痔になったことのある人が一般の保険に入るには?
自己診断でなく、専門医を受診して診断をされていることが重要です。
痔疾患には、痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、痔瘻(じろう)などがあります。
痔核は「いぼ痔」のことで、外痔核と内痔核があります。裂肛は「切れ痔」「裂け痔」、痔瘻は「あな痔」のことです。いずれも出血や痛みを伴う肛門の疾患です。
告知の際のチェックポイント
痔の既往症のある人が、保険に加入する際に告知をする場合は以下を記入するとよいでしょう。
- 発病期と診断日
- 診断名
- 治療内容
- 医療機関名
1.発病期と診断日
いつどのような症状が出て受診したのかを記載しましょう。診断名や治療内容と整合性を確認します。
2.診断名
一口に「痔」といっても様々な種類があります。痔だけでは、保険会社は審査ができません。下記に記載するどの痔に該当するのか、正式な診断名を記載してください。
痔核(いぼ痔)
外側にできる外痔核は、肛門の表面が皮膚に似た肛門上皮に覆われて出血しにくい反面、知覚神経が豊富で痛みを感じやすくなります。対して、直腸は痛みに対して比較的鈍感なため、直腸側にある内痔核はあまり痛みを感じません。
内痔核は、便秘などによる過度のいきみや長時間座りっぱなしなど、肛門に負担をかけることが原因といわれます。女性では、妊娠分娩が最大の原因となります。程度により痔核が肛門の外に飛び出すことがあります(脱肛)。外痔核は痛みを感じます。悪化すると血栓ができて激しく痛み、症状がひどい場合には手術の対象となる場合があります。
裂肛(切れ痔)
便秘などが原因となって固い便により、肛門の出口付近の皮膚が切れた状態です。排便時の強い痛みと出血が特徴です。出血は、トイレットペーパーに付く程度で、多くはありません。
直腸脱
高齢の女性に多く起こります。自然に戻ることが多いのですが、進行して常に腸が脱出した状態になった場合には手術の対象となります。
肛門周囲膿瘍→痔瘻
肛門周囲膿瘍は、肛門のまわりに膿(うみ)がたまる状態です。下痢や軟便、温水便座の使用で、肛門の中のくぼみからばい菌が入ることで起こります。治療の第一の選択肢は、切開して膿を出すことです。
肛門周囲膿瘍は、痔瘻に移行します。肛門管上皮や肛門周囲の皮膚面に貫通した穴ができて膿が出ます。膿で下着が汚れ、悪臭を放つこともあります。痔瘻になると、自然治癒はしないため手術が必要となります。
3.治療内容
主な治療は保存的治療です。便軟化剤、軟膏などで治療します。出血する痔核には注射硬化療法や大きな痔核へは結紮術を行うこともあります。症状がひどい場合には手術の適用となりますが、症状が重くないのに即手術適用となっている場合、放射線治療を受けている場合、理由のない長期入院は、直腸がん等のほかの重篤な疾患を疑われます。
4.医療機関名
近所の肛門科なのか、大学病院なのか、症状や診断の内容との整合性を見るためです。
残念ながら一般の保険に加入できない場合
これまで述べたポイントを踏まえても加入できない場合、次の手段として、「引受基準緩和型」または「緩和型」と呼ばれる保険の審査を受けてみるのも一手です。持病や病歴のある人でも加入できるよう、審査基準をやさしくした保険のことで、保険料は少し割高になりますが、それでも入りたいという人は意外に多いことから、保険会社が力を入れつつある分野の一つです。
特徴的なのは、この手の保険の審査基準が保険会社によってまちまちな点。A社ではダメだったものがB社では通ったり、逆にB社ではNGな症状がA社では問題視されていなかったり、各社でスタンスが異なります。つまり、「保険に入っておきたい」という目的を叶えるなら、数撃ちゃ当たる作戦が功を奏する可能性が高くなるということです。
引受基準緩和型保険でも加入を断られた場合、最終手段として「無選択型」と呼ばれる告知なしの保険に頼るという手もありますが、当サイトではあまりお勧めしていません。「告知なし=誰でも加入できる」というだけあって、保障が限定的であったり、保険料がずば抜けて高かったりと、さほどメリットを見出だせないと考えているためです。
もちろん、保険は安心を買う商品でもありますから、真っ向から否定はしませんが、無選択型保険を選ぶ場合は、緩和型保険以上にその保障内容をきちんと理解したうえで加入するようにしましょう。
ところで:なぜ痔だと保険の加入が難しくなるのか?
痔の疾患は、恥ずかしいこともあり、痛みや出血がひどくない限り、病院での受診をためらってしまうことが多くあります。しかし、下血は結腸がんや直腸ポリープ、クローン病などが原因となって起きている可能性もあります。ずいぶん前に痔だといわれたが、その後放置して症状がひどくなったのに病院を受診していない場合、また自己診断と思われるような場合には、ほかの重篤な疾患の可能性も否定できないため、保険の加入が難しい場合もあります。また、手術の術式や入院期間の長さなどから直腸がんが疑われる場合にも、保険の加入は難しいでしょう。。
(注)あくまで当サイトの考察であり、保険に加入できるかどうかの判断基準は保険会社により異なる点、ご留意ください。
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