現地でのレンタカー事故で、他人にケガをさせてしまった場合や物を壊したとき(いわゆる対人・対物の補償)に適用されるのが「自動車運転者損害賠償」補償です。海外旅行保険のセットプラン等では、最初から付いていることはほとんどありません。
自動車運転者損害賠償は、取扱商品が少ない
海外で運転をする場合は加入しておきたい保険ですが、この補償が付けられる保険商品は非常に少ないのが現状です。三井住友海上やチャブ損害保険の海外旅行保険では「自動車運転者損害賠償責任」を付けることができますが、渡航先がアメリカ、カナダのみと限定されていて、レンタカーも保険会社が指定する会社で借りることが条件となっています。
補償額は1回の事故について、対人1億円、対物500万円が限度です。この補償の対象範囲は「レンタカーの場合のみ」です。つまり、現地の友人・知人が所有する自動車を借りて事故を起こした場合、この補償は適用されません。
国内の自動車任意保険は利用できるのか
日本で加入している自動車保険は、その自動車そのものにかかっています。「他車運転」が補償される契約も国内に限定されているので、海外旅行の場合は一切補償されません。
海外旅行保険の個人賠償責任補償は利用できるのか
海外旅行保険に個人賠償責任補償を付けていても、自動車の運転による事故は対象外になっています。よって、現地で自動車トラブルを起こしても、個人賠償責任補償は適用されません。
下記は東京海上日動の海外旅行保険の免責ですが、自動車の運転に関する文言が入っています。
「保険金をお支払いしない主な場合」の賠償責任保険金の項目に「航空機、船舶、車両、銃器(空気銃を除きます)の所有・使用・管理に起因する賠償責任」
引用:東京海上日動HP
明記されているとおり、車両等を運転してトラブルが起こった場合は補償範囲外となります。
現地の自動車保険加入がベター
国内でレンタカーを借りる際も保険加入が勧められますが、渡航先でレンタカーを借りる場合も同じです。上記で説明したように「自動車運転者損害賠償」補償は、海外旅行保険の商品も少なく、利用できる渡航先も限られていてあまり当てにできません。渡航先でレンタカーを借りて運転をするのであれば、その際に自動車保険に加入するのが一番有用な方法と言えるでしょう。
とはいえ、添乗員(通訳)がいなかったり、現地の言葉に不安を感じるのであれば、レンタカーを借りて自動車保険に加入するまでの手続きが難しいかもしれません。現地加入の保険は、日本語対応サービスがある海外旅行保険とはサポート体制が違うので、事故が起こったときも対応に苦労しそうです。また、海外で運転するには国外運転免許証が必要なので、これらの手続きも忘れないようにしてください。
海外での運転プランは慎重に
渡航先がアメリカとカナダで、レンタカー会社が限定されても構わないなら「自動車運転者損害賠償責任」補償を付けられる海外旅行保険商品を選択するのもいいでしょう。
渡航先での運転も楽しい旅の思い出になりそうですが、少しでも不安要素があるのなら「海外で自動車の運転をする」というプランそのものを、見直すことも考えましょう。