ライフネット生命の「ライフネットのがん保険 ダブルエール」を徹底分析
治療と仕事との両立がテーマの保険
「ライフネットのがん保険 ダブルエール」(以下、ダブルエール)は、ライフネット生命としては初となる単体のがん保険です。
ダブルエールは、がんと診断されたら受け取れる「がん診断一時金」に加えて、がん診断後の治療費に備える「治療サポート給付金」と、がん治療に伴う休職や時短勤務等による収入の減少に備える「がん収入サポート給付金」の2つの給付金が受けられるのが特徴です。
このダブル保障で、近年、増加している、”がんになった後も治療と仕事を両立させる人”をサポートすることが目的です。
《これだけは押さえる》保障内容の特徴
ダブルエールは、がん診断一時金のみの「シンプル(A型)」、がん診断一時金に治療費をサポートする治療サポート給付金をプラスした「ベーシック(C型)」、これらにがん収入サポート給付金をプラスして治療費も収入減少もダブルで保障する「プレミアム(D型)」の3つのタイプから選択できます。

出典:ライフネット生命 ニュースリリースより
一時金重視、都度給付重視のいずれのニーズにも対応可
「がん診断一時金」をベースにした3つのタイプから選べるので、一時金重視、都度給付重視のいずれの要望にも対応できる商品設計です。
お手頃に備えておきたい人なら、シンプルタイプがいいでしょう。100万円から300万円までで、50万円ごとに設定できます。
がん治療が長引いた場合の医療費や、がん罹患後の収入減少に備えたい人は、ベーシックタイプやプレミアムタイプが向いていると思います。
主ながん治療で受け取れる回数無制限の「治療サポート給付金」
「治療サポート給付金」は、入院・通院に関わらず、月に1回10万円を回数無制限で受け取れます。
手術、放射線治療、抗がん剤治療など公的医療保険が適用される治療であれば、抗がん剤やホルモン療法で使用される経口内服(飲み薬)でも、対象となります。
たとえば、5年間、ホルモン療法を行った場合、600万円(月額10万円×12ヵ月×5年間)の給付金が受け取れますので、長引く治療でも安心感があるでしょう。
がん診断後、生存していれば受け取れる「がん収入サポート給付金」
「がん収入サポート給付金」は、給付条件が「生存」のみ。がんと診断されて、がん診断一時金100万円を受け取った場合、治療等をしていなくても、翌年以降5年間×50万円=合計250万円(1年に1回最大5回まで)が受け取れます。
通常、がんは、診断から2~3年以内に再発・転移が発生することが多いと言われており、治療後5年経過しても再発がなければ、そのがんについては治癒したと判断されます。この給付金の支払回数が5回となっているのは、5年経過して寛解していれば、一定の収入を得られる状態に戻っていると想定してのことでしょう。いずれにしても、その間の収入減をカバーできる保障があるのは安心です。
契約基本情報と主な保障内容
あくまで概要ですので、詳細はパンフレットや公式サイトなどでお確かめください。
契約情報
契約可能年齢 | 20歳~70歳 |
---|---|
保険期間 | 終身 |
保険料払込期間 | 終身 |
払込回数 | 月払 |
払込方法 | 口座振替・カード払 |
主な保障内容
給付金 | 保障内容等 |
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がん診断一時金/ 上皮内新生物診断一時金 |
・初めてがんと診断されたとき給付(100~300万円まで50万円単位で選択) ・上皮内新生物と診断されたとき給付。がん診断一時金×50% ・がん診断一時金、上皮内新生物診断一時金いずれも支払限度は1回のみ ※がん診断一時金の支払事由に該当した日以後に上皮内新生物と診断されたときは、上皮内新生物診断一時金は支払われません。 |
治療サポート給付金 | ・がんまたは上皮内新生物を直接の原因とした約款所定の (1)手術、(2)放射線治療、(3)抗がん剤治療(ホルモン療法を含む) を受けたとき、支払事由に該当した日が属する月ごとに給付(月に1回10万円、回数無制限) ・入院・通院の有無は問わない ・同一の月に複数の治療を受けた場合も、治療サポート給付金の支払いは月に1回 |
がん収入サポート給付金 | ・がん診断一時金が支払われた場合、がんと診断された翌年以降、年1回、がん診断一時金×50%の金額を最大5回まで給付 ・生存している場合 ・手続きは住民票などで可。診断書不要 |
