学資保険に育英年金を追加すると受取時に税金がかかる?

学資保険に特約で追加できる育英(養育)年金。契約者である保護者が死亡または高度障害状態になったとき、満期金を受け取るまでの間、育英費用として年金が給付金される保障ですが、受け取り方次第で税金が発生してしまう場合があるのを知っているでしょうか。満期金も一定の額を超えると課税対象になりますが、育英年金も要注意です。

後で後悔しないためにも、税金のことはしっかり頭に入れておきましょう。

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育英年金は相続税・所得税の対象になる

まず、育英年金を受け取ると相続税がかかります。ただ、相続税は基礎控除がかなりあるので、よほどの額でない限りその中に収まることがほとんどでしょう。注意したいのは、その後にかかる所得税です。

通常、育英年金の受取人は子どもに設定されているのですが、子どもが年金を受け取ると、税制上は収入があると見なされます。何が問題かというと、その所得が年間38万円を超えた場合、課税所得が発生し、所得税・住民税を納めなければいけなくなるのです。

さらに問題なのは、子どもが「所得税を支払う=収入がある」ということで、親(ひとり親)の扶養親族ではなくなってしまう点です。なにが問題なの?と思うかもしれませんが、扶養親族でないということは、児童手当や医療手当など、さまざまな行政サービスが受けられない恐れがあるのです。

こうした問題を回避するために、育英年金の金額はセーブして設定するか、受取人を母親に変更するなどした方がいいでしょう。または育英年金には頼らずに、別個に死亡保険で対応する手もあります。育英年金は返戻率を大幅に下げる原因になってしまいますからね。

さいごに少し余談

年金形式で受け取る生命保険の所得税の課税は以前、年金受給額の元本を含んで計算されていました。しかしこれが二重課税ではないかという訴えが起こり、最高裁がそれを認める判決が2010年にあったのです。

改正後は、相続税で課税対象になった元本部分は非課税とすることになり、過去に払いすぎていた人は所得税・住民税が還付されます。二重課税については、保険や税金に詳しい人たちの間では以前から指摘されていた問題でしたが、最高裁の判決を受けてやっと改善されました。

二重課税は手続きや計算が結構ややこしいため、該当する人は、地域の税務署に問い合わせてください。

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