火災保険の保険料は何によって決まるのでしょうか。ひとつはもちろん、補償内容です。建物だけでなく家財も補償する、火災に加えて水災・風災も補償する、など、補償内容を手厚くしていけば、そのぶん保険料は高くなっていきます。
それとは別に、火災保険の保険料に影響を与えるものとして、「建物の構造」と「地域」があります。 自動車保険では、車種・年式、走行距離などが影響しますが、火災保険の場合は、対象が住まいですので、その構造や、どんな立地にあるかなどが関係してくるのです。
火災保険の保険料の決まり方をひもといていきましょう。
建物の構造は3種類、面積や築年数にも左右される
保険会社に見積もりを依頼したり、サイトでシミュレーションしたりするときは、必ず建物の構造を聞かれます。火災保険では、建物の構造を3種類に分類し、保険料算定の根拠にしています。
火災保険の見積もりに使用される分類とは、M構造(マンション構造)、T構造(耐火構造)、H構造(非耐火構造)の3つです。
M構造 | 下記のいずれかに該当する共同住宅、または耐火建築物の共同住宅。 ・コンクリート造建物 |
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T構造 | 下記のいずれかに該当する建物、または耐火建築物、準耐火建築物、省令耐火構造建物の建物で共同住宅でないもの。 ・コンクリート造建物 |
H構造 | M構造・T構造に該当しない建物。 木造建物や土蔵造建物など。 |
マンションであれば基本的にM構造であり、鉄骨造りの戸建はT構造、木造住宅はH構造です(一部、例外もありますが、だいたいこのようになります)。
戸建の家で、構造がわからない場合は、建築時に作成される「建築確認申請書」という書類を確認すれば記載されています。この書類は建築の際に必ず作成されていますので、建売の場合も、購入したときに権利書などと合わせて受け取っているはずです。構造は建築確認申請の四面にある「耐火建築物欄」に記載されています。
”燃えにくさ”が保険料に影響する
保険料の関係で言うと、当然、木造よりも鉄骨のほうが火災には強いですから、M構造の保険料がいちばん安く、次にT構造が安く、H構造は高い、という形になります。
また、建物の面積(延床面積)も、保険料に影響します。単純に、広い家ほど火災時のリスクは高い(失うものが大きい)のですから、保険料は高くなっていきます。築年数も、古い家ほど火災などの際のリスクが高いと考えられ、保険料は高くなります。
実際に、構造の違いで保険料がどのくらい変わるのか見てみましょう。セゾン自動車火災保険のサイトにあるシミュレーションで、「東京都・築1・一戸建て」という条件で、保険金2,000万円、建物の基本補償のみ(火災のみを補償)で、構造だけを変えて保険料を見積もりしてみました。
構造 | 保険料(年額) |
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T構造 | 4,000円 |
H構造 | 9,800円 |
T構造とH構造では、他の条件がまったく同じでも保険料が2倍以上。建物の構造は重要な要素となっているのがわかります。
自然災害のリスクを考慮し、住所によって保険料が変わる
火災保険は、住所(建物のある地域)によって保険料の体系が異なります。 一見、不思議に思えるかもしれませんが、火災保険は風災や水災といった自然現象による被害も補償するものと考えれば理解できるでしょう。
- 統計的に台風がよくくる地域かどうか?
- 年間の降雨量・降雪量は?
といった要素が自然災害のリスクとして加味されます。
セゾン自動車火災保険のサイトにあるシミュレーションで、「築1年・一戸建て・T構造」という条件で、保険金2,000万円、建物の基本補償のみ(火災のみを補償)で、地域だけを変えて保険料を見積もりしてみました。
地域 | 保険料(年額) |
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北海道 | 3,800円 |
岩手県 | 4,200円 |
愛知県 | 4,200円 |
大阪府 | 4,000円 |
香川県 | 3,600円 |
山口県 | 4,200円 |
福岡県 | 2,800円 |
沖縄県 | 2,800円 |
大きいところで2倍近い開きがあります。
ちなみに、地震保険もやはり地域で料金が違ってきますが、火災保険とは傾向が異なります。たとえば東京は火災保険は安いほうですが、地震保険は高い地域です。これは建物の密集度など、地震の際のリスクや、過去の地震被害の統計などをもとに考えられているためです。