がん保険は民間療法や代替療法にも給付される?

がんの治療は、3大治療と言われる「手術」「化学療法(抗がん剤治療)」「放射線治療」を組み合わせて行われます。それらとは別に、健康食品やサプリメント、気功などの民間療法や代替療法を取り入れる人もいます。なかには費用が高額なものもあるようですが、がん保険の給付金は受け取れるのでしょうか。

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補完代替医療とは?

民間療法や代替療法を総称して、「補完代替医療」と呼んでいます。これらは、3大治療を補ったり、3大治療の代わりに行ったりする医療のことです。伝統的な民間療法(東洋医学的なものなど)も含めて、補完的・代替的に使用されます。

さまざまな治療法がありますが、科学的に有効性や安全性が証明されていないものも多く含まれているのが実情です。主なものを列挙しました。

  • サプリメント、健康食品(抗酸化食品、免疫賦活食品など)
  • 鍼灸、指圧、気功
  • マッサージ療法
  • アロマセラピー
  • ハーブ療法
  • ビタミン療法
  • 運動療法
  • 温泉療法
  • 食事療法
  • ヨガ

他にも多数ありますが、厚生労働省がん研究助成金による「がんの代替医療の科学的検証に関する研究班によれば、がん患者が利用している代替医療で最も多いものは、サプリメント・健康食品でした。

関連:がんの代替医療の科学的検証に関する研究

補完代替医療はがん保険で保障される?

がん保険の給付金を受け取れる条件は、給付金の種類ごとに決められています。たとえば、がん診断給付金なら、がんと診断されたときに受け取れます。最近は、抗がん剤治療を受けたときに受け取れる給付金や、放射線治療を受けたときに受け取れる給付金など、絞り込んだ内容の保障も見られます。

しかし、補完代替療法を受けたときに給付されるタイプのものは、今のところ見当たりません。これは補完代替医療の定義が明確でないことも一因でしょう。上記の例を見ても、医師が指導しているものもあれば、そうでないものもあります。したがって、がん保険では補完代替医療は基本的には保障されない治療であると考えて差し支えありません。

ただし、自由診療・先進医療に含まれるものであって、それらの保障がついているがん保険なら給付金が受け取れます。また、がん診断給付金などの一時金は用途を決められているわけではないので、受け取ったお金を補完代替医療に使うことはできます。

補完代替医療を利用するときは慎重に

補完代替医療は、今のところ直接的な有効性が確認できたものはほとんどありません。あくまでもメインの治療をサポートする役割です。自己判断で取り入れると、逆効果になってしまったり、健康被害を引き起こしたりすることもあります。特に、通常の治療を受けるのをやめて、補完代替医療だけに頼るのは、非常にリスクが高いと言わざるを得ません。

どのような効果が期待できるのか、安全性や有効性は確認されているのか、副作用などのリスクはどのようなものがあるのかなどは、必ず、補完代替医療を受ける前に確認しましょう。主治医にも相談したうえで、慎重に選ぶことが大切です。

厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班および独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「がんの代替医療の科学的検証に関する研究」班によるガイドブックから、補完代替医療を利用する前に行いたい「自分自身への問いかけ」を紹介しましょう。

がん患者は、「なんとしても治りたい」という気持ちから、さまざまな情報に踊らされがちになりますが、冷静な判断をすることが何より肝心です。日本のほとんどの医師は勉強熱心ですので、インターネットや本の情報よりも、目の前の主治医の意見をまず聞いてみるようにすることが、最善の選択に近いことを覚えておきましょう。気になる補完代替医療があるならば、直接主治医に意見を聞いてみることも、お勧めです。

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