専業主婦(夫)に医療保険は必要か?貯蓄額や家族にかかる負担から考える

限られた予算のなかで「やりくりして保障を買う」ということであれば、専業主婦(夫)の優先順位は低いと言えるのではないでしょうか。もちろん不必要ということではなく、あるに越したことはありません。「安心を買う」ということでは大いに役に立ちますし、もしものときには機能する保障です。

しかし優先順位で考えれば、まず一番は家計の担い手の医療保障をしっかり確保することです。職種にもよりますが、一家の大黒柱が病気やケガで入院することによって、「収入が減るかもしれないリスク」があるからです。

もちろん、専業主婦(夫)ならではのリスクもあります。主婦 (夫)が入院して家事ができなくなれば誰かが代わりにやらなければならないですし、外食代や交通費など、普段かからない余計な出費も発生するでしょう。家計には少なからず影響を及ぼします。

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リスクをカバーする方法は医療保険に限らない

しかし、そもそも、病気やケガで入院した場合の不時の出費リスクをカバーする方法が医療保険なのかどうかは、その人の考え方によって違ってきます。

保険に頼らず貯蓄で賄うという人もいるでしょう。また、保険に頼るとしても、

  • その不時の出費で貯蓄を減らしたくないのか、または貯蓄がないのか
  • 貯蓄では賄いきれない場合に絞って保険に頼るのか

によって、保険の加入の仕方は違ってきます。

現在の一般的な医療保険は、いろいろな特約があるにせよ、基本は入院することが前提で、入院日数が長くなればなるほどもらえる給付金も多くなります。入院時にかかる費用も入院日数が長くなればなるほど多くなります。入院日数が短縮化している傾向にある昨今、数日の入院のために、毎月いくら保険料を払うのかを冷静に考えてみる必要があるかもしれません。

どこにリスクがあるのかを考える

では、一般的に入院日数の平均はどの位なのか、さらにどんな病気にかかると入院日数が多くなる傾向にあるのでしょうか。

厚生労働省の患者調査(平成 26年度)によると、平均在院日数は全年齢で31.9日です。もう少し細かく見てみると、 35歳から 64歳では 24.4日、 65歳以上の高齢者は 41.7日ですから、高齢者の入院日数が平均値を押し上げていることがわかります。

さらに傷病別でみると、精神・神経系の疾患、循環器系疾患が比較的長く、特に脳血管疾患では全年齢平均で 89.5日、 35歳から 64歳でも 46.9日となっています。

幸い、高額療養費制度によって1ヶ月(月初~月末)にかかる費用には上限額が設けられているので、出費は限定されます。一家の大黒柱の収入にもよりますが、一般年収(約 370万円~約 770万円)で約 8万円~9万円が医療費の限度額です。

ただし、食事代、差額ベッド代、保険の効かない治療費は高額療養費制度の対象外なので、すべて自己負担になります。

そう考えると、入院日数が長くなりやすい病気、保険が効かない治療を受けるかもしれない病気に絞って保険に加入するのが合理的な選択肢かもしれません。具体的には、精神・神経系、高齢期の入院を除けば、いわゆる三大疾病といわれている「がん、心疾患、脳疾患」でしょう。

冒頭で、「あるに越したことはない」と書きましたが、専業主婦(夫)であっても、三大疾病のリスクは保険でカバーしてもいいでしょう。

大切だと考える保障は、三大疾病で一時金が出る保険、少なくともがん保障です。

長生きした場合の女性のリスクは?

さらに付け加えたいのは、女性にとって必要なもう一つの保障があります。介護関連の保障です。

厚生労働省の病院報告平成 30年 1月分概数によると、平均在院患者数の総数 126万2,713人であり、そのうち一般病床に入院しているのは 69万1,208人です。

一方、厚生労働省介護保険事業報告(平成 30年 1月末によると、全国の要介護認定者数(要介護1~ 5)は、 463万4,801人です。平成 28年版高齢者白書によると、公的介護保険の介護サービス受給者数は全体の 6割以上が女性です。

入院してもらえる医療保険も大切ですが、要介護と認定されてもらえる介護保障についても備えていた方が、平均寿命が長い女性には役立つかもしれません。

心に響くかどうかがポイント

現在、各保険会社は、自社商品の強みを前面に打ち出した新商品を”後出しじゃんけん”のように次々に発売しています。競争原理によって、最近の医療実態に沿った、生活者には有利な条件に思える商品が増えているように思います。つまり、選択が難しい時代になっているのです。

だからこそ、保険アドバイザーなどのプロに相談してみることが大切です。自分や家族の生活スタイルをもう一度振り返り、「自分が何を求めているのか」を掘り起こす作業をしてみてください。そのうえで、納得感のある手段を選ぶ。これが最適ではないかと考えています。

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