もくじ

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  2. がん治療の基礎知識と実態
  3. がん治療の費用

がん検診の上手な受け方は? 費用の相場と検診の目安

がんの治療で重要なのは、どれだけ早期発見ができるかということです。早期に発見することさえできれば、がんは怖い病気ではありません。完治する率は高くなりますし、治療にかかる時間も費用も短縮できます。逆を言えば、がんの発見が遅れれば遅れるほど、その結果は致命的なものになり、費用もかかっていきます。

したがって、がん検診は定期的に受けておくに越したことはありません。検診ですべてのがんが見つけられるとは言えないのですが、検診を受けなければ見つかるものも見つかりません。「私は大丈夫だから」「まだ若いから」などと過信している人には、早期のがんは自覚症状がまったくないことも珍しくないことを付け加えておきます。

がん検診と一口に言っても、さまざまなものがありますが、X線、超音波、CT、MRI、PETといった画像診断が主流です。しかし、最終的にがんという診断を確定させるのはがん細胞の発見ですから、画像診断で疑わしいところがあれば、内視鏡検査などで細胞を取得し、病理検査を行うという流れが必要です。

がん検診は「40歳以降年に1回」が目安

厚生労働省が、がん検診の受診について、ガイドラインを作成しています。

がんの種類 検査項目 対象 受信の目安
胃がん 問診、X線検査 40歳以上の男女 年1回
肺がん 問診、X線検査、喀痰細胞診 40歳以上の男女 年1回
大腸がん 問診、便潜血検査 40歳以上の男女 年1回
乳がん 問診、視診、触診、X線検査(マンモグラフィ) 40歳以上の女性 2年に1回
子宮がん 問診、視診、細胞診、内診 20歳以上の女性 2年に1回

上記のとおり、おおむね、がんのリスクが高まる40歳以降に、年1回のペースで検診を受けるのが推奨されています。

厚生労働省では09年度以降、大腸がん・乳がん・子宮がんについては、一定年齢の人に検診無料クーポン券を送付し、検診率が上がるような施策を行っています。

がんの種類 クーポン送付対象者
大腸がん 前年度に40歳・45歳・50歳・55歳・60歳になった男女
乳がん 前年度に40歳・45歳・50歳・55歳・60歳になった女性
子宮がん 前年度に20歳・25歳・30歳・35歳・40歳になった女性

このクーポンを使えば、地域で行われる検診は無料で受けることができます。

費用は公的なものなら5,000円以下。自分で受ける場合は3万円以上

クーポンなどがない場合、費用はいくらくらいかかるものでしょうか。現在、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮がんについては、ほとんどの市町村で検診が行われています。先述のクーポン配布とは別に、自治体によって無料で行われている検診もあれば、有料の場合もあります。

厚生労働省がまとめた「市区町村におけるがん検診の実施状況等調査」によると、平成24年度に行われた自治体のがん検診の費用は次のような状況です。

無料で受けられる検診を実施している市町村の割合
胃がん 肺がん 大腸がん 乳がん 子宮がん
無料 7.6% 17.6% 14.8% 18.3% 16.5%
高齢者は無料 33.9% 32.6% 34.9% 30.5% 34.0%
一部対象者は無料 58.5% 55.9% 58.5% 51.8% 54.9%
有料 22.9% 20.3% 17.4% 16.4% 16.9%

※厚生労働省「市区町村におけるがん検診の実施状況等調査」(平成24年度)より。
未回答があるため、合計が100%にならない場合があります。

自己負担がある場合の費用額
胃がん 肺がん 大腸がん 乳がん 子宮がん
500円以下 7.6% 51.3% 42.9% 4.9% 7.2%
501~1000円 14.5% 25.8% 23.9% 17.5% 22.3%
1,001~1,500円 12.9% 3.8% 5.0% 17.8% 18.1%
1,501~2,000円 13.8% 0% 0.1% 15.8% 17.2%
2,001~2,500円 6.9% 0% 0.2% 6.1% 5.1%
2,501円以上 26.7% 0% 2.4% 6.4% 2.6%

※厚生労働省「市区町村におけるがん検診の実施状況等調査」(平成24年度)より。
検診が対象にかかわらず無料であるとした以外の市町村で、自己負担がある場合の費用額を調べたもの。
未回答があるため、合計が100%にならない場合があります。

完全無料という場合は少なく、しかし、費用額としてはほとんど2,000円以内の少額だということがわかります。

自分の地域で検診をやっていない場合や、上記5種類以外のがんの検査を受けたい場合などは一般の医療機関で、検診を受けることももちろん可能ですが、公的に主催されているものに比べると、どうしても費用も高くなってしまいます。

独立行政法人国立がん研究センターが運営するがん予防・検診研究センター(東京)で行われている検査費用は次のとおりです。

検査の種類 男性の検査費用 女性の検査費用
総合健診 9万9,750円 13万6,500円
総合健診+PET/CT検査 18万9,000円 22万5,750円
単独検診 肺がん 4,650円 3万4,650円
女性がん 6万8,250円
乳がん 2万1,000円
消化管がん 5万2,500円 5万2,500円
上部消化管がん内視鏡 3万3,495円 3万3,495円
大腸がん 3万1,500円 3万1,500円

この費用は公的保険は使用できず、すべて自己負担になります。

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