親の介護費用に対する不安は、働き盛りの世代にとって最も気になることの一つでしょう。介護資金は具体的にどれくらい必要なのか予測しにくいため、自分の収入だけで面倒見きれるのか、不安に感じている人は多いと思います。
親が倒れてからでは遅いので、いざというときの費用がどれくらいいるのか、ざっくりとでも知っておくべきです。40代以降の人なら自分の介護状態も想定しておいていいでしょう。対策を練るのは早いに越したことはありません。
一時費用は?月々の支出は?介護費の平均額
生命保険文化センターの平成24年度調査によれば、実際に介護を経験した人が一時費用(自宅の増改築や介護用品の購入など)にかけた金額の平均は91万円でした。前回調査の平成21年より5万円多くなっています。
費目 | 金額 |
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車いす | 自走式4万円~15万円/電動式30万円~50万円 |
有料老人ホーム「介護付就寝利用型」の場合 | 入居金0~4,000万円前後/月額管理料10万円~30万円 |
リフト(工事費別途) | 据置式20万円~50万円/レール走行式50万円~ |
ポータブルトイレ | 水洗式1万円~4万円/シャワー式10万円~25万円 |
特殊寝台 | 15万円~50万円 |
手すり | 廊下・階段・浴室用など 1万円~ |
階段昇降機(工事費別途) | いす式直線階段用50万円~ |
※平成24年度「介護保障ガイド」(生命保険文化センター)をもとに作成
これに加え、月々にかかった費用(同じく公的介護保険の自己負担含む)の平均は1ヵ月あたり7.7万円でした。こちらも前回調査よりわずかに増えています。
大切なのは1ヵ月7.7万円の出費がどれくらい続くのか? ですが、同センターの調査では56.5ヵ月(4年9ヵ月)という数値が出ています。 ここから介護に必要な金額を計算すると、
7.7万円×56.5ヵ月+91万円(初期費用)=526万3,500円
となり、500万円以上必要なことがわかります。
親の収入と資金を把握しておく
やはり高額になるであろう介護費用ですが、これらをすべて自分の収入から捻出しなければならないかといえば、必ずしもそうではありません。
総務省統計局の高齢者の家計(平成23年度)からも見て取れますが、今の第1号被保険者(65歳以上)は年金が充実している世代であり、また貯蓄額も現役世代より多いため、「介護費は親本人の財布から賄う」と考えていいと思います。
余裕があるなら設備の整った施設も選択肢に入りますし、少々厳しいなら在宅ケアの方向でプランナーさんと相談すればいいでしょう。介護状態になるとまとまったお金が必要なことは確かですが、「いくらかかる」ではなく「いくらかける」を前提に専門家と相談する方が現実的です。
もちろん、それでも必要な額に足りないケースも出てくるでしょう。現状からそうした可能性が高いと思える人は、個人年金保険や他の金融商品などで資金を準備しておくのが無難です。
自分たちの生活や将来設計を台無しにしてまで準備する必要は薄いですが、介護問題がより身近な問題になるのは目に見えている以上、何らかの対策は練っておくべきだと思います。