女性特有のがんの現状・保障の必要性について

がんは全身のあらゆる場所にできるものですが、発生部位や罹患率は男女で差があることを知っておかなくてはいけません。女性のがんについての情報をまとめました。

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若くしてがんになる確率は女性の方が高い?

まず、がんにかかる確率は男女ともに2人に1人(男性63%、女性47%)です。しかしこれは一生を通しての罹患率であり、おそらくは大多数の人が気になっている「若い時期にがんで倒れる可能性」に答えるものではありません。 では、がんの罹患率はどの年代から高くなるのでしょうか。 がん研究振興財団が発表している年齢階級別のがん罹患率(全部位)を調べてみました。

出典:公益財団法人 がん研究振興財団「年齢階級別がん罹患率推移」より一部抜粋

男性は40代後半から徐々に増え出し、50代を境に急激に高くなるのに対して、女性は30代後半から緩やかな右肩上がりのラインを描いています。最終的な罹患率は男性の方が上ですが、若い時期だけを見ると女性の方が高いことがわかります。

30~40代というと、仕事、家庭、子育てなどに忙しい時期です。専業主婦の人なら家事や育児のほとんどをパートナーに任せることになり、それが気がかりで治療に専念できないかもしれません。独身や共働きの世帯は、思うように仕事ができないことで収入がダウンし、家計に与えるダメージは少なくないでしょう。

このように、若い時期にがんにかかると計り知れない不都合が出てくるため、女性は男性以上にがんに対する備えを強固にしておいた方が良さそうです。

「女性特有のがん」は他のがんよりも警戒すべきなのか

女性のがんといえば、子宮がんや乳がんなど「女性特有のがん」という括りをよく耳にしますが、これらは他の部位にできるがんと比べて特別に危険なものなのでしょうか。予防や早期発見に努めるにあたり、女性特有のがんの罹患率や死亡率がどの程度なのかも知っておく必要があると思います。

再びがん対策情報センターの統計から部位別の罹患数を見てみます。

1位2位3位4位5位
男性大腸前立腺肝臓大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸5位
女性乳房大腸子宮大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸7位
※出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター
※乳房と子宮頸部は上皮内がんを含む
※子宮は子宮頸部および子宮体部の他に「子宮部位不明」を含む
出典:国立がん研究センターがん対策情報センター

罹患数1位に乳がん、5位に子宮がんがランクインし、死亡数割合は40歳~64歳の間では乳がんが1位。全年代では膵臓がんに次いで5位となっています。

以上から、女性は男性よりも若くしてがんになるリスクが高く、若い時期の女性特有のがんは命を落とす危険性も高いことがわかりました。若い女性は、特に乳がんと子宮頸がんの検診を必ず受けるようにしましょう。健康管理やがん検診は20代からしておくべきですし、いざがんになったときのための治療費も確保しておくべきでしょう。貯蓄があれば安心ですが、そうでない人は保険で備えるのも有効だと思います。

女性特有のがんにはどんな保障が必要なのか

がん治療を受けると医療費が何十万円にもなるイメージがありますが、健康保険内の受療であれば高額療養費制度が使えるため、一般所得者なら最高でも月9万円程度の自己負担で済みます。逆にいえば、高額療養費制度の適用範囲内ならがんも他の病気も経済的リスクは同じということです。

しかし女性特有のがんの場合、症状によっては保険診療が効かないものがあります。たとえば乳がん手術による乳房再建術がそうです。乳房「全摘手術」を受け、胸の膨らみを人口乳房(インプラント・シリコン)で作りなおす場合、再建する形(※)によっては保険診療が認められず、片方で約70~100万円とされる治療費はすべて自己負担になってしまいます。さらに、デリケートな部分の治療のため、場合によっては差額ベッド室を利用したくなるかもしれません。

こうしたリスクにも万全を期したいのであれば、がん保険に加入したうえ、ピンポイント(女性向け)の特約も追加した方がいいでしょう。がん保険では、がんと診断されたときに給付される診断給付金が100万円単位で受け取れますが、保険診療外の治療費となるとそれでも不足するかもしれません。もちろん、先進医療特約は付けておいた方が無難。受ける確率は低いとはいえ、陽子線治療や重粒子線治療の医療費は200万円~300万円かかってしまいます。

保障内容の詳細はがん保険の仕組みと具体的な保障内容もご覧ください。

※2014年1月より保険適用化。「丸形」、日本人に多い「しずく形」が対象となるが、他の形はこれまでどおり全額自己負担

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