生命保険に加入するとき、いちばん悩むのが保険金額をいくらに設定するかではないでしょうか。他の人がいくら掛けているのか、気になる人は多いでしょう。
生命保険文化センターが、保険金額の統計をとっていますので、「相場」を調べてみました。
死亡保険金の平均は男性2,000万円弱・女性800~900万円程度
生命保険文化センターによる最新の「生活保障に関する調査」によると、死亡保障の額、つまり本人が亡くなった際に支払われる保険金額の平均は、男性で1,793万円、女性で794万円でした。
年代別に見てみると以下のようになっています。
やはり、働き盛りで家族を養う責任が大きくなる40代をピークに、30~50代の男性が高額な死亡保険金を掛けているという実態があります。女性は全年代を通してあまり多額の死亡保障は掛けていません。
なお、この金額は、一般の保険会社の生命保険だけでなく、JAや全労済などが扱う共済も含んでいます。共済は保障額の上限が民間の生命保険より低いので、上記の統計にも影響しています。
この統計では、調査対象の約8割が民間の保険(かんぽ生命含む)の加入者で、民間の生命保険に限ると、保険金額の平均は男性で1850万円、女性で784万円と少し上がります。
保険金額を推移でみると、徐々に減少傾向にあるようです。
希望する保障額は男性で5,000万円。半数以上が「足りない」という感想
同じ調査では、「死亡保険金の希望額」についても調べています。これは、「自分に万一のことがあった場合、用意しておきたい金額」の希望額をたずねたものです。
男性では最も多くの人が5,000万円以上と回答しており、いざというときには家族のために多額のお金を遺したいという意図が見えてきます。平均をとると男性で2,957万円、女性で1,312万円でした。
しかし、実態は先の調査結果のとおりですから、男性では約 1,200万円、女性では約500万円が、希望するよりも少ない保障しか掛けられていないことになります。これは、
- もっと多額の保険金を掛けたいが、保険料が高くなるため断念している
- 足りない保障額は保険金以外の手段(貯金など)で補完するつもり
のどちらなのでしょうか。
死亡保障に対して満足してる?半分以上が「足りない」と不安
それを確かめるために、調査ではさらに、死亡保障に対する充足感をたずねています。生命保険の保険金額だけでなく、公的保障の額なども含めて、死亡時の経済的な準備に、自身で満足しているかどうかという問いです。
現在、自分が用意している死亡保障について、「どちらかといえば足りない」または「まったく足りない」と感じている人が合わせて57%となっており、半分以上の人が死亡保障に満足していないようです。
もっとも、この調査では、終身保険・定期保険など、生命保険の細かな分類は考慮していません(個人年金保険は除かれています)。純粋に死亡整理金(葬式費用など)のために死亡保障が必要と考えている人も、老後資金にも使える解約返戻金を当て込んで貯蓄型の保険に入っている人も、混在しているということです。一口に希望の死亡保障額と言っても温度差があると思われるため、その点で、この統計はあくまで参考程度にしてください。
そもそも、保険は自分自身にとっての必要性を考えて設計すべきもの。隣の人がいくらの保険に入っていようと、自分も同じ金額でいいはずがありません。「よそはよそ、ウチはウチ」です。気になる気持ちもわかりますが、「世間の参考額」と「自分にとっての最適額」をきちんと区別するようにしましょう。