当サイトでは、がんに罹患し、治療を終えた方500名にアンケートを行い、実際にかかった費用について聞いてみました。このページでは、そのうち、乳がんにかかった人に聞いた、治療費の実態をまとめています。調査の概要や、全体の結果についてはこちらのページをご確認ください。
乳がん治療にいくらかかった?
乳がんにかかる人は全世代で増加傾向にあり、30代や40代という若さで罹患するケースも珍しいとは言えません。今回の調査でもその傾向は見られ、特にステージI・IIでは40代の女性が目立ちました(もちろん全体で見ると50代以上の方のほうが多いです)。
ステージIでの調査結果では「20万円~50万円未満」が4割、次いで「20万円未満」が3割弱ですが、ステージIでも「100万円~150万円未満」の回答があり、まさにがん治療がケース・バイ・ケースであることを示しています。
ステージIIに移ると全体的な実費が増え、手術・抗がん剤・放射線治療の組み合わせが増えてきます。それに伴い、治療期間も長期化する傾向にあるようです。これはステージIIIにおいても同じことが言えます。ステージIVについては、十分なサンプルが得られなかったため、引き続き調査を行いたいと思います。
乳がんは、ステージや「サブタイプ分類(ホルモン受容体やHER2発現状態から4つのタイプに分かれる)」、乳房再建の有無などによって治療法や費用は変わってきます。乳房温存の場合、術後に放射線治療を行うのが標準治療で、1.8~2Gyを25回照射するのが一般的なスケジュールですが、追加で行うケースもあります。今回の調査でも、30回程度照射したと回答した人もいました。
また、ホルモン療法を行うケースも多く、治療期間は5~10年にわたります。抗がん剤に比べると費用はそれほど高額ではありませんが、期間が長い上、副作用軽減のために通院するケースもあり、じわじわと家計への負担がかかってきます。
乳房全摘手術を行った場合、その後に乳房再建する人も増えています。特に、2013年7月、2014年1月にかけて、インプラント(人工物)が保険適用されたことで、費用面でのハードルが引き下げられました。
目安として、自家組織による再建は30〜60万円、インプラントによる再建は、ティッシュ・エキスパンダーの挿入が15万〜20万円。インプラントの挿入が17~30万円です(いずれも自己負担3割の場合)。さらに、高額療養費が適用されれば実質的な負担は軽減できます。