がん先進医療給付金 | ・先進医療技術料と同額、通算2,000万円まで ・ベーシックタイプ(C型)、プレミアムタイプ(D型)のみ選択付加できる ※がん先進医療給付金については、上皮内新生物や異形成などは対象になりません。 |
保険料払込免除 | ・がん診断確定後、以降の保険料の払込を免除(シンプルタイプ(A型)の場合、契約は消滅) ※上皮内新生物の場合、保険料の払込免除は適用されません |
保険料例
《見積条件》
がん診断一時金額100万円、治療サポート給付金額10万円、がん収入サポート給付金額50万円、がん先進医療給付金あり(C型、D型)の場合
性別 | 契約年齢 | 保険料(月払) | ||
---|---|---|---|---|
シングルタイプ(A型) | ベーシックタイプ(C型) | プレミアムタイプ(D型) | ||
男性 | 30歳 | 1,209円 | 2,341円 | 3,646円 |
40歳 | 1,735円 | 3,307円 | 5,297円 | |
50歳 | 2,661円 | 5,006円 | 8,211円 | |
女性 | 30歳 | 1,437円 | 2,793円 | 4,663円 |
40歳 | 1,798円 | 3,523円 | 6,073円 | |
50歳 | 2,110円 | 4,122円 | 7,122円 |
※上記の保険料は2017年8月1日現在のものです
なお、シンプルタイプに加入し、がん診断一時金300万円に設定した場合の月額保険料は、30歳男性3,627円、女性4,311円。一方、プレミアムタイプ(がん先進医療給付金なし)に加入し、がん診断一時金を100万円に設定した場合、生存を条件に受け取れるがん収入サポート給付金250万円(年1回50万円×5回分)との合計金額が350万円となります。
この場合の月額保険料は、30歳男性3,565円、女性4,578円となり、後者の方が(生存が条件とはなりますが)トータルで受け取れる給付金額が多いにもかかわらず、保険料は割安に設定されています。
知っておきたいポイント
上皮内新生物は、保障が50%(半額)になる
「がん診断一時金」について、上皮内新生物と診断された場合、保障は50%となります。
また、シンプルタイプの場合、最初、上皮内新生物と診断され、その後、がん(悪性新生物)と診断されたときは、それぞれ1回ずつがん診断一時金を受け取ることができますが、先にがん(悪性新生物)と診断されたときは、保険契約が消滅します。
ただし、上皮内新生物は、がん(悪性新生物)と異なり、浸潤や転移の可能性がないため、簡単な治療で治癒するのが一般的です。
経済的負担もそう重くないことを考えると、同額保障でない点は、保障が薄いのではなく、合理的だとも考えられます。
注目したいのは、「治療サポート給付金」が上皮内新生物も対象になっている点。仮に、がん(悪性新生物)と同じくらい治療費がかかった場合でも対応できるということです。
「治療サポート給付金」や「がん収入サポート給付金」のみの組み合わせができない
3つのタイプは、いずれもベースが「がん診断一時金」になっています。したがって、すでに診断一時金が受け取れるがん保険等に加入しており、2つの給付金の保障のみを追加したいというニーズに対応できません。
「がん診断一時金」が受け取れるのは1回のみ
「がん診断一時金」は、最近主流の複数回タイプではなく、1回のみとなっています。
この点は評価が分かれそうですが、複数回タイプを採用している保険の方が優れているとは限りません。支払条件が複雑な商品も見られますし、支払間隔が長い(2年に1回が多い)商品もあります。そもそも寛解、再発・転移といった医学的評価自体が難しいといった問題点も耳にします。
ダブルエールの場合、治療が継続していれば、再発・転移しても「治療サポート給付金」が受け取れますので、複数回タイプでなくともカバーできるという考え方をしているのではないでしょうか。
「治療サポート給付金」の請求に診断書が必要
「治療サポート給付金」を請求する際は、原則として医師の診断書が必要となりますので、診断書請求の手間と費用がかかります。
ライフネット生命では、医療保険の給付金の請求時に、保障内容や治療の内容によって診断書の提出を原則不要とし、代わりに「診療明細書」の提出でOKとする「簡易請求」を実施していますので、今後、ダブルエールでも適用され、利便性が向上することを期待します。
全体を通して
がん患者の3人に1人が20~64歳の働く世代(国立がん研究センターがん対策情報センターの統計)であると言われている現在、治療と仕事の両立が当たり前になっていくでしょう。この保険は、まさにそうした人々を応援したいという、コンセプトどおりの設計になっていると感じました。