクーリング・オフ制度が利用できる保険会社の一例
- イーデザイン損保
- ソニー損保
- チューリッヒ
- 三井ダイレクト
- セゾン自動車
制度の有無については、保険を契約するときに受け取った重要事項の説明書や、保険会社の公式ホームページなどを見て確認してください。
クーリング・オフの進め方
クーリング・オフ制度を利用するにあたっては、次のことを理解して進めてください。
- 契約の日から「申込をした日」、もしくは、「クーリング・オフについて記載された書面を受け取った日」のどちらか遅い方が採用される
- 「8日以内に」とは、上記1のその日も含めて数える。郵便の消印の日が8日以内であれば、到着の日が遅れても問題なし
- 書面で送ること
3については、ハガキ・封書でも可能ですが、後日トラブルにならないよう、内容証明郵便や 特定記録郵便が望ましいです。やむなくハガキや封書で申し込む場合は、コピーを取ること、ポストに投函する様子を動画に残すこと等をおすすめします。
送付先は、保険の申込手続きをした代理店宛ではなく保険会社宛です。また、保険料をクレジットカード払いにしている場合は、クレジット会社にも送りましょう。
■ハガキでの記入例(裏面)
契約解除通知書 わたくし(氏名)は○年●月△日自宅にて下記の保険契約を申込しましたが、保険業法309条に1項の規定により解除します。 申込日 保険会社名 商品名 住所 氏名 ○年●月○日 |
すでに保険料を支払っている場合は「速やかに返還してください」と付け加えるといいかもしれません。
全体を通して
クーリング・オフは消費者に認められた例外的措置ですが、手間ですし、なによりあまり気分のいいものではありません。なるべく使うことにならないよう、保険はしっかり検討してから加入するよう心がけましょう。