がん保険の診断給付金の相場が100万円の理由

がん保険を検討するとき、どのような保障をどのくらい付ければいいのかは重要なポイントです。たとえば、がんと診断されたら一時金で受け取れるがん診断給付金の基本プランは100万円となっているのをよく見かけますが、本当にがん治療には100万円も必要なのでしょうか。

目次

がん治療の費用は健康保険の範囲なら意外と低いが…

がん治療費(割負担の場合)

入院(円)入院外(円)
胃がん185,21910,063
結腸がん181,76712,524
直腸がん215,81117,331
肝臓がん177,28212,519
肺がん197,50925,704
乳がん166,22715,838
子宮がん181,6027,985
悪性リンパ腫280,23118,737
白血病454,04627,865
その他のがん190,34215,115
厚生労働省「平成28年度医療給付実態調査」を基に編集部作成

上の表は、厚生労働省が医療費を調査した結果を基に、健康保険で3割負担となったときに支払う金額をまとめたものです。さらに高額療養費制度がありますから、入院して1か月かからずに退院できれば、実際に負担する治療費は最高でも8~9万円で済んでしまうケースも考えられます。これなら、がん診断給付金は100万円も必要ないかもしれません。

当サイト独自のアンケート調査でも似たような結果が出ています↓

関連:【部位・ステージ別】がん治療にかかった実費はいくら?500人に聞いた医療費の相場

ただ、がんの治療費には健康保険の対象にならないものもありますし、入院時の差額ベッド料金や食事代などは含まれていません。通院や入院中に家族が病院に通う交通費、入院中の日用品費、お見舞いのお返し代などもばかになりません。また、残業時間の減少などで収入が減ることも考えられます。

健康保険が効かない治療なども含めた費用の合計はどのくらい?

では、実際にどのくらいの費用がかかったのか、日本政策医療機構が、がんを経験した人やその遺族にがん治療のために支払った金額を聞いた調査結果があるので見てみましょう。

下の図は、最も費用がかかった1年(1月~12月)の合計額で、高額療養費制度などで医療費の払い戻しがあった場合はそれを差し引いた金額をまとめたものです。平均は115万円(最低0円、最高2,000万円)ということですから、がん治療には100万円以上かかることも覚悟しておいた方が良さそうです。

日本政策医療機構市民医療協議会「がん患者意識調査」2010年

がん治療にかかる費用は人それぞれだけど

がん治療とひとことで言っても、治療の経過や期間はその人によって違いますし、治療がいつまで続くのかを予測することはできません。健康保険があるから治療費はそれほどかからないという考え方もありますが、先ほど紹介した資料のように、平均で100万円以上かかるという統計もあります。それならば、がんの診断を受けたときに100万円を受け取ることができる診断給付金があった方が、取りあえずお金の心配をしないで済むのではないでしょうか。

自分ががんだと診断を受けたとき、「なぜ自分が?」と目の前が真っ暗になったというのは、がんを経験した人からよく聞かれる話です。治る病気になってきたとはいえ、がんは完治するのが難しい病気です。いったん治っても再発や転移のリスクと長く付き合っていかなければなりません。

心配することが多い病気だからこそ、せめてお金の心配をしないで済むよう、経済的備えはしっかり検討しておきたいものです。

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