国や地方が補助してくれる制度で、利用した方がいいものを教えてください。
民間の医療保険に入る前に、国や地方が補助してくれる制度を知っておく(利用しておく)べきだと思うのですが、結構ややこしくて理解が追いつきません。膨大な数があると思うので、知らないともったいない!みたいな制度だけでも教えていただけないでしょうか?
医療、出産、子育て、死亡補助あたりは押さえておきましょう。
質問者さんのおっしゃるとおり、民間の保険に入る前に知っておくべきなのが公的補助制度です。医療費の一部を払い戻ししてくれる制度や、休職中の生活を支えてくれる制度など、利用しないと損をするものばかりです。
紹介しきれないほどさまざまな制度があるので、医療、出産、子育て、死亡補助に関する制度だけでも覚えておきましょう。
病気や怪我をしたときに補助してくれる制度
高額療養費制度
1ヵ月間にかかった医療費の自己負担額が、あらかじめ決められた限度額を超えた場合、超えた分だけ後から払い戻される制度です。健康保険の効く治療にしか適用されませんが、入院・通院・在宅医療を問わず申請することができます。
限度額の上限は年齢と所得によって設定が違い、現役世代の一般所得者なら月額9万円ほどに収まるようになっています。つまり、たとえ窓口で100万円請求されても、90万円以上は国が代わりに支払ってくれるということです。
自分の限度額がいくらになるかなどの詳細は、高額療養費制度の解説ページをご覧ください。
高額介護サービス費
1ヵ月間にかかった介護サービスの自己負担が、あらかじめ決められた限度額を超えたとき、払い過ぎた分が「一部」戻ってくる制度です。高額療養費制度の介護保険版と考えると理解しやすいです。
一部と強調したように、払い過ぎたお金が丸々戻ってくるのではなく、利用者の所得状況と要介護度(介護の必要度)によって決まる点が高額療養費制度と異なります。
限度額の計算はここでは割愛します。詳しくは介護サービス費のページをご覧ください。
高額介護合算療養費制度
1年間にかかった医療費と介護サービス利用費の自己負担額が、あらかじめ決められた限度額を超えた場合、払い過ぎた分が戻ってくる制度です。前項目で紹介した高額療養費制度と高額介護サービス費が合わさった制度です。
限度額は年齢と所得状況によって違います。詳細は、健康保険加入者が受けられる公的な保障制度のページで解説しています。
傷病手当金
病気や怪我で会社を3日以上休み、給料がストップした場合、休んでいる間の生活費として「傷病手当金」が支給されます。給与の満額というわけにはいきませんが、「標準報酬日額」という基準の2/3に相当する額を最大で1年半も受け取れます。
利用できるのはサラリーマンだけ(国民健康保険の加入者は不可)で、業務中に負った傷病は労災と重複するため適用されません。同じ理由で、失業手当金や老齢年金など、傷病手当金以外の支給を受けている場合は受け取れないか、金額が調整されます。
具体的な金額やそれ以外の詳細は、傷病手当金の紹介ページで解説しています。
出産・子育て関連の補助をしてくれる制度
出産一時金
赤ちゃんを産む費用を1子につき42万円(※)補助してくれる制度です。といっても、42万円が直接手元に入ってくるわけではなく、健康保険から自動的に支払われる(窓口の支払い時点では割り引かれている)のが基本です。
※「産科医療補償制度」に加入していない分娩機関での出産は39万円です。
出産手当金
出産のために出勤できなくなった女性に、お給料の代わりのような形で手当を支給する制度です。支給期間は出産前42日~出産後56日まで。前述した傷病手当金と同じく、標準報酬日額という基準で計算された額の3/2が受け取れます。ただし、産休中でも会社からお給料をもらっている人はもらえません。
ひとり親家庭等医療費助成
離婚や死別など、何らかの理由で子どもを一人で育てている家庭の医療費を助成してくれる制度です。子どもが18歳になるまで適用され、その間は自己負担額が1割などに減額されます。ただし、所得の多い人は助成を受けられないことがあります。
死亡したときに受けられる補助
埋葬費
家族が死亡した家庭に埋葬費を支給する制度です。死亡した家族の加入先が健康保険なら一律5万円が、国民健康保険なら1~7万円が受け取れます。国保の場合は自治体によって金額が上下します。
さいごに
公的制度は利用方法や申請先がややこしい場合もありますが、利用しないと絶対に損です。よく分からなければ各自治体や病院の相談窓口に問い合わさせましょう。さまざまな経済的ダメージは公的補助制度で軽減できることを前提に考え、それでも不足だと思ったら保険に頼るべきです。