奨学金制度の概要と比較

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奨学金制度とは、「優秀だけどお金がない学生が勉強するためのお金」をなんらかの形で用立ててもらえる仕組みのことです。

奨学金には、お金をもらえる(返済しなくてよい)給付型のものと、お金を借りる形になる貸与型のものがあります。諸外国では給付型が多いとも言われていますが、日本では貸与型のものが一般的。「単に学生に借金をさせているだけ」という批判もありますが、一般の民間ローンに比べると低金利の融資なので、勉強したいけれどお金がないという人は検討すべき選択肢のひとつです。

奨学金制度は運営もとで大きく3つに分けられます。

  • 国や公的機関、地方自治体などの奨学金制度
  • 大学など教育機関の奨学金制度
  • 民間の団体、企業などの奨学金制度

それぞれの特徴などを見ていきましょう。


国や公的機関、地方自治体などの奨学金制度

無利息での貸与は一定の審査があります。

種別 第一種奨学金 第二種奨学金
金利 無利息 3%上限(在学中は無利息)
貸付額(月額) 国公立大学:
4万5,000円(自宅通学者)
5万1,000円(自宅外通学者)
私立大学:
5万4,000円(自宅通学者)
6万4,000円(自宅外通学者)または3万円
3万円・5万円・8万円・10万円・12万円のいずれか

※金額は大学の場合です。高校や専門学校の場合も利用でき、貸付額は異なります

本学生支援機構では、ほかにも海外留学をしたい人のための奨学金や、災害に遭うなどして緊急的にお金が必要になった学生のための融資制度などがあります。

注意したい点として、たとえば高校から大学へ進学するときの費用が必要な場合、申込みは高校のうちにしておけるのですが、奨学金が受け取れるのは入学後になります。入学金は入学前に支払わなくてはならないので、奨学金をそのまま使うことはできません。このあたりは学資保険や貯蓄などと合わせて、お金の計画をきちんと立てておく必要があります。

地方自治体の奨学金

本人または親が住んでいる地域に、奨学金制度があることもあります。たとえば東京では公益財団法人東京都私学財団によって「東京都育英資金貸付事業」が行われています。この事業では大学は対象ではなく、高校に在学・進学する人に対して、通う学校の所在地が都内であることを条件に、国公立学校の場合月額1万8,000円の奨学金が貸与されます。この制度による貸付金は無利子です。

こうした地方の奨学金は、他の奨学金制度と併用できないことも多いので、条件をよく比較して検討する必要があります。

大学など教育機関の奨学金制度

大学が、それぞれに独自の奨学金制度を設けていることがあります。もちろん各大学に在学している、または入学を予定している人向けのものです。特に優秀な学生に関しては給付型のものも一般的です。ただしこれは学年に数名ずつくらいの、本当に優秀な人向けのものになると思います。

奨学金とは少しニュアンスは異なりますが、成績優秀な学生は学費の一部を免除するという形で応えている大学もあります(いわゆる「特待生」制度です)。

看護大学などでは、卒業後に、その学校が関係する病院に勤務することを前提とした奨学金などもあります。返済は病院の給与から行われることになります。学校・病院としては働き手を確保することができ、学生側も就職先も見つけてかつ返済のあてもできるので互いにメリットはあると言えます。

大学の奨学金は内容もさまざまですが、貸与型でも無利子であるなど好条件のものも少なくありません。まず、各大学の制度を調べてみるとよいでしょう。

民間の団体、企業などの奨学金制度

ほかに、民間の団体などが運営している奨学金制度があります。企業が慈善事業の一環として行っているものなどで、財団法人などの形で運営されていることが多いです。

たとえば「日本証券奨学財団」は全国の証券会社からの寄付により設立された団体で、毎年50名程度の優秀な学生を奨学生として支援しています。全国で50名ですからかなりの難関と言えますが、こちらの奨学金は給付型で、進路の制限もありません。金額は在学中、毎月3万5,000~4万5,000円が支給されます。

企業が運営しているものとしては、新聞社が行っている新聞奨学生がよく知られています。
新聞配達や集金などの仕事をするかわりに、給与として奨学金を支給する(または貸与された奨学金を配達業務の給与から返済する)というものです。ある意味、単なるアルバイトと言えばそうなのですが、新聞配達の業務は早朝であるため、昼間の学業との両立がしやすいというのが利点となります。

民間の非営利団体(NPO)である「あしなが育英会」は、保護者を亡くした遺児のための奨学金制度です。誰でも利用できるものではありませんが、無利子の貸与になっています。

こうした民間の奨学金は、全国から優秀な学生が応募するため、非常な狭き門になっていることも多いのですが、給付型であったり、他の奨学金と併用できるなど有利なものも多いので、狙ってみる価値はあるでしょう。

日本学生支援機構のサイトに、地方自治体の奨学金・民間の奨学金の情報を掲載しているページがありますので、一度チェックしてみてください。

地方公共団体・奨学事業実施団体が行う奨学金制度

奨学金は、利用できれば有利ですが、誰でもが利用できるものではなく、それなりに厳しい審査があるものです。奨学金の審査がどうしても通らない場合は、教育ローンなどを利用することになります。教育ローンにも、ローンとしての審査はありますが、奨学金よりは幅広く門戸は開かれています。

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