がん保険と医療保険の違い
その名のとおりですね。がん保険はがん治療に特化したスペシャリスト、対して医療保険は、がんを含むあらゆる病気に対応するジェネラリストです。
医療保険にがん関連の特約を追加すると、がん保障にも強いオールラウンドの医療保険ができあがりますが、しょせんはオプションでのパワーアップに過ぎず、スペシャリストである単体のがん保険には敵いません。
がん保険 VS 医療保険は、がん保険を優先すべき?
医療保険は全傷病をカバーできるオールラウンドプレーヤーですから、既に医療保険に加入している人は無理してがん保険を選ぶ必要はないと思います。最近は手厚いがん特約も発売されていますし、保険のプロであるFP(ファイナンシャル・プランナー)のなかにも、「がん治療は医療保険+がん特約で備えればよい」と考えている人がいます。
しかし、どちらにも加入していない人や、貯蓄が心もとない人は、がん保険を選んだ方が経済的負担を軽減できるでしょう。がん治療は保険外診療になる恐れがあるからです。
がんは傷病としても十分恐ろしい病気ですが、家計にダメージを与えるという点でも非常に警戒すべき病気です。保険適用のない薬剤や治療法を受けることは決して珍しいことではなく、窓口負担の効かない経済的負担は計り知れません。分かりやすい例は先進医療の陽子線治療や重粒子線治療などです。
平均技術料(※) | 年間実施件数 | 医療機関数 | 平均入院日数 | |
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陽子線治療 | 276万22円 | 2,016 | 9 | 8.8 |
重粒子線治療 | 309万3,057円 | 1,787 | 5 | 9.8 |
年間実施件数を見るとごく限られた人しか受けない治療だと分かりますが、とはいえ、その限られた確率に自分が当たらないとは言えず、”不運の宝くじ”を引いた場合は約300万円もかかってしまいます。
治療費が跳ね上がる恐れはがんの方が高い
もちろん世の中がんだけが怖い病気ではありません。他の傷病に対する備えはどうするのか? がん保険だけでは不安になりもするでしょう。
至極もっともな指摘ですが、通常、病気や怪我は保険診療となる場合がほとんどであり、治療費の自己負担は3割で済みます。保険が効くということは高額療養費制度(※)も使えるということなので、一定の額を超えると国が負担してくれ、過度な自己負担は避けられます。上限額は年齢と所得により違い、70歳以下の一般所得者で月9万程度。9万円を軽い出費だというつもりはありませんが、一般所得世帯がそれだけで崩壊するほどの出費ではないはずです。
つまり、医療保険は加入していないと経済的負担が重くなることがありますが、がん保険は加入していないと一大事になる可能性があるということです。保険の基本が、自分では対応できない万一に備えるために入るものだとすれば、がん保険はその典型と言えるかもしれません。 ※詳細は医療保険の教科書内医療費の自己負担を大幅に軽減。高額療養費制度とはをご覧ください。