子供の教育資金を貯める手段として、まず思いつくのが学資保険だと思います。
そこで、「学資保険で貯蓄を」と考える場合に知っておきたい「返戻率」と「利回り」の違いについて解説したうえ、学資保険は教育資金を貯める手段としておすすめできるのかについて考えます。
返戻率とは?
学資保険を選ぶうえで必ず出てくるのが「返戻率」という言葉です。そして、学資保険を選ぶポイントの一つが「返戻率の高さ」です。なぜかというと、貯蓄性の高い学資保険は「返戻率」が高いからです。
では、その返戻率とはなにか? また、どのように計算するのでしょうか?
返戻率とは、それまで払い込んだ保険料に対して、将来受け取る満期保険金などの総額がどれくらいあるかの割合のことで、返戻率が100%を超えていれば、払い込んだ金額よりも受け取る金額が多くなります。
返戻率(%)=受取総額÷総支払保険料×100
例)学資保険:ソニー生命22歳満期、基準学資金200万円、契約者:30歳、被保険者(子供):0歳の場合
- 月額保険料:2万1,240円、払込期間:15年、受取総額:400万円
- 総支払保険料:21,240円×12×15年=382万3,200円
- 返戻率(%)=400万円÷382万3,200円×100=104.62
この例の場合、返戻率は104.62%で、総支払保険料よりも受取総額のほうが多いので、貯蓄性があると言えます。
ただ、学資保険は、年齢や性別、保険料払込期間などで保険料が変わり、返戻率も変わるので、学資保険に加入する際はどれぐらいの返戻率になるのかを確認することが大切です。
「利回り」とは?
では、この学資保険の返戻率は他の金融商品と比べて、果たして利回りとして有利な商品なのでしょうか?
「利回り」とは、元のお金(元本)に対してどれくらい増えたかを示す割合のことで、通常、1年あたりの平均利回り(年利回り)を指します。
利回り(%)=利益÷総支払保険料(元本)÷払込期間×100
例)利益:400万円-382万3,200円=17万6,800円
利回り(%) =17万6,800円÷382万3,200円÷15年×100=0.3
このように、返戻率104.62%の学資保険の年利回りは0.3%と低くなります。なぜなら返戻率には運用期間という時間の概念が抜けているからです。
教育資金の準備は、金融商品の特徴をよく理解して選ぶ
年利回り0.3%は、大手銀行の定期預金金利0.01%より増えますが、最近のネット銀行では、金利0.25%の定期預金などもありますし、解約しても元本割れしないという意味では、定期預金を利用する方が良いと考えることもできます。
また、利回りを求めるのであれば、価格変動リスクはありますが、積立NISAを利用して投資信託で運用する方法もあります。
ただ、学資保険の魅力は、親の死亡で以後の保険料が払込免除になることです。これは、保険にしかない機能です。 家計に無理のない保険料、払込期間を選べば、きちんと機能する保険です。
このように、教育資金の準備は、金融商品の特徴をよく理解して選ぶことが大切です。一人で調べるのは難しいと思う場合は、信頼できる保険のプロに相談するといいでしょう。