子供の教育資金を準備するための学資保険ですが、よく「インフレに弱い」と言われます。
そこで、「インフレ」とは何か?「インフレリスク」に対応するにはどうすればいいのか、を解説します。
今さら聞けない「インフレ」とは?
「インフレ」とは、「インフレーション」の略語で、物やサービスの値段が時間の経過とともに上がり、お金の価値が下がることをいいます。「インフレ」とは逆に、物やサービスの値段が時間の経過とともに下がり、お金の価値が上がるのが「デフレーション」、略して「デフレ」です。
日本は長い間、「デフレ」の状態にありましたので、「インフレ」と言われてもピンとこないかもしれません。しかし、2018年9月の消費者物価指数(消費者が購入する生活用品の価格変動を示す指数)はプラス1.2%(前年同月比)でした。
生鮮食品の値上がりとエネルギー価格の上昇などが追い風になったようですが、この数字からみると、日本はデフレ経済ではないと言えますので、教育資金も「インフレ」に備えることが必要です。
学資保険には「インフレリスク」がある
学資保険は契約するときに、契約者が決められた保険料を決められた期間支払うという約束をします。契約時の予定利率等によって総支払保険料は基本的に契約満了まで変わりません。
たとえば大学の初年度納付金として足りるであろう200万円の学資保険に加入したとします。
物価が上がってしまい、18年後の入学金が300万円になっていたら、200万円では足りなくなります。それは、学資保険は物価が上昇したとしても、契約時の満期金が変わらないからです。現時点での返戻率が良くても、物価の変動によってその価値が下がり、入学金に必要な金額を貯めることができなくなることもあるのです。
預貯金であれば金利の高い商品へ預け替えることができますが、学資保険の場合、途中で解約すると元本割れしてしまう可能性もあります。
このように、学資保険には「インフレリスク」と「途中解約リスク」があるといえます。
「インフレリスク」に対応するためには
「インフレリスク」に対応するために考えられる方法としては、教育資金の積立を学資保険だけではなく、いくつかの商品に分けて準備するのが安全です。
個人向け国債「変動10年」
インフレ対策として、個人向け国債の「変動10年」が有効です。10年満期で、半年ごとに市場の実勢金利によって利率が変わるため、インフレ経済を反映した金利を受取ることができます。
1万円から購入できますが、自動的に購入できないので、毎月購入する手間はかかります。まとまったお金を運用するのに向いているでしょう。
積立NISA
家計のリスク許容度にもよりますが、「インフレリスクに強い」とされる株式投資信託で運用する方法があります。その場合、税制優遇のある積立NISAを利用するといいでしょう。
株式での運用は元本割れする恐れがあるので、確実に貯めたい教育資金を準備する手段としては向いていないかも知れません。ただ、「インフレ」への対応を考えると、学資保険のような確実に貯められる手段と積立NISAなどの税制優遇のある仕組の両方とを利用することで、元本割れのリスクを軽減できるのではないでしょうか。
いくつかの商品に分けて準備を
教育資金の準備は、学資保険だけでは、「インフレ」や金利上昇に対応できないので、いくつかの商品に分けて貯めていきましょう。
たとえば300万円の学費を準備しようと思った場合、200万円は学資保険を利用して、残りの100万円は国債や積立NISAで運用するなど、教育資金の積立に関しても分散投資を心がけることが必要です。