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【フラット50】は、長期優良住宅の認定を受けた住宅に対し、返済期間の上限を最長50年間まで拡大する【フラット35】の派生商品です。2009年に施行された『長期優良住宅の普及の促進に関する法律』に合わせて登場しました。”建物の耐久性を向上させ、末永く使える住宅を増やすことで住む人のコストや環境への負担を抑えよう”、簡単にいえばそんな目的で作られた法律です。
ここでは、フラット50の特徴について調べて分かったことをまとめます。
経済負担率(年収に占める借金の割合)や資金使徒などの条件はフラット35と同じですが、申し込みできるのは申込時点で満44歳未満とかなり限定的です(ただし親子リレー返済は例外)。完済は満80歳未満までとなっており、50年間かけてゆっくり返済したい人は30歳までに申し込む必要があります。
借入額は100万円~6,000万円以下で、建設費または購入価額の60%までと、これまた限定的。フラット35との併用もできますが、別々に契約を結ぶ必要があるため、億劫なうえに手数料もかかります。足りない分は頭金で対応するのがいいでしょう。
フラット35の技術基準を満たしたうえ、冒頭で述べたように長期優良住宅だと認定されなければいけません。具体的には次のような項目を審査されます。
一般論として、50年もかけて返済するのは長すぎる気がしますが、フラット50の魅力はどんな点にあるのでしょうか。
通常、マイホームを売却するときはローンを精算してから行うものですが、フラット50はローン付きでも売却可能です。買い手側はこれを引き継ぐかどうかの選択ができるので、他の住宅ローンよりフラット50の金利の方が安かった場合、「良い物件」だと判断してもらえるでしょう。
同じ金額を借りる場合、フラット35よりもフラット50の方が返済期間が長い分、毎回の返済額を抑えることができます。もっとも、長く払い続けるため総返済額は増えてしまうのですが……。
フラット50の金利は、フラット35よりも0.4%~0.9%高く設定されています。「毎回の返済額を抑えられる」と言ったばかりですが、このカラクリのため、ケースによってはフラット35とさほど変わらない負担になる可能性も……。そのうえ返済期間が長いとなると、利用するメリットが見いだせません。
返済期間が長くなるということは、その分利息を払う回数も増え、トータルでかかる負担が増すということです。フラット35の総返済額と比較してみましょう。
返済期間 | 金利 | 毎月返済額 | 年間返済額 | 総返済額 |
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フラット35 / 35年 | 1.2% | 8万7,510円 | 105万120円 | 3,880万6,101円 |
フラット50 / 50年 | 1.9% | 7万7,491円 | 92万9,892円 | 4,965万460円 |
このシミュレーションでは、毎月約1万円安くなるメリットと引き換えに、トータルで1,000万円以上も多く返済する結果になりました。借入金額が増えるほどこの差は増していきます。
35年以上の返済となると、定年後も住宅ローンを支払い続けるということですから、本当に返済可能なのか、よく検討したうえで利用しなければいけません。
借入者条件 | ・年齢:申込時に44歳未満(親子リレー返済を除く) ・経済負担率:年収400万円未満:30%以下/年収400万円以上:35%以下 |
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物件条件 | ・フラット35の技術基準を満たしている ・長期優良住宅に認定されている ・住宅の建設費または購入価格が1億円以下 |
借入可能額 | ・100万円以上6,000万円以下 ・建設費または購入価格の60%以内 ※フラット35との併用可 |
借入期間 | ・36年~50年 ※完済は80歳未満まで |
借入金利 | ・全期間固定 ・フラット35よりも高め |
メリット・デメリット | ・毎月の返済額が安い 🙂 ・ローン付きでも売却可能 🙂 ・フラット35よりも金利が高い 😥 ・トータルの返済額が膨らむ 😥 |